WTI(米国産の代表的な原油で、国際取引の指標)は3日続伸し、月曜のアジア時間は102.70ドル近辺で取引された。前日は102.50ドル前後で上昇分を維持した。UAE(アラブ首長国連邦)とサウジアラビアへのドローン攻撃を受け、供給不足への懸念が強まったことに加え、米国とイランの対立(交渉や軍事面での緊張)が高まっていることが背景。
UAE当局は、バラカ原子力発電所へのドローン攻撃を調査中で、同国が「テロ攻撃」と呼ぶ事案に対して反撃する権利があると表明した。サウジアラビアは、イラク方面から領空に侵入したドローン3機を迎撃したとし、主権と安全保障を守るため運用面の措置(軍・防空などの具体的対応)を取ると述べた。
Geopolitical Risks And Oil Supply
ドナルド・トランプ米大統領は、イランに対する軍事的選択肢について国家安全保障担当の助言者と協議する見通しで、紛争が拡大するリスクが意識されている。報道によれば、ワシントンとテヘランの溝は埋まっておらず、米国は交渉で目に見える譲歩(制裁緩和など)を提示していない。
供給不安は、米国が「インドによるロシア産海上輸送原油の購入を認める例外措置(制裁の適用除外)」を期限切れで失効させたことで強まった。インドは延長を求めていたが、認められなかった。さらに、トランプ—習会談(米中首脳会談)が2日間行われたものの、ホルムズ海峡の海上輸送ルート再開で進展がなかったとの見方から、警戒が続いた。ホルムズ海峡は中東産原油・LNG(液化天然ガス)の主要な輸送の要衝。
2025年には、中東でのドローン攻撃をきっかけにWTIが1バレル102ドル超へ急騰した。現在は80ドル近辺で推移し、市場は落ち着いて見えるが、当時の上昇を招いた根本的なリスクは残る。
2025年のUAEとサウジへの攻撃は、実際の供給(生産・輸送)を直接脅かす出来事だった。同様のリスクは今も続く。紅海では混乱が続き、タンカーの航路変更が広がって市場を引き締めている。さらにOPEC+(OPEC加盟国と非加盟の協調産油国)が日量220万バレルの自主減産を維持する中、余剰生産能力(急な供給減を埋める余力)は大きくない。
Market Volatility And Trading Strategy
需給が脆い均衡にあるため、今後数週間は値動きの荒さ(ボラティリティ)の上昇が見込まれる。CBOE原油ボラティリティ指数(OVX=原油オプション市場から算出される将来の変動見通し)は30近辺で高止まりしており、オプション(将来の売買権利)価格が割高になりやすい状況を示す。上昇局面に備えるなら、コール・スプレッド(買いのコールと、より高い行使価格のコール売りを組み合わせ、コストを抑えつつ上昇分を狙う手法)の活用が選択肢となる。
また需要面は底堅く、国際エネルギー機関(IEA)は2026年の世界需要が日量110万バレル増えると予測している。2025年には、インドによるロシア産原油購入の例外措置失効のような政策の急変が、供給を一段とタイト化させ得ることを示した。外交の行き詰まりや対立の激化が再び起きれば、価格が昨年の高値圏へ戻る可能性がある。
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