金(XAU/USD)は木曜日の欧州時間を前に4,300ドル台を回復し、前日に付けた6週間ぶり安値圏に近い水準で推移した。米ドルは、7月下旬以来の高値を付けた後に上昇一服となり、これが金の下支えとなった。ただし、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢と中東情勢の緊張が重しとなり、安全資産需要を左右する構図が続いている。FRBは9月会合で全会一致の利上げを決定し、2023年以来の初回利上げとなった。ドット・プロットは年内にもう1回の追加利上げを示唆。米10年債利回りは5.0%近辺で推移し、2007年4月以来の高水準に接近している。
地政学動向も流動的だ。イラン支援のフーシ派は、過去1週間にサウジアラビア機がイエメン全土で450回超の攻撃を実施したとし、マアリブ上空でサウジF-15を撃墜したと主張。一方、ドナルド・トランプ氏は、イランは合意を望んでおり戦争は終結に近づいている可能性があると述べた。テクニカル面では、4,315~4,320ドルを下回る限り弱気バイアスを維持し、戻りの目標は4,404ドル、4,513ドル、4,690ドル。下値メドとしては4,226ドル、その後に4,100ドル、3,940.20ドルが意識される。MACDはマイナス圏を維持し、RSIは44近辺で推移した。
デリバティブ取引における留意点とテクニカル見通し
デリバティブ投資家は、金価格が4,300ドル台をかろうじて上回って推移するなか、今後数週間は極めて慎重な対応が求められる。米10年債利回りが5.0%近辺で高止まりしていることから、利回りを生まない資産を保有する機会費用が上昇し、短期的な上値余地は限定されやすい。過去にも高金利局面では貴金属が圧迫される傾向があり、当面は短期の防御的戦略に重点を置きたい。
テクニカルでは、4,315~4,320ドルの主要レジスタンス帯を注視すべきだ。この水準を上抜ければ、コールオプションのターゲットを4,404ドル、さらに4,513ドルへと引き上げる余地が生じる。一方で、弱気のMACDモメンタムが優勢となる場合、目先のサポートである4,226ドルへの下落に備える必要がある。
地政学リスクによる変動性と中長期需要
同時に、中東の緊張激化は原油高を促し、安全通貨とされる米ドルを押し上げている。2022年や2024年のような過去の地政学ショック局面では、金は明確なトレンドが形成される前に急激で不安定な値動きを示した。想定される高いボラティリティを踏まえ、方向性に賭け切らず大きな価格変動を取りにいく戦略として、ストラドルなどのオプション戦略の活用を推奨する。
また、過去の買い付け動向にも目を向ける必要がある。世界の中央銀行は、インフレ高進局面が続いた近年、外貨準備の分散を目的に年1,000トン超の金を購入してきた。こうした大規模な機関需要は、価格の全面的な崩落を防ぎ得る強固な「歴史的な下値の床」となり得る。したがって、4,100ドルのサポート水準近辺への下押し局面は、中長期の強気デリバティブを積み増すうえで極めて魅力的なエントリーポイントと位置付けたい。
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