TD Securitiesは、中国の4月経済指標を「弱い」と評価し、原油高と消費者心理(消費者の景気に対する見方)が低迷していることが背景にあると指摘した。中国人民銀行(PBoC)は、金融緩和(利下げや資金供給を増やすこと)に慎重姿勢を続ける可能性が高いという。
原油価格の上昇が、化学などの従来型産業に負担をかけていると伝えた。一方で、通信機器や医薬品といったハイテク分野は成長が続き、下押し圧力の一部を相殺しているとした。
4月データは「的を絞った支援」を示唆
消費者心理は弱く、消費財販売が伸び悩み、裁量的支出(必需品以外への支出)も減っていると説明した。「618(中国の大型ネット通販セール)」や買い替え支援(下取り・買い替えへの補助金)が短期的な下支えになる可能性があるという。
TD Securitiesは、北京が財政刺激(政府支出や減税などで景気を押し上げる政策)を「的を絞って」実施し、幅広い景気対策ではなくインフラ投資中心になると予想した。また、4月の弱い結果を受け、年後半の輸出押し上げを狙う「Board of Trade(貿易促進に関する制度・運用の詳細)」の詰めが前倒しで進む可能性があると付け加えた。
このデータは人民元高を見込む投資家(CNY強気派)を動揺させ得る一方、景気対策議論を再燃させる可能性もあると指摘。PBoCはUSD/CNYで「6.8」を守る(特定水準を割らせない政策運営)とみており、その手段として外貨預金準備率(FX Reserve Requirement Ratio:金融機関に外貨預金の一定割合を無利息で積ませる比率)を6%へ引き上げる可能性があるという。これは人民元売り(ショート)をしにくくする効果がある。
政策による防衛とオプション取引のポジション
人民元相場では、PBoCがUSD/CNYの「6.8」を防衛ラインとして維持する姿勢が示唆される。足元のドル/人民元が7.23近辺で推移する中、市場心理上の節目(心理的な節目となる水準)を意識した対応が見込まれる。外貨預金準備率の引き上げは、人民元売りのコストを上げる強いシグナルになり得る。
デリバティブ(金融派生商品)取引では、今後数週間、USD/CNYの上値が抑えられるという見方を基に、行使価格(ストライク)が防衛水準付近またはやや上のコール(買う権利)を売る戦略が選択肢となる。プレミアム(オプションの受け取り代金)を得やすく、当局の対応で相場の変動(ボラティリティ)が抑えられ、上方向への大きな離脱が起きにくいという想定に沿う。