ダウ工業株30種平均は5万3,300ドル弱で終了し、約250ドル(0.5%)安となった。米軍がララク島のイランのロケット発射装置2基を攻撃し、これに対しテヘランがヨルダンおよびアラブ首長国連邦(UAE)の基地にミサイルとドローンで報復したことが背景。指数は5万3,500ドル弱で寄り付き、一時的にその水準をわずかに上回ったものの、その後5万3,100ドル近辺まで下落し、引けにかけて約150ドル戻した。原油は上昇し、WTIは2%超高、ブレントは90.00ドル台を維持。シェブロン(CVX)が数少ない上昇銘柄となる一方、ゴールドマン・サックス(GS)とアルファベット(GOOGL)が重しとなった。この動きは、エネルギー1銘柄の寄与と、金融の比重が全体の約4分の1を占める点が拮抗する「株価加重型」指数のメカニズムを改めて浮き彫りにした。
8月はなお1.4%高で終え、月間5カ月連続の上昇を延長した。ただ、8月5日に5万4,750ドル近辺の過去最高値を付けた後、月初の5万2,500ドル強から上昇していた指数は反落。直近3営業日の上昇は4%超だった。月曜の終値はピークから約2.7%下で、50日EMA(約5万2,700ドル)を約550ドル上回る水準。米国債利回りは高止まりし、10年債は4.73%近辺、30年債は5.20%超と、8月早期に付けた19年ぶり高水準に近い。FF金利先物は9月16日の0.25%利上げ確率を約60%と織り込み、金曜前の約35%から上昇。今後の材料として、14:00(GMT)のISM製造業PMI、サービス価格支払い、民間雇用統計、ベージュブック、そして12:30(GMT)の雇用統計が挙げられる。市場予想は、7月の2万3,000人減から、約6万人増へ。CPIは9月11日に公表予定。注目水準は、上値抵抗が5万3,500ドル小幅上、次いで5万3,800ドル、5万4,750ドル。下値支持は5万3,100ドル、5万3,000ドル、5万2,800ドル、5万2,700ドル。ストキャスティクスRSIは35近辺で、5万3,500ドルを下回る間は弱気バイアス、日足で5万3,800ドルを上回って引ければ弱気シナリオは無効化とされた。
ダウの季節性と戦術的見通し
9月入りにあたり、ダウにとって歴史的に最もパフォーマンスが悪い月(1950年以降の平均下落率は1.5%)であることを踏まえ、下落基調の継続に備える必要がある。指数が8月高値(5万4,750ドル近辺)から5万3,300ドル水準へと下落している中、デリバティブ取引では、短期のプットオプション買いに焦点を当てたい。5万3,500ドルの抵抗線が上値を抑える限り弱気スタンスを維持し、上昇基調の50日EMA(5万2,700ドル近辺)への下落を狙う戦略を推奨する。
市場を押し下げている主因は金利の急速な再評価であり、米10年債利回りは4.73%近辺、30年債利回りは5.20%超に達している。FF金利先物は9月16日の利上げ確率を60%と織り込み、先週の35%から大きく上昇した。この変化を取引に落とし込む方法として、金利に敏感な金融株に対する弱気のバーティカル・スプレッドの活用が考えられる。割引率の急上昇を受け、同セクターは強い逆風にさらされやすい。
エネルギー、インフレ、ボラティリティ戦略
ブレント原油が1バレル90ドル超を維持するなか、エネルギー起因のインフレ懸念が市場見通しを複雑化させている。歴史的に、原油価格が90ドル超で長期化すると、非エネルギーセクターの利益率を圧迫し、CBOEボラティリティ指数(VIX)を押し上げる傾向がある。デリバティブ取引では、株式全体の下振れリスク拡大に備えるヘッジとして、シェブロンのようなエネルギー株のコールオプションをロングすることを検討したい。
今後数日は、ISM PMIや金曜の雇用統計など影響度の高い経済指標が控える。雇用統計は6万人程度の小幅増が予想されているが、弱い結果となれば利上げ観測が一気に後退する可能性がある。この場合のボラティリティ上昇(プレミアム拡大)を取り込むため、ロング・ストラドルの活用が有効となり得る。最終的な試金石は、9月11日の重要なCPI(消費者物価指数)となる。
日足のストキャスティクスRSIは足元で35近辺へ低下しており、売られ過ぎ水準に到達するまでにはまだ下落余地があることを示唆する。短期的な戻り局面は売り場として扱い、日足で5万3,800ドルを上回って引ける場合を厳格な無効化ポイントとしたい。5万3,100ドルのサポートを割り込めば、主要サポート帯である5万2,800〜5万2,700ドルへ急落する展開を想定する。
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