キーサイト(Keysight)の株価は、2026年の「派手さはないが着実に伸びた銘柄」の一つです。半導体設計企業やクラウド大手が注目を集める一方で、そうした企業のハードウェアを検証する企業であるキーサイトは、Yahoo Financeによれば52週安値の158.79ドルから高値の389.93ドルまで上昇しました。本ガイドでは、Keysight Technologies Inc(キーサイト・テクノロジーズ)が何をする会社なのか、KEYS株が動いた背景、株価水準(バリュエーション)の読み方、そして株式として追う場合や株式CFDで取引する場合に押さえる点を解説します。なお、株式CFDとは、株式そのものを保有せずに価格変動だけを売買する「差金決済取引(Contract for Difference)」です。
要点(Key takeaways)
- Keysight Technologies Incはニューヨーク証券取引所(NYSE)にKEYSのシンボル(ティッカー)で上場しており、S&P 500(米国の代表的な株価指数)構成銘柄です。
- KEYS株は2026年10月8日に374.67ドルで引け、52週高値389.93ドルまで約4%の水準でした。
- 2026年度第3四半期(会計年度ベース)の売上高は36%増の18.5億ドル、受注は56%増の20.9億ドル。受注が20億ドルを超えるのは2四半期連続です。受注は新規に獲得した注文、売上高は実際に出荷・提供して計上した金額です。
- 主な成長ドライバーはAIデータセンターの増設(ビルドアウト)で、初めて有線(ワイヤライン)売上が無線(ワイヤレス)売上を上回りました。ワイヤラインは光通信などの有線ネットワーク、ワイヤレスは5Gなど無線通信を指します。
- 株価は過去12か月の利益に基づくPER(株価収益率)が約51倍で取引されており、成長期待が株価に織り込まれています。ポジション(建玉)の大きさは慎重に調整する必要があります。PERは「株価が利益の何年分か」を示す指標です。
- 次回の決算発表は2026年11月下旬が見込まれています。
キーサイト株価(今日):KEYS株の現在地
現在値、52週レンジ、時価総額
以下の数値は特定日時点のスナップショットです。株価は毎取引日で動くため、参考値として扱い、取引や投資判断の前に必ず最新の株価を確認してください。
| 指標 | 数値(2026年10月8日時点) |
|---|---|
| 前日終値 | $374.67 |
| 52週レンジ | $158.79〜$389.93 |
| 時価総額 | 約640億ドル |
| PER(実績、過去12か月) | 約51倍 |
| PER(予想) | 約28倍 |
| ベータ(5年、月次) | 1.18 |
| 配当 | なし |
| アナリスト平均目標株価 | $418(12人、コンセンサスは「買い」) |
出所:StockAnalysis、Yahoo Finance。
キーサイト株価が最高値圏に到達した背景
キーサイトの株価は2022〜2025年にかけて、5G投資の一服や顧客の在庫調整(在庫の取り崩し)を背景に横ばいが続きました。しかし2026年に状況が変化しました。四半期決算ごとに成長が加速し、投資家は同社を「景気循環の影響を受けやすい計測機器メーカー」という見方だけでなく、AIバリューチェーン(AI関連の供給網)の一角として評価し始め、株価の評価水準(バリュエーション)が切り上がりました。バリュエーションは、利益や売上などに対して株価が「割高か割安か」を見る評価です。
長期の実績も目を引きます。Benzingaの分析(2026年10月5日公開)によれば、過去10年の平均年率リターンは28.64%で、1,000ドルが約12,314ドルになった計算です。過去の実績は将来を保証しませんが、直近の短期間に大きなリターンが集中したことは読み取れます。
Keysight Technologies Incとは
ヒューレット・パッカードの系譜からKEYSへ
Keysight Technologies Incは、エンジニアが電子機器を設計・シミュレーション(動作を仮想的に再現)・試験するための計測機器とソフトウェアを開発・提供しています。ルーツは1939年創業のヒューレット・パッカード(HP)の計測事業にさかのぼります。その後、事業はアジレント・テクノロジーの一部となり、2014年11月にNYSEへ独立上場し、ティッカーはKEYSとなりました。
本社はカリフォルニア州サンタローザ。従業員数は約1万6,500人で、CEO(最高経営責任者)はSatish Dhanasekaran氏です。決算期末は10月31日で、多くの米企業と四半期の締日が異なります。

テクノロジー・セクター/電気機器・部品:KEYSの業種分類
キーサイトは多くの情報サービスで「テクノロジー・セクター」に分類されます。一方、業種ラベルは提供元で異なります。Yahoo FinanceとStockAnalysisでは「Scientific & Technical Instruments(科学・技術計測機器)」、別のスクリーナー(銘柄検索ツール)ではElectrical Equipment & Parts(電気機器・部品)やElectronic Equipment(電子機器)にまとめられることがあります。呼び方は違っても、「精密な計測ハードとソフトを他のテクノロジー企業に販売する会社」という点は共通です。
分類は、比較対象(同業他社)やセクター型ファンドの中でどの銘柄と並べて見られるかに影響します。KEYSは、半導体テストや光通信関連のTeradyne、Lumentum、Credo Technologyなどと、同じ方向に動く場面があります。
キーサイト株価を支える2つの事業セグメント
キーサイトは事業を2つのセグメント(事業区分)で開示しています。この分け方を押さえると、決算の要点を素早く整理できます。
Communications Solutions Group(通信ソリューション)
Communications Solutions Group(CSG)はより大きいセグメントです。同社の決算リリースによれば、2026年度第3四半期の売上高は13.5億ドルで前年同期比43%増でした。内訳は次の2つです。
- 商用通信(Commercial communications):データセンターのネットワーク、光トランシーバー、無線端末、ネットワーク機器向けのテスト(検証)ソリューション。売上高は56%増の10.1億ドル。光トランシーバーは、光ファイバー通信で電気信号と光信号を変換する部品です。
- 航空宇宙・防衛・政府(Aerospace, defence and government):レーダー、衛星、電子戦、測位(位置を測る)に関する試験。売上高は14%増の3.39億ドル。電子戦は電波を使った防衛分野の技術・システムを指します。
Electronic Industrial Solutions Group(電子・産業ソリューション)
Electronic Industrial Solutions Group(EISG)は、半導体メーカー、一般電子機器、車載、エネルギー関連の顧客を対象とします。同四半期の売上高は21%増の5.01億ドル。経営陣は、先端プロセス(先端ノード)向け生産能力、高帯域幅メモリー、シリコンフォトニクス(光を使う半導体技術)の需要を背景に、半導体向けが過去最高の四半期だったと説明しています。
ソフトウェアとサービスはグループ売上高の約33%を占め、年間経常収益(Annual Recurring Revenue、毎年繰り返し得られる売上)は約24%です(同社の決算準備原稿に基づく)。経常収益はサブスクリプション(定額課金)など継続型の売上で、単発のハード売上より変動が小さくなりやすい特徴があります。
2026年のキーサイト決算:上昇の裏付けとなった数値
会計年度を通じて成長が加速したことが、キーサイト株価の動きを最も端的に説明します。
| 期間 | 売上高 | 前年同期比成長率 | Non-GAAP EPS(1株当たり利益) |
|---|---|---|---|
| 2025年度(通期) | $5.37 billion | 8% | $7.16 |
| 2026年度Q1(〜1月31日) | $1.60 billion | 約23% | $2.17 |
| 2026年度Q2(〜4月30日) | $1.72 billion | 31% | $2.87 |
| 2026年度Q3(〜7月31日) | $1.85 billion | 36% | $3.07 |
| 2026年度Q4(会社ガイダンス) | $1.93〜$1.95 billion | 中央値で約37% | $3.34〜$3.40 |
出所:キーサイトの決算リリース(2025年度、2026年度Q1、Q2、Q3)。Non-GAAP EPSは、会計基準(GAAP)上の一時要因などを除いて算出する「調整後の1株利益」で、企業が実力値を示す目的で使うことが多い指標です。
第3四半期で特に目立った点は次の3つです。
- 受注が売上を上回った。受注は20.9億ドル、売上高は18.5億ドルで、バックログ(受注残)に積み上がりました。受注残は、すでに注文を受けたがまだ売上計上していない分です。
- 利益率が改善した。売上総利益率は69.0%、営業利益率は33.2%に達し、長期目標レンジ(31〜32%)を上回りました。売上総利益率は売上から原価を引いた粗利の割合、営業利益率は本業の利益の割合です。
- キャッシュ創出が強い。フリーキャッシュフロー(事業で稼いだ現金から投資支出を差し引いた手元資金)は4.03億ドルで、自社株買いは約2.10億ドルでした。フリーキャッシュフローは企業の資金余力を測る代表的な指標です。
通期では、会社計画(ガイダンス)の中央値ベースで売上高は約32%増、EPSは約60%増を見込んでいます。ガイダンスは会社が示す業績見通しです。
バリュエーション:PERが示すもの
実績PER(過去12か月ベース)が約51倍ということは、投資家が直近1年の利益の約51年分に相当する水準で株を買っていることを意味します。予想PERが約28倍と低いのは、アナリストが利益の伸びが続くと見ているためです。
両者の差は、市場がキーサイトをグロース株(成長株)として値付けしていることを示します。これは良い面も悪い面もあります。利益成長が計画通りなら、後から見て割高ではない評価に見える可能性があります。一方で成長が鈍化すれば、高い倍率(マルチプル)は下落余地を大きくしやすくなります。なおキーサイトは配当がなく、投資リターンは株価上昇(値上がり益)に左右されます。
キーサイト株価を動かす要因
決算説明の内容は、概ね次の要因に集約されます。
- AIデータセンター投資。800Gや1.6Tといった高速リンク用の光トランシーバーには、新たなテスト機器が必要になります。第3四半期は有線の受注が2倍超となりました。800G/1.6Tは通信速度の規格で、数字が大きいほど高速です。
- 無線規格の進展。5Gの更新投資や6Gの初期研究が無線事業を支えます。
- 半導体設備投資。先端半導体やメモリーでは、測定・検査工程が増えやすく、計測需要につながります。
- 防衛予算。レーダー刷新や衛星関連プログラムが航空宇宙・防衛分野の需要を後押しします。
- 受注動向とガイダンス。市場は、当四半期の実績よりも「受注」と「次四半期の見通し」に強く反応することがあります。
- 市場全体のムード。ベータが1.18のため、KEYSはS&P 500に対して上にも下にも「やや大きめ」に動きやすい傾向があります。ベータは市場(ここではS&P 500)に対する値動きの大きさを示す指標で、1より大きいと市場より振れやすいことを意味します。
KEYS株を追う前に押さえるポイント
株価は一直線には動きません。KEYSも例外ではなく、2026年3月に9.9%下落し、4月に20.7%上昇しました。次の点を意識しておくと整理しやすくなります。
- バリュエーションに注意。高い倍率は、決算が市場予想に届かなかった場合の反応を大きくしやすくなります。
- 供給面に注意。Zacksの指摘として、AI関連の一部製品は需要が出荷能力を上回っている可能性があり、出荷(売上計上)のタイミングが四半期間で前後することがあります。
- 景気循環(サイクル)に注意。テスト&計測の投資は顧客の設備投資の波に左右されます。2026年以前の横ばい期間は、その典型例です。
- テーマ集中に注意。直近の成長はAIインフラという単一テーマへの依存度が高く、投資が一服すれば影響が出ます。
- 決算日程に注意。決算前後はボラティリティ(価格の振れ)が高まりやすく、寄り付きで価格が飛ぶ(ギャップが出る)ことがあります。ボラティリティは値動きの大きさです。
基本的な対策として、取引を始める前に最大損失額を決め、損切り(ストップ)注文や利確(テイクプロフィット)注文を、より広いリスク管理の一部として活用する方法があります。損切り注文は一定の損失で自動的に決済する注文、利確注文は目標利益に達したら自動的に決済する注文です。
トレーダーがCFDでキーサイト株を追う方法
米国株へのエクスポージャー(価格変動への関与)を得る方法は大きく2つあります。証券会社で現物株を買う方法と、差金決済取引(CFD)で取引する方法です。CFDは株式を保有せずに値動きだけを売買するため、上昇を狙う買い(ロング)だけでなく、下落を狙う売り(ショート)も可能です。
CFDはレバレッジを使います。レバレッジは少ない証拠金で大きな金額の取引を行う仕組みで、利益だけでなく損失も拡大します。また、取り扱い銘柄は取引会社や地域で異なるため、利用中のプラットフォームの銘柄一覧で、どの米国株CFDが取引できるか確認してください。
どちらの方法でも、手順を定型化すると判断がぶれにくくなります。
- 決算日と会社のガイダンスを確認する。
- 受注と売上高を比較し、需要の強さを確認する。
- テクニカル分析と移動平均線で、株価がトレンドに対してどこに位置するか確認する。テクニカル分析は価格や出来高の推移から相場を読む手法、移動平均線は一定期間の平均値でトレンドを把握する指標です。
- 米国市場の取引時間を自分のタイムゾーンで確認する。
- 取引前にポジションサイズ(取引数量)と撤退水準(損切り・利確の価格)を決める。
よくある質問(FAQ)
KEYSとは何のシンボルですか?
KEYSはNYSEに上場するKeysight Technologies Incのティッカーシンボルです。同社は2014年11月に独立企業として上場して以降、このシンボルで取引されています。
2026年にキーサイト株が大きく上昇した理由は?
売上高の成長率が四半期ごとに加速し、会計年度Q1の約23%からQ3の36%へ伸びました。主因はAIデータセンター向けテスト機器の需要です。過去最高の受注と利益率の改善が重なり、投資家の評価が高まりました。
キーサイトは配当を出していますか?
いいえ。キーサイトは現時点で配当を実施していません。その代わり、約2.10億ドル(2026年度Q3)を含む自社株買いで株主還元を行っています。自社株買いは会社が自社株を市場で買い戻すことで、発行済み株式数が減れば1株当たり利益の押し上げ要因になりえます。
次回のキーサイト決算はいつですか?
データ提供会社では、2026年度Q4(第4四半期)決算は2026年11月23〜24日と表示されています。ただし、会社のIR(投資家向け情報)ページで確定日が示されるまで暫定と考えてください。
VT MarketsでオンラインCFD取引を始める
キーサイト株価やテクノロジー株の理解を実際の市場で生かしたい場合、VT Marketsは、取引開始に役立つツールとプラットフォームを提供しています。
MetaTrader 4(MT4)やMetaTrader 5(MT5)といった高機能プラットフォームで取引できます。決算発表で数字が出た瞬間に株価が大きく動く局面では、スピードや安定性、分析機能が重要になります。
取引が初めての方は、VT Marketsのデモ口座で練習してから実口座を検討できます。資金リスクを負わずに、株式CFD、米株指数、コモディティ(商品)などで決算イベント時の値動きを疑似体験できます。