金(XAU/USD)は3月30日以来の安値となる4,480ドル近辺から小幅に反発したが、上値を伸ばせなかった。地政学リスク(地域紛争など政治・安全保障の不確実性)と原油高を背景に米ドル高が続き、利息が付かない金(インカムが得られない資産)には逆風となった。
UAEのバラカ原子力発電所でドローン攻撃により火災が発生。サウジアラビアはイラクから発射されたドローン3機を迎撃したと発表し、米国はイランに対し合意(交渉妥結)へ迅速に動くよう警告した。
中東情勢の緊張と原油主導のインフレ
緊張はエネルギー市場にも波及し、米国によるイラン港湾の封鎖やホルムズ海峡周辺の混乱を受け、原油は2週間ぶり高値となった。原油高はインフレ(物価上昇)懸念を強め、米金融政策の引き締め観測(利上げや金融引き締めの見方)を支えた。
CMEグループのFedWatch(先物市場からFRBの政策金利見通しを推計するツール)では、年内の利上げ確率が50%超と織り込まれている。さらに2026年の追加利上げの可能性も話題だ。市場は、水曜日公表のFOMC議事要旨(米連邦公開市場委員会の会合内容をまとめた文書)と、各国の速報PMI(購買担当者景気指数:企業調査から景気の強弱を示す指標)を注視している。
現物市場では、インドの値引き(国内価格が国際価格を下回る状態)が先週過去最大となる一方、中国のプレミアム(上乗せ幅)は底堅かった。テクニカル(価格チャートに基づく分析)では、200日SMA(単純移動平均線:一定期間の平均価格)である4,352.59ドルが下値支持、100日SMAの4,790.55ドルが上値抵抗。RSI(相対力指数:買われ過ぎ・売られ過ぎを示す指標)は40近辺、MACD(移動平均収束拡散:トレンドの強弱を見る指標)はマイナス圏にある。
重要水準と短期の売買バイアス
米ドル指数は107.50を明確に上回っており、2025年後半の市場動揺局面以来の水準だ。WTI原油先物(米国産原油の代表的な先物指標)も1バレル115ドルを上回り、年内利上げ観測を直接押し上げている。先週のコアPCE(食品・エネルギーを除いた個人消費支出物価指数:FRBが重視するインフレ指標)が3.1%と強かったこともあり、FF金利先物(政策金利の見通しを反映する先物)は12月までの利上げ確率を65%程度まで織り込む。
金は4,500ドルという心理的節目(投資家が意識しやすい丸い数字)への戻りがあれば、戻り売り(反発局面で売る戦略)の機会とみなされやすい。下方向の次の重要目標は、200日移動平均線付近の4,352ドル。先週、100日移動平均線を回復できなかったことは下落の勢いを示す。
また、水曜日のFOMC議事要旨でタカ派(利上げに前向きな姿勢)を裏付ける文言が出るかが焦点となる。100日SMAである4,790ドルを持続的に上回れば、弱気シナリオが崩れる最初の兆候となる。