
要点
- 金(XAUUSD、金の国際価格を米ドル建てで示す通貨ペア)は、先週前半の売り圧力の後、買い戻しが入り4,300ドルを回復した。
- 米8月の総合CPI(消費者物価指数。家計が購入する商品・サービス価格の平均的な動きを示す指標)は前月比0.4%上昇し、物価上昇圧力が続いているとの見方を強めた。
- インフレの強さを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派(利下げに慎重で、金融引き締めを維持しやすい姿勢)を続けるとの観測が高まっている。
- 金利上昇と米国債利回りの上昇は、利息を生まない金の相対的な魅力を下げ、相場の重しになり得る。
- XAUUSDは反発しており、FRBの判断を前に4,300ドルが重要な目安として意識されている。
市場の動き
金(XAUUSD)は、先週前半に売りが強まった後、心理的節目である4,300ドルを回復した。
足元では、日中高値の4,349.99ドルに向けて持ち直している。
ただし、なお1.22%下落しており、反発は短期の改善を示す一方、全体としての売り圧力を完全に打ち消したとは言い切れない。
注目点
金の先行きを左右する材料として、米国のインフレ動向が引き続き中心にある。
米8月の総合CPIは前月比0.4%上昇し、インフレ圧力が根強いとの見方が強まった。インフレが強いままだと、FRBは物価目標の達成が遅れていると判断し、引き締め的な金融政策(高金利を維持して景気と物価の過熱を抑える政策)を続ける可能性がある。
金利が上がると米国債利回り(国債を保有した場合に得られる利回り)も上がりやすく、利息のない金を持つことの不利(機会費用=他の運用で得られたはずの利益を失うこと)が意識されやすい。
それでもXAUUSDが4,300ドルを回復したのは、地政学リスクや景気不安が強い局面で買われやすい安全資産(不安時に資金が向かいやすい資産)としての金が見直されている可能性がある。
次の焦点はFRBの政策判断だ。当局が根強いインフレを重視するのか、それとも景気全体の減速リスクを重視するのかがポイントとなる。
主要な売買水準
| 水準 | 意味合い |
| $4,350 | 目先の上値抵抗線(上がりにくい価格帯)/直近の日中高値 |
| $4,340 | 反発局面での短期サポート(下げ止まりやすい価格帯) |
| $4,330 | 短期サポート/もみ合いの中心となった価格帯 |
| $4,323 | 日中安値/下値の目安 |
| $4,300 | 心理的節目の大きなサポート/相場の分岐点 |
金は現在4,348.92ドル近辺で推移しており、日中安値は4,323.25ドルだった。
4,350ドルは上値の壁となっており、明確に上抜けて定着(しばらく高値圏を保つこと)できていない。
下値では、まず4,340ドルと4,330ドルが意識される。さらに4,323ドル(日中安値)付近まで下げる場合、買い手が反発局面を支えるかが試される。
強気・弱気の想定シナリオ
| シナリオ | 条件 | 注目点 |
| 強気 | XAUUSDが4,330〜4,340ドルを維持し、4,350ドルを上抜ける | 上抜けが続けば、短期の戻り基調が伸びる可能性 |
| 弱気 | 4,350ドル付近で上値を抑えられ、4,330ドルを下回る | 次のサポートは4,323ドル |
| 弱気(強まり) | XAUUSDが4,300ドルを割り込む | 全体の売り圧力が再び強まったサインとなり得る |
強気シナリオでは、XAUUSDが安値を切り上げる動き(下げても前回より高い水準で止まること)を保ち、4,350ドルを上抜けて定着できるかが焦点となる。実現すれば、日中の値動きの範囲を超えて戻りが続く可能性がある。
弱気シナリオでは、4,350ドル付近で何度も上値を抑えられた後、4,330ドルを割り込むと、短期の反発は崩れやすくなる。
免責事項
上記の価格水準と想定シナリオは執筆時点の筆者見解であり、投資助言ではない。VT Marketsによる公式の推奨でもない。取引にあたっては自ら検討し、損失管理(リスク管理)を徹底したい。
XAUUSDの見通し
XAUUSDの方向性は、4,300ドルを維持できるかが一つの分岐点となる。もっとも、FRBの判断次第で反発が本格的な戻りにつながるかが左右される。
FRBがインフレを重視すれば、高金利が続くとの見方が強まりやすい。米国債利回りと米ドルが強含み、金には改めて下押し圧力がかかる可能性がある。
一方で当局が景気全体の減速リスクを重視すれば、利上げ観測(追加の利上げがあるとの見方)が後退し、XAUUSDを支える材料になり得る。
当面は4,300ドルが大きな分岐点で、4,350ドルは足元の反発がより強い上昇に変わるかを分ける目安となる。
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FAQ
米国のインフレが強いのに、なぜ金は反発したのか?
高金利観測は金の重しになりやすい一方、下落局面で買い戻しが入りやすい。加えて金は、インフレへの備え(物価上昇で現金の価値が目減りするリスクへの備え)や安全資産として買われることがあり、反発を支えた可能性がある。
なぜFRBの判断が金に影響するのか?
FRBの政策は米金利、米国債利回り、米ドル相場に波及する。金利や利回りが上がると、利息のない金を持つ不利(機会費用)が意識されやすい。反対に、将来の利下げ観測が強まると金は支えられやすい。
XAUUSDで4,300ドルが重要な理由は?
4,300ドルは心理的節目であると同時に、直近の反発後の重要な下値支持帯だ。上で推移できれば反発基調を保ちやすい一方、明確に割り込んで定着すると売りが再び強まった可能性を示す。
金の目先の上値抵抗線は?
チャート上では4,350ドルが目先の上値抵抗線となる。XAUUSDは日中高値が約4,349.99ドルで、まずこの水準を上抜けできるかが注目される。
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