
ポイント
- 北海ブレント原油は105ドルを上回った。サウジアラビアへの攻撃再燃に加え、ホルムズ海峡周辺での船舶航行リスクが意識され、供給不安が再浮上した。
- サウジの「東西パイプライン(国内東部の産油地帯から紅海側のヤンブー港へ原油を送る幹線)」がドローン攻撃で停止。日量最大約400万バレルの輸送が滞れば、世界の石油消費の約4%に相当する供給が影響を受け得る。
- ホルムズ海峡(中東からの原油・天然ガスが通過する主要海上輸送の要衝)は依然として最大のリスク地点。安全保障上の懸念から、最近の航行は平常時より低い水準にある。
- 原油高は燃料・輸送・生産コストを押し上げ、物価上昇(インフレ)が高止まりするとの懸念を強める。
- エネルギーコストの上昇は米連邦準備制度理事会(FRB:米国の中央銀行)の金融政策見通しも難しくする。市場では追加利上げの確率が高いと見込まれている。
市場の動き
ブレント先物(UKOUSD、ブレント原油の価格を示す取引シンボル)は月曜日、フーシ派による新たな対サウジ攻撃やホルムズ海峡周辺の事案を受け、1バレル=108.23ドルまで上昇した。
UKOUSDは一時108.00近辺で推移した後、107.30付近まで急落。その後は買いが戻り、107.70近辺へ持ち直した。
地政学リスクに関する報道が短時間で変化するなか、参加者は材料に反応しつつ、価格の方向性を探っている。
注目点
焦点はサウジの東西パイプライン(東部の産油地帯から紅海側のヤンブー港へ原油を運ぶ重要ルート)にある。
同パイプラインはドローン攻撃を受けて停止した。平常時の輸送量は日量約400万バレル。停止が長引けば、供給減は世界の消費量の約4%に相当し得る。
供給への影響は、物価上昇圧力の強まりにつながりやすい。
原油高が続くと、燃料代や輸送費、製造コストが段階的に上がる。企業が一部を吸収しても、上昇が長引けば最終的に消費者物価へ波及しやすい。
これはFRBの政策運営にも影響する。
米国のインフレ率はすでに2%の目標を上回っている。エネルギー価格の上振れは、インフレの粘着化(下がりにくくなること)を招き得る。専門家の間では、9月会合での0.25%(25ベーシスポイント=金利0.01%刻みで25段階、つまり0.25%)の利上げ観測が強まっており、市場が織り込む確率は直近で約87%に達した。
注目すべき取引水準
| 水準 | 意味(テクニカル上の重要性) |
| 109.13 | 当日の高値。目先の強い上値の壁(レジスタンス=上昇が止まりやすい水準) |
| 108.2 | 日中の上値抵抗帯 |
| 108 | 心理的節目(意識されやすいキリの良い水準)。過去に値動きが固まった領域 |
| 107.8 | 短期の上値抵抗 |
| 107.6 | 短期の分岐点(ピボット=方向感が変わりやすい目安)。9期間移動平均線(直近9本の価格の平均を線にした指標)付近 |
| 107.4 | 最初の下値メド(サポート=下落が止まりやすい水準) |
| 107.2 | 当日の安値圏に近い主要サポート |
| $105.00 | 直近の上抜け後の広めのサポート |
| $100.00 | 大きな心理的節目で、中期トレンドの判断材料 |
107.60近辺が目先の日中の分岐点。価格はこのゾーンを何度も行き来しており、9期間移動平均線も近くで横ばい気味になっている。
107.80を上抜ければ、108.00〜108.20が再び焦点になり得る。その先は当日高値の109.13が意識されやすい。
一方、107.60を維持できなければ、107.40、107.20が次の下値メドとなる。
強気・弱気の想定

| シナリオ | 条件(引き金) | 注目水準 |
| 強気 | UKOUSDが107.60を維持し、107.80を上抜け | 108.00 → 108.20 → 109.13 |
| 弱気 | UKOUSDが107.60を割り、107.40も下抜け | 107.20 → 105.00 |
| 中長期で強気 | ブレントが100ドルを明確に上回って推移 | 供給リスクによる上乗せ分(リスク・プレミアム=不確実性の対価として価格に乗る分)が下支えされやすい |
| 中長期で弱気 | 地政学リスクが後退し、供給ルートが再開 | 105ドル → 100ドル |
強気シナリオは、107.60を保ちつつ107.80を上抜けた場合に強まりやすい。108.00を明確に超えて推移すれば、108.20や当日高値の109.13が視野に入る。
弱気シナリオは、まず107.60割れが起点。107.40を下抜けると107.20が試されやすい。下落が深まれば、広い意味での105ドル近辺が次の焦点となる。
免責事項
上記の価格水準や想定シナリオは執筆時点の筆者の見方であり、投資助言ではない。VT Marketsの公式見解や推奨でもない。取引にあたっては自ら分析し、リスク管理(損失を限定するための管理)を徹底したい。
UKOUSDの見通し:次の焦点
短期のUKOUSDは強気基調だが、ニュース次第で振れやすい状況が続く。
日中の押し目(短時間の下落)が大きくても、価格は105ドルを上回っている。サウジのインフラや海上輸送の混乱が続く限り、需給面では下支え要因となりやすい。
ブレントが100ドルをしっかり上回る限り、地政学リスクと供給不安に伴う上乗せ分が意識されやすい。
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FAQ
ブレント原油が105ドルを上回った理由は?
サウジへの攻撃再燃や、中東の主要航路周辺での事案により、供給途絶リスクが意識されたため。
サウジの東西パイプラインが重要な理由は?
同パイプラインは日量約400万バレルを紅海方面へ送る。これにより、ホルムズ海峡(リスクが高まりやすい海上輸送の要所)を通らずに輸出できる。
ホルムズ海峡が原油価格に重要な理由は?
ホルムズ海峡は世界のエネルギー輸送の大動脈の一つ。過去には世界の原油とLNG(液化天然ガス:天然ガスを冷却して液体にし、運びやすくした燃料)の輸送量の約20%が通過しており、混乱が起きると供給見通しが悪化しやすく、価格が動きやすい。
原油高はFRBの利上げ判断に影響する?
影響し得る。原油や燃料の上昇が続くと、輸送費や生産コストが増え、インフレを押し上げやすい。米国のインフレが目標を上回るなか、エネルギー起因の物価上昇が続けば、金融緩和(利下げなど)に踏み切りにくくなる。市場では追加利上げの確率が高いと見られている。
注目すべきUKOUSDの水準は?
提示チャートでは、目先の分岐点は107.60。上値の壁は107.80、108.00、108.20、次に当日高値の109.13。下値メドは107.40、107.20。大局では100ドルが心理的節目として意識されやすい。
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