英ポンドは月曜日、キア・スターマー首相への政治的圧力が強まる中で上昇した。この動きにより、ポンドは直近の上昇基調を維持した。
スターマー氏の後任を目指しているアンディ・バーナム氏は、首相に就任した場合でも、レイチェル・リーブス財務相の「財政規則(政府が守ると約束する財政運営のルール。借入や歳出の上限などを定め、市場の信頼を保つための枠組み)」を変更しないと述べた。政治情勢への注目が高まる中での発言となった。
政治がスターリングの見通しを左右
GBP/USD(英ポンド/米ドル)は、数週間ぶりの安値1.3302を試した後、1.3414で取引された。安値から持ち直す動きとなっている。
市場は、現状の不安定さよりも、バーナム氏の発言がもたらす「先行きの見通しやすさ」を好んでいるようだ。ただし、スターマー氏への圧力が続いているため、今後数週間は値動きが荒くなりやすい。実際、GBP/USDの1か月「インプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される予想変動率。市場が見込む将来の値動きの大きさを示す)」は、4月下旬の約7%から9.5%超へ上昇しており、オプション市場では大きな変動に備える動きが強まっている。
政治の不透明感はイングランド銀行(英中央銀行)の判断を難しくする。最新のインフレ指標では、コアCPI(食品・エネルギーなど変動が大きい項目を除いた消費者物価指数。基調的な物価の強さを測る)が目標を上回る2.8%と高止まりしている。現行の財政規則が揺らぐ兆しが出れば、年内に予定されている利下げ(政策金利の引き下げ)が遅れる可能性がある。こうした見方は、OIS(翌日物指数スワップ。将来の政策金利見通しを織り込みやすい金利デリバティブ)の動きにも表れており、8月利下げ確率は60%から40%を下回る水準へ低下している。
取引とリスク管理
インプライド・ボラティリティの上昇により、オプション(あらかじめ決めた価格で買う・売る権利)の購入コストは上がっているが、大きな値動きに備える手段として有効な場合がある。たとえばGBP/USDのロング・ストラドル(同じ満期・同じ権利行使価格のコールとプットを同時に買う戦略。上にも下にも大きく動けば利益になりやすい)は、政治の結論がはっきりする局面に備える選択肢となる。政治の安定で上昇した場合の利益を狙いつつ、危機が深まって下落した場合の損失を抑えやすい。
先物(将来の特定日に決めた価格で売買する契約)で取引する場合、直近安値の1.3300近辺は、テクニカル(チャート上の節目)かつ心理的な下値支持線(サポート)として意識されやすい。明確に割り込めば信認が損なわれ、下落が加速する恐れがある。反対に、1.3450の上値抵抗線(レジスタンス)を継続的に上抜ければ、市場が円滑な政治移行を相当程度織り込んだ可能性がある。