
株式市場の暴落(クラッシュ)とは、市場の大半で株価が短時間に急落する現象で、通常は幅広い株価指数(市場全体の動きを示す指数)で測られます。調整局面(コレクション)は、直近の高値から10%以上下落する比較的ゆるやかな下げを指すのが一般的です。一方、暴落は下げのスピードが速く、下落幅も大きく、調整局面を一気に突き抜けて弱気相場(ベアマーケット)に入ることがあります。暴落に「公式な基準」はありませんが、代表例は数値で明確です。1987年10月19日にはダウ工業株30種平均が1日で22.6%下落し、2020年2月19日から3月23日までの23営業日ではS&P500種指数が33.9%下落しました。
市場は回復するのか、それともさらに下げるのか。どちらも起こり得ます。回復までの期間は約6カ月から25年と幅があり、暴落後に一段安となった例もあります。トレーダーが暴落から読み取るべき点は、底値の「時期」を当てることよりも「構造」です。どれだけ速く下げたのか、どこまで下げたのか、売りを止めている要因は何か。CFD(差金決済取引。原資産を実際に受け渡しせず、価格差のみを受け渡す取引)は買い・売りのどちらからでも建てられるため、下落局面でも見通しを立てたり、ヘッジ(損失を抑えるための相殺取引)に使ったりできます。一方で、レバレッジ(少ない資金で大きな取引をする仕組み)が損失を大きくする点には注意が必要です。
重要ポイント
- 暴落に公式な定義はありません。一般に、短期間の急落を指します。調整局面は「直近高値から10%以上の下落」、弱気相場は「20%以上の下落」という目安が広く使われます。暴落では、S&P500が2020年に示したように、数週間で両方の水準をまたいで下げることがあります。
- 暴落は、割高な評価(バリュエーション。株価が利益などに比べ高い状態)、借り入れ取引、パニック、そして景気ショックや流動性(売買の成立しやすさ)の急低下といった「きっかけ」が重なることで起こりやすくなります。
- 暴落時に重要なのは、トレーダーが自分で管理できる判断です。強制的な売却を避ける、証拠金(取引の担保として預ける資金)を確認する、損失を取り戻そうとしてレバレッジを増やさない、といった点が要になります。
- CFDは買い・売りの両方向で取引でき、保有資産のヘッジにも使えます。ただしレバレッジ商品であり、預けた資金(入金額)を上回る損失が出る可能性があります。CFDでの空売り(下落で利益を狙う売り建て)は高リスクの上級手法で、すべての人に適するものではありません。
株式市場の暴落とは
株式市場の暴落とは、市場の広い範囲で株式の価格が短時間に大きく下落することを指します。企業の実力(業績や財務などの基礎的な要因)がじわじわ悪化した結果というより、恐怖による売り(パニック売り)が主因となるケースが多いのが特徴です。特定の企業だけの株価下落(その企業固有の要因で起こる下げ)とは別物です。
公式に統一された定義はありません。たとえば弱気相場は、米証券取引委員会(SEC)のInvestor.gov用語集では、幅広い指数が少なくとも2カ月の期間で20%以上下落する状態と説明されています。しかし暴落には、合意された下落率や期間の基準がありません。実務では「深く、速い下げ」を指して使われ、数日で二桁(10%以上)下落するケースや、市場史に残る1日だけの急落に対して用いられることが多い言葉です。
このため呼び方が分かれます。1987年の急落は数時間で起きたため「暴落」と呼ばれます。一方、より大きな下落幅となった2000〜2002年のIT(技術株)下落は2年以上かけて進んだため「弱気相場」と呼ばれます。
株式市場の暴落はなぜ起きるのか
暴落の原因が1つだけであることはまれです。多くの場合、いくつかの条件がすでにそろっており、そこに「引き金」が加わって不安が売りに変わります。
- バブルと割高な評価。FINRA(米金融業規制機構)はバブルを、価格が説明しにくいほど高い水準まで上昇した後、いずれ下落する状態と説明しています。米連邦準備制度(FRB)によれば、ダウ平均は1921年8月の63から1929年9月の381へと約6倍に上昇しました。AI(人工知能)関連がバブルかどうかなど、新しいテーマが評価を押し上げているかは議論が続きます。ただし、割高であること自体は下落の「時期」を決めません。
- レバレッジとマージンコール。1920年代は、投資家が株価の約10%を頭金として支払い、残りを借り入れる取引が一般的でした。株価が下がると追加の担保(証拠金)を求められ、売却を強いられました。同じ仕組みは現在もあります。FINRAは、証拠金取引(借り入れを使った取引)で買った証券が一定以上下落すると、証券会社がマージンコール(追加証拠金の請求)を出し、満たされない場合は投資家の保有資産を、場合によっては事前通知なしに売却できると説明しています。
- パニックと群集心理。FINRAはパニック売りを、売るのが最善かどうかを十分考えずに大量の株式を手放す行為と定義し、それが自己増幅(売りが売りを呼ぶ)し得ると指摘しています。1987年10月19日には、FRBが、以前の価格水準付近で買い手より売り注文が圧倒的に多かったと記録しています。
- 景気ショックと政策。ブラックマンデー前には、米貿易赤字が予想以上に大きいと報告され、ドル安が進みました。1929年にはFRBの利上げが思わぬ影響を生みました。当時は金本位制(通貨価値を金に連動させる制度)により通貨が連動していたため、海外の中央銀行も利上げを迫られたからです。
- 自動売買と薄い流動性。オプション(一定価格で売買する権利)やデリバティブ(金融派生商品)を使った「ポートフォリオ・インシュアランス」は、1987年の下落を加速させました。初期の損失が追加の売りを呼んだからです。2010年5月6日についてSECは、取引時間中に、多くの上場株で「妥当な価格」が突然成立しにくくなったと説明しています。
- 外部からの急なショック。パンデミック、戦争、銀行破綻などは、見通しを予測より速く変えます。2020年3月の下落はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の拡大を受けて起きました。2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻は、住宅ローン関連資産の損失が1年以上にわたり市場を圧迫する中で起きました。
暴落の影響
- 投資家と老後資金への影響。影響の大きさは「時期」に左右されます。運用期間が長い投資家は回復を待てる一方、退職が近い人は安値での売却を迫られることがあります。マージンコールにより、一時的な下落が恒久的な損失に変わる場合もあります。
- 景気と信用(クレジット)への影響。株価下落は家計の資産を減らし、心理悪化は消費を抑えます。ただし、すべての暴落が景気後退(リセッション)につながるわけではありません。1987年は景気後退につながらず、2007〜2009年は約18カ月の景気後退と重なりました。
- 世界市場への影響。市場は貿易、そして一方の市場の損失を補うために他方の市場を売る資金(ファンド)などを通じてつながっています。2020年はパンデミックが主要市場を同時に直撃しました。
- 企業への影響。株価が下がると、新株発行で資金調達するコストが上がります。借金の多い企業は借り換え(返済資金を再調達すること)が難しくなる場合があります。金融機関は問題の中心になり得ます。2008年9月、リーマン・ブラザーズは破綻し、翌日にはFRBが保険大手AIGを支援しました。
暴落時、市場はどう守られるのか
ブラックマンデー後、急な売りが出た際に取引所が売買を一時停止できる規則など、複数の改革が行われたとFRBは説明しています。現在、米国には主に2つの仕組みがあります。
市場全体のサーキットブレーカー
SECのInvestor.govによると、米国の株式・先物市場では、S&P500が前日終値から7%(レベル1)、13%(レベル2)、20%(レベル3)下落すると取引を停止できます。米東部時間で午後3時25分より前にレベル1または2に達すると、取引は15分停止します。レベル3に達した場合は時間に関係なく、その日の取引が終了します。午後3時25分以降のレベル1または2の下落では取引は止まりません。
リミットアップ/リミットダウン(価格変動幅)
個別株では、SECによれば、直近5分間の平均価格を中心に価格帯(許容される価格の範囲)が設定されます。株価が価格帯の端に達し、15秒以内に範囲内へ戻らなければ、その銘柄の取引は5分停止します。
これらは売りのスピードを落とし、投資家が状況を整理する時間を与えます。ただし、下落を止めるものでも、暴落を必ず防ぐものでもありません。SECによれば、2010年5月6日はダウ平均が一時、前日終値比で9.16%下落して短時間で大きく戻しましたが、サーキットブレーカー発動には至りませんでした。2020年3月は、市場全体の取引停止があっても、その後S&P500は下げ続けました。
取引再開後に見るポイント
- 秩序だった下げか、混乱した下げか。市場が機能しながら下げるのと、価格が飛び(ギャップ)、流動性が消える局面は別です。2010年5月6日のように、取引コストやスリッページ(想定より不利な価格で約定すること)が増えます。
- 下落がどの水準に達したか。調整局面の範囲で止まるのか、20%を超えるのかは、弱気相場へ移行しているかを判断するうえで分かりやすい材料です。
- 当局の対応。1987年と2008年のいずれでも、FRBの声明や支援が対応の一部でした。中央銀行や規制当局の発表は追う価値があります。
- 反発と「再下落」。急反発があっても、下落が終わった証拠にはなりません。2020年3月、S&P500は1日で9%超上昇する場面があった後も、10日以内に安値の終値を更新しました。
暴落後にトレーダーが取る行動
下落の次に来る意思決定は、価格が安く見え、緊張感が高まり、先が読みにくい局面で何をするかです。
再参入前の見直し
何が起き、なぜ起きたかを確認します。損失は市場全体の下落が原因だったのか、それとも特定テーマへの集中が原因だったのか。レバレッジや現金不足で「やむなく」行った判断は何か、任意で行った判断は何か。暴落は、多くの人にとって損失許容度(どこまでの損失に耐えられるか)を試す最初の場面になりがちです。想定以上に苦しかったなら、ポートフォリオのリスクが高すぎる可能性があります。回復は一様ではなく、底値をリアルタイムで見極めるのは困難です。
調整局面での取引
調整局面とは、直近高値から10%以上下落し、20%には達していない状態です。急落後は、下落分の一部を戻してから再び下げる、あるいは反転することがあります。たとえばブラックマンデー後、ダウ平均は2営業日で下落分の57%を取り戻しました。トレーダーは、直近安値が維持されるか、反発が「崩れた水準」(下落に転じた水準)で止められるかをよく見ます。値動きが大きく、スプレッド(売値と買値の差)が通常より広がるため、平常時の前提で組んだ建玉(ポジション)サイズは大きすぎることがあります。サイズを落とし、エントリー前にストップロス(損失を限定するための自動決済注文)を置くのが一般的です。上げ下げどちらも起こり得る一方、調整局面はいつでも終了、深掘り、反転し得る点を踏まえる必要があります。
調整局面が弱気相場に変わるとき
弱気相場とは、幅広い指数が少なくとも2カ月の期間で20%以上下落する状態です。2022年の弱気相場は約9カ月、2000〜2002年は2年半超かかりました。こうした局面は、途中で反発を挟みながらも、ゆっくりと下げ続ける特徴があります。建玉を数週間〜数カ月保有すると、その間にオーバーナイト金利(保有に伴う日々の資金調達コスト)が発生します。弱気相場では主なリスクも変わります。暴落のような「1日の急変」より、長期間にわたって見通しが外れた場合のコストと、じり安の累積が問題になりやすいのです。
レバレッジとエクスポージャー(総建玉)の管理
下落が長引くほど、重要になるのはトレーダー自身が管理できる要素です。
- レバレッジ。レバレッジが高いほど、わずかな逆行でもマージンコールが発生しやすくなります。利用可能なレバレッジを使い切らず、余裕(バッファ)を残すことで、強制決済までの距離を広げられます。
- 総エクスポージャー。複数の株価指数や株式に分けていても、暴落では同時に下げることが多く、見かけほど分散になりません。建玉ごとではなく、すべての建玉を合算した「総額のリスク」を確認します。
- 1取引あたりのリスク。1つの取引で許容する最大損失を、口座資金に対する小さな一定割合として事前に決めることで、1回の失敗で結果が決まる事態を避けやすくなります。
- 証拠金維持率(マージンレベル)。定期的に確認します。追加の下落に耐えられない入金額であれば、サイズを減らす理由であって、レバレッジを増やす理由ではありません。
リバランスとドルコスト平均法
中長期の投資家にとって、リバランスとは、資産配分(株式・債券などの比率)を当初の目標に戻すことです。株価下落後は、目標比率を回復させるために株式を買い増す行動につながる場合があります。ドルコスト平均法は、一度にまとめて投資するのではなく、一定額を定期的に投資する方法です。いずれもルールに基づく手法で、市場のタイミングを当てる行為ではありません。損失を防いだり利益を保証したりするものではなく、適切かどうかは個々の状況によります。
暴落・調整局面・弱気相場の違い
3つの用語は、下落の大きさとスピードの違いを表します。目安となる水準はSECとFINRAに基づきます。
| 用語 | 一般的な目安 | 典型的な下落ペース |
|---|---|---|
| 調整局面(Correction) | 直近高値から10%以上の下落(FINRA) | 比較的ゆるやか:数週間〜数カ月 |
| 弱気相場(Bear market) | 幅広い指数が少なくとも2カ月の期間で20%以上下落(SEC Investor.gov) | 数カ月〜数年 |
| 暴落(Crash) | 公式な基準はないが、突然の大幅下落(数日で二桁下落など) | 急激:数時間〜数週間 |
これらは重なります。2020年のように、暴落が調整局面を一気に突き抜けて弱気相場に入ることもあります。弱気相場の途中に暴落が含まれることもあり、多くの調整局面は弱気相場に至らず終わります。
歴史に見る株式市場の急落:調整局面・弱気相場・暴落
弱気相場寸前で止まった調整局面から、記録的な下落まで、7つの局面を見ると幅の広さが分かります。いずれも配当を含まない「指数の終値」で測っています(配当は投資家の総収益には重要ですが、指数水準には通常反映されません)。
調整局面:2018年
S&P500は2018年9月20日から12月24日までの95日間で19.8%下落し、弱気相場の目安である20%にわずかに届きませんでした。下落幅は大きく不安を誘いましたが、進行は緩やかで、特定の「1日」が象徴になることはありませんでした。結果として、より大きな下落には発展しませんでした。
弱気相場:2022年
S&P500は2022年1月3日から10月12日までの約9カ月で25.4%下落しました。特定の1日が象徴になる下げではなく、20%の水準をゆっくり割り込んだ点が、暴落との違いです。
暴落:1987年と2020年
1987年10月19日、ダウ平均は508ポイント(22.6%)下落しました。FRBは、これを史上最大の1日あたり株価下落と説明しています。1929年と異なり、景気後退や銀行危機にはつながりませんでした。ダウ平均は2営業日で下落分の57%(288ポイント)を回復し、暴落前の高値も2年未満で回復しました。
S&P500は2020年2月19日の終値3,386.15から、3月23日の終値2,237.40へと下落し、23営業日で調整局面と弱気相場の目安をともに通過しました。日々の変動も極端で、指数は3月12日に9.51%下落、3月13日に9.29%上昇、3月16日に11.98%下落しました。Federal Registerによれば、米株式市場は市場全体のサーキットブレーカー規則により4回取引停止となりました。S&P500は2020年8月18日に2月の高値を上回って引けました。景気後退は2カ月(NBERによる2020年2月〜4月)にとどまりましたが、米失業率は3.5%から14.8%へ上昇しました。
深刻な例:1929年、2000年、2007年
FRBによれば、1929年10月28日(ブラックマンデー)にダウ平均は約13%下落し、翌日も約12%下落しました。ダウ平均が1929年の高値を終値で上回ったのは1954年11月23日です。FRBは、金融システムの別の部分で生じた問題が、本来なら短期で済む可能性もあった景気後退を、同国で最も長く深い大恐慌へと変えてしまったと指摘しています。
ナスダック総合指数は、インターネット関連の評価が崩れたことで2000年3月から2002年10月にかけて77.9%下落し、2000年の高値を終値で上回ったのは2015年4月23日でした。S&P500は、米住宅価格が1998〜2006年に2倍超となった後、2007年10月から2009年3月にかけて56.8%下落し、2007年の高値を終値で上回ったのは2013年3月28日でした。米失業率は2009年10月に10.0%でピークとなりました。
CFDで下落相場を取引する
株式の現物投資では、通常は価格が上がったときに利益が出ます(空売りをする場合は別で、株を借りて売る必要があります)。一方、CFD(差金決済取引)は、何かを借りなくても「売り」から建てられます。そのため、CFDを理解しているトレーダーは、暴落局面を「ただ耐えるしかない市場」ではなく、取引する、ヘッジする、あるいは取引を見送る市場として扱えます。
CFDを活用する方法
ヘッジとは、別の場所で起こり得る損失を相殺するための建玉を持つことです。FINRAは、リスクを抑える目的で損失を埋め合わせる投資を行うこと、と説明しています。株式ポートフォリオを保有し、市場下落が心配な投資家は、株価指数のCFDで売り建て(ショート)を行い、市場が下がれば利益が出るようにして、ポートフォリオの損失の一部を相殺できます。仕組みと実務上の制約は、指数CFDで株式ポートフォリオをヘッジする方法で解説されています。
ヘッジは完全でなくても役に立ちます。完璧でないヘッジでも下落時の影響を和らげ、冷静さを保ち、計画を守りやすくします。ただし代償もあります。指数がポートフォリオと完全には連動しないこと、ヘッジ自体にコストがかかること、相場が上昇すればヘッジ側は損失になり、ポートフォリオの利益を一部打ち消すことなどです。ヘッジはリスクを「減らす」もので、「なくす」ものではありません。ヘッジ手段としてよく使われるのが、ショート(売り建て)です。
CFDのショート(売り建て)の仕組み
ショート(売り建て)とは、価格が下がると利益になる建玉を持つことです。CFD(差金決済取引)では、原資産(株式や指数など)を保有しなくても売り建てを行い、後で買い戻して決済できます。現物を売る取引と異なり、保有資産を処分する行為ではありません。CFDでは、売り建ては取引の形式にすぎず、資産の受け渡しは起きません。ロング(買い建て)はその逆で、価格上昇で利益になる買い建てです。
たとえば指数が20,000で、1ポイントあたり1米ドルの契約を1枚売った場合、19,000まで下がればコスト前で1,000米ドルの利益、21,000まで上がれば1,000米ドルの損失になります。これは説明のための例で、契約の大きさ、必要証拠金、コストは提供会社によって異なります。
ショートは、価格が上がるほど損失が大きくなり得ます。
下落相場の見方
下落トレンドは一般に、「戻り高値が切り下がり、安値も切り下がる」連続で判断されます。反発は前回の高値を超えられず、下落は前回の安値を割り込む、という形です。下落相場をショートするトレーダーは、直近の高値を目安にし、その少し上にストップロスを置くことがよくあります。トレンドが崩れれば建玉を閉じるためです。ストップまでの距離が、許容損失に応じた建玉サイズを決めます。ストップが広いほど、建玉サイズは小さくします。暴落では値動きが荒く、ストップに余裕が必要になるため、建玉は大きくするのではなく小さくする判断につながります。
暴落時によくある失敗
- 底値で全部売る。大きく下げた後のパニック売りは損失を確定させ、いつ来るか分からない回復を逃すリスクがあります。
- 正確な底値を当てようとする。専門家でも反転を当てるのは難しく、下落局面の途中の反発に惑わされやすくなります。
- レバレッジをかけすぎる。借り入れを使うと、価格が最も安い局面で売却を迫られます。
- 集中投資。資産の大半を1銘柄、1業種、1テーマに偏らせると、下落時のクッションがありません。
- コストを軽視する。変動が大きい市場では、スプレッド、資金調達コスト、スリッページが増え、小さな建玉でも損益を削ります。
- リベンジ取引。損失を取り戻すために建玉サイズを増やすと、損失をさらに広げやすくなります。
- 過去がそのまま繰り返すと決めつける。暴落は毎回、原因も回復の道筋も異なります。
VT Marketsのデモ口座では90日間の練習ができ、資金を危険にさらさずに急な値動き、証拠金、ストップロスの動きを体験できます。
株式市場の暴落に公式な定義はありませんが、典型的な流れは共通しています。割高な評価、借り入れ取引、そして引き金が重なるとパニックが広がり、価格は多くの投資家の想定より速く下がります。1929年から2020年までの歴史を見ると、数週間で3割超の下落が起こり得ること、回復には数カ月から数十年かかり得ること、そして暴落の原因は毎回同じではないことが分かります。
トレーダーが管理できるのは「構造」であり、「時期」ではありません。文章にした計画、下落に耐えられる建玉サイズ、レバレッジとエクスポージャーの明確な把握は、次の下落を予測しようとするより、実務上の耐久力を高めます。CFDは、下落相場でのショートやヘッジといった手段を提供しますが、利益だけでなく損失も拡大し得るため、すべての人に適した商品ではありません。
よくある質問
株式市場の暴落はまた起きますか?
はい。どの時代にも暴落があり、原因も毎回異なります。1929年は証拠金での借り入れ、1987年と2010年は自動的な売り、2020年はパンデミックが背景でした。サーキットブレーカー、証拠金ルール、中央銀行の流動性支援(市場に資金を供給して取引を成り立たせること)などが追加されてきましたが、急落の可能性を完全になくす規則はありません。
暴落から市場が回復するまでどのくらいかかりますか?
幅があります。2020年後のS&P500は約6カ月、1987年後のダウ平均は2年未満、2007年後のS&P500は約5年半、2000年後のナスダック総合指数は約15年、1929年後のダウ平均は25年かかりました。指数は配当を含まないため、配当を再投資した投資家の総収益ベースでは、回復がより早かった可能性があります。
暴落と調整局面の違いは何ですか?
調整局面は、直近高値から10%以上の下落で、数週間〜数カ月かけて進むのが一般的です。暴落は、数日で二桁下落することもある急で大きな下げで、公式な基準はありません。暴落は調整局面を一気に突き抜け、20%以上の下落である弱気相場へ入ることがあります。
株式市場の暴落は景気後退と同じですか?
いいえ。暴落は株価の下落であり、NBER(全米経済研究所)が説明する景気後退は、経済活動の縮小です。2007〜2009年のように同時に起きることもありますが、1987年の暴落は景気後退につながりませんでした。
暴落中に売るべきですか?
個々の状況によって異なり、一般的な情報だけで万人に答えを出すことはできません。運用期間が長い投資家は、パニックで売ると損失を確定させやすい一方、近く資金が必要な人は売却を迫られる場合があります。落ち着いているときに作った計画を基準にし、必要に応じて独立した助言者(利害関係のない専門家)と見直すことが意思決定の土台になります。
サーキットブレーカーとは何ですか?
サーキットブレーカーとは、急落後に取引を一時停止するルールです。米国では、市場全体の取引停止は、S&P500が前日終値から7%、13%、20%下落した場合に発動します。最初の2段階は(米東部時間で午後3時25分より前なら)15分停止し、20%下落ではその日の取引が終了します。
株式市場が暴落するときに利益を出せますか?
CFDなどの手段でショート(売り建て)を行い、下落で利益を狙うトレーダーもいます。ただし高リスクです。反発は突然起こり得ること、レバレッジが損失を拡大すること、価格が飛ぶとストップロスが想定通りに機能しないこと、入金額を上回る損失が出る可能性があることに注意が必要です。すべての人に適した手法ではなく、利益は保証されません。
リスク警告:差金決済取引(CFD)は高いリスクを伴い、すべての投資家に適するとは限りません。レバレッジ(少ない資金で大きな取引をする仕組み)により利益と損失は大きく増幅され、当初の投資額を超える損失となる可能性があります。CFD取引を行う前に、リスクを十分に理解し、投資目的、資金状況、経験水準を慎重に検討したうえで、必要に応じて独立した助言を求めてください。過去の実績は将来の結果を示すものではありません。