AUD/USDは金曜のアジア時間に0.7140前後まで下落し、豪ドルは米ドルに対して弱含んだ。背景には、豪州の中央銀行である豪準備銀行(RBA)が追加利上げを先送りするとの見方がある。
豪州の4月失業率は4.5%に上昇し、2021年末以来の高水準となった。金利スワップ(将来の政策金利見通しを織り込む金融取引)では、6月のRBA会合で利上げとなる確率は11.7%と示され、市場は年内の追加利上げ期待も引き下げた。
Rba Outlook And Aussie Dollar Pressure
市場は中東の戦争終結に向けた短期的な合意の可能性も見極めている。イラン当局者は木曜、米国との合意には至っていないものの、隔たりは縮小したと述べた。
イラン最高指導者モジタバ・ハメネイ師は、ウラン濃縮(核燃料に使われるウランの純度を高める工程)と、テヘランによるホルムズ海峡(中東の原油輸送の要衝)の管理が争点だとした。金曜遅くにはミシガン大学消費者信頼感指数(消費者の景況感を示す指標)の発表が予定されている。マルコ・ルビオ氏は合意の可能性について「いくつか良い兆候」と言及した一方、楽観しすぎたくないとも述べた。
昨年の2025年5月、豪州の失業率が予想外に4.5%へ跳ね上がり、AUD/USDが0.7140付近まで急落したことが想起される。足元の状況は異なるが、示唆は同じだ。最新の雇用統計では失業率が4.0%で比較的安定している一方、市場の焦点は景気の弱さを示す兆候にある。この安定は、RBAが中立姿勢(利上げも利下げも急がない立場)を大きく変える理由を乏しくしている。
昨年は雇用統計が利上げ観測を大きく後退させ、2025年6月会合での利上げ確率は約11%に低下した。現在も似た構図で、スワップの示すところでは来月会合での金利変更の可能性はほぼなく、市場の関心は年後半の利下げ開始時期に移っている。トレーダーにとっては、RBAが想定以上にハト派(金融引き締めに慎重で、利下げ寄り)に傾くリスクに備え、AUD/USDのプット・オプション(下落時に利益が出やすい権利)を買っておくことが防衛策になり得る。
地政学要因も無視できない。ホルムズ海峡周辺の緊張再燃により、安全資産とされる米ドルへ資金が逃避し、豪ドルのような相対的にリスクの高い通貨に対して米ドルが上昇しやすい。こうした変動性(価格の振れの大きさ)の上昇局面では、USD/JPYなどでロング・ストラドル(同じ満期・権利行使価格のコールとプットを同時に買い、大きな値動きを狙う戦略)が注目される。
Trading Implications For Aud Usd And Risk Sentiment
中立的なRBAと、米国の最新インフレ率が市場予想をやや上回る2.8%となったことに支えられた強い米ドルが組み合わさり、構図は明確だ。2025年に豪ドルが短期間で急落した経緯は、足元の市場を考える上で参考になる。今後数週間は、先物(将来の価格で売買する契約)やオプション(将来、あらかじめ決めた価格で売買できる権利)を通じて、AUD/USDの下落に備えるポジションが合理的とみられる。