
要点
- S&P500は前日比14.41ポイント(0.19%)安の7,443.28で取引を終えた。
- 投資家は中東情勢の緊張再燃と、緊張緩和案の報道を天秤にかけた。
- 第2四半期(4〜6月期)の決算発表が本格化し、アルファベット、テスラ、インテルの決算に関心が移っている。
- 市場はS&P500構成企業の4〜6月期利益が前年同期比26%増になると見込む(従来予想23.7%から上方修正)。
- アップルが指数の最大の下押し要因となり、マイクロソフトとアルファベットが下支えした。
S&P500は小幅安。投資家は中東の動きと主要企業の決算発表を前にした慎重姿勢の間で揺れた。
指数は0.19%安の7,443.28。米主要3指数はいずれも下落し、中東での緊張緩和に向けた動きを見極めつつ、主要企業の決算発表を待った。
下げは限定的だったが、材料待ちの迷いが表れた。
市場が注目する理由
S&P500は決算の山場に入る。主要テック企業の決算は、企業の投資姿勢、AI(人工知能:人の知的作業をコンピューターで行う技術)関連需要、米景気の方向感を映しやすい。
今週はアルファベット、テスラ、インテルが決算を予定。大型テックは指数に占める比率(ウエート:指数の値動きに与える影響の大きさ)が大きく、業績が指数を動かしやすい。
LSEG(ロンドン証券取引所グループ)のデータによると、市場はS&P500全体の4〜6月期利益を前年同期比26%増と予想し、従来の23.7%から上方修正した。もっとも、利益の伸びだけでは不十分になり得る。投資家は先行き見通し(ガイダンス:企業が示す将来の売上・利益などの見通し)と成長の持続性を重視する。
一方、地政学リスク(国際情勢による市場不安)は引き続き心理を左右する。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、サウジアラビアを標的とする海上封鎖を表明し、地域の海上輸送路への懸念が強まった。
投資家は、決算と地政学の両面で、より明確な手掛かりを求めている。
指数を左右するテック株
テック株は下支えしたものの、半導体株の戻りは引けにかけて一服した。
フィラデルフィア半導体指数(米半導体関連株の動きを示す株価指数)は、前週末時点で6月下旬の最高値から20%超下落していた。この日は一時4%近く上昇したが、最終的な上げは0.6%にとどまった。
アルファベットは1.5%高。グーグルがAI向けの自社サーバーチップ(サーバー用半導体)を開発し、計算の効率を高め、外部の供給企業への依存を下げるとの報道が材料となった。
アルファベットはS&P500の上昇寄与度(指数を押し上げた度合い)で3位。マイクロソフトがポイントベース(指数ポイントへの寄与)で最大の押し上げ要因となった。
アップルは2%安となり、指数の最大の下押し要因だった。
重要な売買水準
| 水準 | 市場の注目点 |
| 7,620 | 過去の重要な高値(スイング高値:一定期間での目立つ高値)で、上放れの目安 |
| 7,600 | 重要な上値抵抗帯(レジスタンス:上昇を抑えやすい価格帯) |
| 7,560 | 直近の戻り局面で意識された上値抵抗 |
| 7,520 | 目先の上値抵抗 |
| 7,500 | 心理的節目(数字が切りの良い水準で意識されやすい) |
| 7,486 | 現在の取引水準 |
| 7,440 | 直近安値付近の目先の下値支持(サポート:下落を止めやすい価格帯) |
| 7,400 | 重要な心理的・テクニカルの下値支持 |
| 7,360 | 広めの下値支持帯 |
7,500は重要な心理的節目。この水準を明確に上回って推移すれば、短期の勢い(モメンタム:上昇・下落の強さ)が改善し、次の上値抵抗が意識されやすい。
目先の上値抵抗は7,520付近。ここを上抜け(ブレイク:抵抗帯をはっきり超える動き)れば、7,560、さらに7,600〜7,620の上値抵抗帯が視野に入る。
下方向では、まず7,440が目先の下値支持。割り込めば(下抜け)、7,400、その後は7,360付近の下値支持帯が意識される。
強気・弱気の想定シナリオ

| シナリオ | 条件(トリガー) | 想定される反応 |
| 強気の下げ止まり | 7,440を維持 | 買いが7,500回復を試しやすい |
| 戻りの加速 | 7,520を上抜け | 7,560方向へ上昇しやすい |
| 強気の上放れ | 7,560を上抜け | 7,600〜7,620へ勢いが続きやすい |
| レンジ内のもみ合い | 7,440〜7,520の範囲に収まる | 横ばい推移が続きやすい |
| 弱気の下抜け | 7,440を下抜け | 売りが7,400を目標にしやすい |
| 調整の深まり | 7,400を下抜け | 7,360方向へ下落しやすい |
S&P500はレンジ相場(一定の範囲で上下する展開)にあり、7,440が重要な下値支持、7,520が目先の上値抵抗となっている。
強気シナリオは、買いが上値抵抗を上回って主導権を取り戻せるかが焦点。7,520を上回って定着すれば、7,560、さらに7,600〜7,620が意識される。
弱気シナリオは、7,440割れで現実味が増す。その場合、7,400、7,360へ下押しするリスクが高まる。
免責事項
上記の水準やシナリオは執筆時点の筆者見解であり、投資助言ではない。取引は自ら分析し、リスク管理(損失の拡大を防ぐための管理)を徹底したい。
CFDでSP500を取引する理由
SP500のCFD(差金決済取引:現物を保有せず、価格差だけを受け渡しする取引)なら、指数や構成銘柄を保有しなくても、上昇・下落の両方向を狙える。
決算、FRB(米連邦準備制度理事会:米国の中央銀行にあたる機関)の見通し、米国債利回り(金利の代表指標)、テック株の流れが株式市場を動かす局面で、この柔軟性は有効になり得る。
上値抵抗を上抜ければ上昇の継続を、勢いが鈍れば下落余地を点検したい。
CFDはレバレッジ(てこの原理:証拠金に対して大きな取引を行う仕組み)を使うため、小さな値動きでも損益が大きくなりやすい。預けた証拠金以上の損失が出るおそれもある。
今後の注目点
S&P500の主な材料は決算となる。
アルファベット、テスラ、インテルの決算は、AI需要、企業の投資、半導体の持ち直しが続くかを占う材料となる。
中東情勢も重要だ。停戦に向けた進展はエネルギー市場とインフレ懸念を和らげ得る一方、緊張の高まりはリスク資産(景気や心理の影響を受けやすい資産)に重荷となりやすい。
市場の広がり(マーケット・ブレッド:値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差で相場の強弱を測る指標)も確認したい。下落が一部銘柄に限られるのか、指数全体に波及しているのかを見極める手掛かりになる。
テクニカル面では7,500が目先の分岐点。7,520を上回って推移すれば7,560が意識され、7,440を下抜ければ7,400が視野に入る。
よくある質問
S&P500はなぜ下落したのか。
中東情勢を見極める動きと、主要テックの決算待ちで慎重姿勢が強まった。アップル株安も指数の重荷となった。
なぜテック企業の決算がS&P500に重要なのか。
大型テックは指数内の比率が大きい。決算、ガイダンス、投資計画は、市場心理やAI・半導体関連の需給見通しに影響し、指数を動かしやすい。
「利益が26%増」という予想の意味は。
S&P500全体の利益が前年同期に比べて約26%増える、というアナリスト予想を指す。確定ではなく、決算発表が進むにつれて見通しは変わり得る。
今回の下落で弱気トレンドは確定か。
単独では判断できない。下げは小幅で、売り圧力(売りが優勢になる力)が強まっているのか、もみ合いなのかは、その後の値動きで見極める必要がある。
何を最も注視すべきか。
主要テックの決算、中東情勢、原油価格、FRBの見通し、上値抵抗・下値支持のどちらを抜けるかが焦点となる。
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