
ポイント
- USOUSDは7営業日続伸が止まり、追加的なロシア産燃料の供給が国際市場に戻る可能性を市場が見直した。
- ドナルド・トランプ米大統領がロシアに対する制裁と関税を一時免除する方針を示し、世界の石油供給が増えるとの見方が強まった。
- ホルムズ海峡(中東の主要な原油輸送の要衝)近辺でのタンカー攻撃や、ウクライナによるロシアの石油関連インフラ(輸送・貯蔵などの設備)への攻撃が、供給リスクを引き続き高めている。
- 米輸入物価(海外から入る財の価格。インフレの先行指標の一つ)が上振れし、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ判断を前にインフレ懸念が再確認された。
- 上値抵抗は98.500〜98.550近辺。下値支持は98.400と98.350近辺が短期の方向感を左右しやすい。
市場の動き
米原油相場は10月19日(月)に反落し、7営業日続伸が途切れた。米ワシントンがロシアのエネルギー輸出に対する規制を緩めたことで、世界の供給環境を投資家が再評価した。
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート:米国産の代表的な原油指標)は直近取引で98.498近辺。日中は値動きが荒く、いったん98.550付近まで上昇した後、急落して98.370近辺まで下押しした。その後は98.500付近へ持ち直しており、この日は下落したものの、下値では買いが入りやすいことを示している。
市場が注目する理由
下落の背景は、トランプ大統領がロシアに対する制裁と関税を一時的に免除する決定を下し、ロシア産燃料が国際市場に流入しやすくなるとの見方が広がったことにある。とくにトルコがロシア産ディーゼルの追加輸出分を受け入れる準備を進めていることもあり、供給不足への目先の警戒感はやや後退した。一方、ホルムズ海峡近辺でのタンカーへの攻撃や、ウクライナのドローン(無人機)によるロシアの石油関連インフラへの攻撃が続いており、供給リスクは高いままだ。
金融政策も重要な材料だ。9月の米輸入物価は市場予想を上回って上昇し、エネルギー価格の上昇も一因となってインフレが長引く懸念が強まった。FRBが追加利上げを決めれば、原油には下押し圧力となりやすい。
今後の方向性の手掛かりとしては、FOMC(連邦公開市場委員会:FRBが金利や資産購入などを決める会合)、PCE(個人消費支出)物価指数(FRBが重視するインフレ指標)に加え、ロシアおよび中東のエネルギー供給をめぐる新たな動きが注目される。
重要な取引水準
| 水準 | 価格(米ドル) | テクニカル上の意味 |
| レジスタンス2(上値抵抗) | 98.55 | 直近の日中高値で、上値抵抗になりやすい |
| レジスタンス1(上値抵抗) | 98.5 | 目先の上値抵抗。何度も跳ね返された水準 |
| 現在値 | 98.498 | 直近の気配値 |
| サポート1(下値支持) | 98.45 | 短期の下値支持。もみ合いの中心になりやすい |
| サポート2(下値支持) | 98.4 | 直前の反発安値で、心理的な下値支持にもなりやすい |
| サポート3(下値支持) | 98.370–98.350 | 日中の反発が起きたゾーンで、下値の節目 |
USOUSDは98.500が目先の上値抵抗で、戻りを伸ばそうとする動きが続きにくい。
下方向では、まず98.450が下値支持。ここを割り込むと98.400が意識される。その先は、以前に買いが入った98.370〜98.350ゾーンが次の下値の目安となる。
9期間移動平均線(直近9本の価格の平均を線で示し、短期の流れを確認するための指標)は現在値付近に位置しており、方向感が強くないことを示す。価格が98.500近辺で上下しているため、短期の次の方向を判断するには、上抜け(抵抗線を超えて上昇が続く形)または下抜け(支持線を割って下落が続く形)が定着するかが焦点となる。
強気・弱気の想定シナリオ

| シナリオ | きっかけ | 想定ターゲット | 市場の見方 |
| 強気の持ち直し | 98.500の上で推移を維持 | 98.55 | 買い方が短期的に主導権を取り戻す |
| 強気の上抜け | 98.550を明確に上回って推移 | 一段高(未確認) | 戻り基調が強まる |
| 弱気の上値抑え | 98.500を維持できない | 98.45 | 売り圧力が再び強まる |
| 弱気の下抜け | 98.400を下回る | 98.370–98.350 | 下落の勢いが強まる |
強気シナリオは、USOUSDが98.500超で下値を固めた場合に想定される。目先の売り圧力を買い方が吸収し、98.550の再試しが視野に入る。さらにその上の抵抗を明確に上抜けて定着すれば、一段の上昇余地が出やすい。
一方、弱気シナリオは、98.500近辺の戻りが続かない場合に想定される。98.450を割り込むと、次は98.400が焦点となる。
免責事項
上記の価格水準とシナリオは執筆時点の筆者の見解であり、投資助言ではない。VT Marketsの公式見解や推奨でもない。取引にあたっては自身で分析し、リスク管理を徹底すること。
USOUSD予想:この先は?
米国の制裁免除により追加供給の可能性は出たものの、免除措置がどの程度実行されるか、どれだけ安定して続くかは不透明だ。ホルムズ海峡に関わる攻撃やロシアのエネルギー関連設備への攻撃も続いており、海上輸送や輸出設備に支障が出れば、原油の買い戻しが起きやすく、下値は限られやすい。
米国のインフレと金利見通しも相場の方向を左右する。FRBが引き締め姿勢(利上げや高金利維持を続ける方針)を維持すれば、米ドル高と需要見通しの弱さが原油の重しになりやすい。一方、インフレ懸念が弱まれば、市場心理の改善につながり得る。
VT MarketsでUSOUSDを取引
トレーダーはVT MarketsでUSOUSDにアクセスでき、VT Marketsアプリ、MetaTrader 4、MetaTrader 5(いずれも取引プラットフォーム)で原油価格の動きを確認できる。
原油価格は、世界の供給見通し、地政学リスク、在庫統計、海上輸送の混乱といった要因に素早く反応しやすい。これらは値動きの勢いに影響し、価格変動(ボラティリティ)が急に高まる局面を生みやすい。
VT Marketsのチャートおよび相場分析ツールを使えば、値動きの勢いを確認し、サポート(下値支持)とレジスタンス(上値抵抗)を把握し、USOUSDの取引シナリオを検討できる。
よくある質問
きょうUSOUSDが下落しているのはなぜ?
米国がロシアへの制裁と関税を一時免除し、ロシア産燃料の輸出増が見込まれるとの観測が広がったためだ。追加供給の見通しが原油の上値を抑え、地政学的な混乱が続く中でも価格の重しになった。
USOUSDの重要なサポートとレジスタンスは?
上値抵抗は98.500および98.550近辺。下値支持は98.450、98.400近辺で、その下は98.370〜98.350ゾーンが意識される。
ロシアの輸出増があっても原油価格は上昇し得る?
上昇はあり得る。エネルギー関連設備への追加攻撃、ホルムズ海峡周辺の規制強化、海上輸送の混乱が起きれば、供給余力が縮小して価格を支えやすい。
FRBはUSOUSDにどう影響する?
金利が上がると、米ドル高になりやすく、景気や原油需要の見通しが弱まることで価格の下押し要因となり得る。引き締め度合いが弱まる見通しは下支えになり得るが、現物の需給(実際の供給と需要)の状況も重要だ。
USOUSDで次に何を注視すべき?
ロシア産燃料の輸出動向、中東での海上輸送の混乱、米インフレ指標、次回のFRB会合が注目材料となる。
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