イングランド銀行(BoE、英国の中央銀行)の金融政策委員会(MPC)のメーガン・グリーン委員は月曜日、エネルギー価格の急上昇(価格ショック)の「第二波の影響」が表れるまで、さらに1年かかる可能性があると述べた。グリーン氏はまた、イラン戦争後も世界経済が底堅かった背景の一因として「在庫」(企業や国が保有する原材料・製品の備蓄)を挙げた。
グリーン氏は、マイナスの供給ショック(供給制約によるコスト上昇)を軽視してはならないと指摘した。これを受け、GBP/USD(英ポンド/米ドル)は当日0.23%上昇し、報道時点で1.3353で取引された。
第二波の影響が表面化
2025年の発言を踏まえると、エネルギー価格ショックの第二波の影響が表れるまで1年かかるという警告は重要だ。イラン戦争後の世界経済の底堅さは在庫に支えられていたが、その「クッション」は薄れている。供給面の悪化が残す影響を無視できない。
インフレ(物価上昇)の影響は直近データに表れている。英国のコアCPI(生鮮食品やエネルギーなど変動が大きい品目を除いた消費者物価指数)は2026年1〜3月期も3.5%を上回った。4月の賃金伸び率は5.2%と強かった。昨年のエネルギー価格上昇が、国内の価格設定(企業が販売価格を決める動き)に定着した可能性がある。
インフレが粘着的(下がりにくい)な状況では、BoEは引き締め寄り(タカ派:利下げに慎重)姿勢を保ちやすく、市場が見込む年後半の利下げ観測を抑える要因となる。市場は、英国の金利が米国やユーロ圏より高い状態が長引くリスクを十分に織り込んでいない可能性がある。
為替市場では、こうした政策の違い(政策乖離)がポンド買い材料になりうる。GBP/USDが足元で1.2850近辺で推移している場合、コールオプション(将来、あらかじめ決めた価格で買う権利)を使えば、ポンド高局面の利益を狙いつつ損失を限定できる。タカ派のBoEと、より緩和寄り(ハト派:利下げに前向き)になり得る米連邦準備制度理事会(FRB)の対比は、今後数カ月のポンド高を後押しし得る。
供給側の問題を軽視しないという点が要だ。歴史的には1970年代が参考になる。当時はエネルギーショックが長期のインフレにつながり、当初は政策当局の見通しが甘かった。現在の物価上昇圧力も、市場が想定する以上に長引く可能性がある。