NZD/USDは週明けアジア時間に0.5830近辺まで下落し、マイナス圏で推移している。中国の景気指標が弱く、ニュージーランド・ドル(NZD)は売られた。
中国の4月小売売上高は前年同月比0.2%増となり、3月の1.7%増から減速し、市場予想(2.0%)も下回った。4月の鉱工業生産(工場などの生産活動を示す指標)は前年同月比4.1%増で、前回(5.7%)から鈍化し、予想(5.9%)未達だった。
中国指標がNZD(キウイ)を圧迫
米国側では、インフレ(物価上昇)が強めに推移していることから、年内の米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測(政策金利引き上げの見方)が強まった。複数のFRB当局者は、インフレ抑制を引き続き重視すると述べ、物価圧力が続く場合は追加利上げの可能性を否定しなかった。
CMEのFedWatch(米金利先物に基づく利上げ確率の推計ツール)によると、市場は12月FOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%ポイント(25ベーシスポイント)の利上げが行われる確率を48.4%程度と見込む。1週間前の14.3%から大きく上昇した。米金利上昇観測(米国の政策金利が上がるとの見方)は、NZDに対する米ドル買いを支えた。
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は中期的にインフレ率1〜3%を目標とし、中心は2%付近を想定している。NZDは、中国需要、乳製品の輸出価格、ニュージーランドの経済指標、投資家のリスク選好(リスクを取りやすいかどうか)にも左右されやすい。
金融政策の方向性の違いが相場を動かす
4月の中国指標は、小売売上高と鉱工業生産が予想を下回り、前月からも大きく減速した。さらに、製造業PMI(購買担当者指数=企業の景況感を示す指数)は50.8と景気の拡大・縮小の分岐点である50を上回ったものの、新規輸出受注が大きく落ち込んだ。中国の減速は、輸出への依存度が高いニュージーランド経済の見通しを冷やしやすい。
一方で米ドルは、引き締め寄りの見方が強い。4月の米CPI(消費者物価指数)が総合で3.4%と高止まりしたことを受け、市場はFRBの見通しを大きく修正し、12月利上げ確率は約50%へ上昇した。2025年後半に広がっていた利下げ寄りの見方とは対照的だ。
この結果、両国の金融政策の方向性の違い(政策スタンスの差)が鮮明になり、米ドルに有利な構図となっている。FRBが追加利上げを検討する一方で、RBNZは国内成長の鈍化という課題を抱える。インフレ率が高い状況でも、景気への配慮から機動的な引き締めが難しくなりやすい。
さらに、ニュージーランドの主要輸出である乳製品価格も弱含んだ。5月上旬のグローバル・デイリー・トレード(乳製品の国際オークション)では価格が2.1%下落し、交易条件(輸出価格と輸入価格の比率)を通じてNZDに下押し圧力を与えやすい。
また、この動きは2025年10〜12月に0.6000を上回って推移していた安定局面からの変化を示す。足元の勢いは、2025年半ばの市場変動時に付けた安値の再試しを示唆する。今後は米国の雇用指標やインフレ指標に注目で、米景気の底堅さが確認されれば、米ドル高・NZD安の流れが強まりやすい。