USD/CADは木曜日、1.4150(1週間超ぶりの安値)を付けた後、1.4180へ下落し、日中で0.26%安となった。動きの背景には、米労働統計局(BLS)が発表した弱い米雇用指標がある。6月の非農業部門雇用者数(NFP)は+5.7万人と、市場予想の+11.0万人を下回った。過去分も下方改定され、5月は+17.2万人から+12.9万人、4月は+17.9万人から+14.8万人へ修正され、合計で7.4万人の下方改定となった。
その他の雇用関連指標はまちまちで、失業率は4.3%から4.2%へ低下した一方、労働参加率は61.8%から61.5%へ低下した。平均時給は前年比+3.5%と予想通り。これを受けて金利見通しは変化し、CME FedWatchでは年内にFRBが2回利上げする確率が27.8%と、前日の31.9%から低下した。カナダではS&Pグローバル製造業PMIが6月に52.9から53へ小幅上昇。また、CADの値動きは、ホルムズ海峡を巡る海運要因やワシントン―テヘラン間の外交動向に伴う原油安の影響も受けた。
弱い米雇用統計で急変するFRB期待
市場ではFRBに対する期待の再評価が急速に進んでいる。6月の雇用増が「5.7万人」という想定外の低水準だったことに加え、前2カ月分の大幅な下方改定は、米労働市場が急速に冷え込みつつある可能性を示唆する。この弱さを受け、年内2回の利上げ確率は28%を下回り、米ドルの重しとなっている。
今回の雇用統計はFRBにとって深刻なジレンマを突き付けており、7月16日公表の6月消費者物価指数(CPI)に一段と注目が集まる。賃金上昇率が3.5%で底堅く、5月のコアCPIが3.4%だったことを踏まえると、採用減速と並行してインフレ粘着性が示されれば、市場の不確実性は一段と増幅される公算が大きい。その結果、USD関連通貨ペアの値動き(価格変動)が大きくなると見込む。
USD/CADのボラティリティと取引見通し
デリバティブ取引の観点では、短期的なボラティリティ上昇を示唆する。USD/CADの1カ月インプライド・ボラティリティは、雇用統計後におよそ6.5%から7.8%へ上昇した。単純な方向性(上か下か)を取りに行くよりも、ストラドルやストラングルの買いなど、値動き拡大から収益化する戦略の妙味が高まっているとみる。
もっとも、原油価格の弱さを踏まえると、USD/CADに対する弱気見通しは抑制する必要がある。中東の地政学的緊張緩和を背景に、WTI原油が足元で1バレル=80ドルを割り込んだことで、カナダドルには明確な逆風となっている。これによりルーニー(カナダドル)の上値余地は限定され、通貨ペアには下値の「床」が形成されやすい。
相反する材料が併存するため、USD/CADは新たな下落トレンド入りというより、上下に振れやすいレンジ相場になりやすいと予想する。直近安値の1.4150を重要なサポートとして注視したい。今後数週間では、想定レンジ(1.4150-1.4350)の外側に権利行使価格を置いたオプション売りが、有効な戦略となり得る。
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