
要点
- 金は1トロイオンス=4,000ドルの節目を下回った。前日は約7カ月ぶりの安値を付けていた。
- 米国・イランの早期和平合意への期待が後退し、インフレ懸念が再燃。米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測が強まった。
- 米CMEの「FedWatch(先物価格から利上げ確率を推計する指標)」では、9月利上げ確率はおよそ67%と織り込まれている。
- XAUUSD(金の対米ドルレート)は3,982ドル近辺で上値が重い。目先の下値メドは3,970ドル。
- 次の材料は米ADP雇用統計(民間雇用者数の推計)と米雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)。
金相場は水曜日も下落し、1トロイオンス=4,000ドルを割り込んだ。米国・イランの早期和平への期待が薄れ、インフレ懸念が強まったことで、FRBの追加利上げ観測が支えとなった。
現物金は前日に昨年11月以来の安値を付けた後、0.6%安の3,981.69ドル。8月限の米金先物も1.1%安の3,994.40ドルとなった。
差金決済取引(CFD:現物を保有せず、価格差で損益を決める取引)の参加者にとっては、4,000ドルが大きな節目だ。この水準を明確に下回って推移すれば売りが優勢になりやすい。一方、4,000ドルを回復して維持できれば下げ止まりのサインとなり得るが、買い方には追加の裏付けが必要だ。
市場が注目する理由
市場は、金融引き締めに前向きな(タカ派的な)環境に反応し始めている。
米国・イランの和平が遠のいたことで、インフレ圧力が長引くとの見方が出ている。特にエネルギー市場は地政学リスク(政治・軍事要因による価格変動)に影響されやすい。イラン側は、地域を訪れた米国の高官と会談しない考えも示し、早期の外交進展への期待が後退した。
同時に、追加利上げ観測も強まっている。クリーブランド連銀のハマック総裁は、インフレ圧力が弱まらなければ高金利を支持し得ると述べた。市場はCMEのFedWatchを通じて9月利上げ確率を約67%と見ている。
米雇用関連指標も重要だ。5月の求人件数は759.4万件に増えた一方、採用は517.0万件と弱めだった。労働需要は一定の底堅さがあり、FRBがインフレを見極める間も金融引き締めを維持しやすい状況を示す。
金には逆風となる。金は利息が付かないため、金利が上がる局面では相対的な魅力が低下しやすい。米ドルと米国債利回り(国債の利回り=市場金利の代表)が底堅ければ、XAUUSDは戻りが鈍りやすい。
注目の取引水準
| 水準 | 市場の見方 |
| 4,400ドル | 大きな戻りの上値抵抗帯(以前に下抜けたゾーン) |
| 4,300ドル | 短期の戻り局面で意識されやすい上値抵抗 |
| 4,100ドル | 買いが戻れば当面の上値メド |
| 4,000ドル | 重要な節目(心理的な水準)で、現状は上値抵抗帯 |
| 3,982ドル | 足元の取引レンジ |
| 3,970ドル | 日中安値で当面の下値支持 |
| 3,900ドル | 売りが続く場合の次の下値支持 |
| 3,600ドル | 日足で見た場合の大きな下値支持 |
XAUUSDは3,982ドル近辺で推移し、4,000ドルの節目を下回っている。日足では直近高値から調整が進み、勢いが鈍った後の重要な下値支持帯を試している。
短期的には慎重な局面だ。下落を落ち着かせるには4,000ドルを回復し、その上で維持する必要がある。上抜けが定着すれば4,100ドルへの戻りが意識され、買いの勢いが強まれば4,300ドルも視野に入る。
3,970ドルを下抜ければ、売り優勢が続く可能性が高い。その場合、3,900ドルへの下押しが意識され、さらに下では3,600ドルが大きな下値メドになる。
強気・弱気の想定シナリオ

| シナリオ | 条件 | 想定される値動き |
| 強気:下げ止まり | 3,970ドルを維持 | 買いが4,000ドル回復を試す可能性 |
| 強気:戻り | 4,000ドルを上回る | 4,100ドル方向への反発余地 |
| 強気:戻り加速 | 4,100ドルを上回る | 4,300ドル方向へ伸びる可能性 |
| 弱気:下抜け | 3,970ドルを下回る | 売りが3,900ドルを狙う可能性 |
| 弱気:下げ加速 | 3,900ドルを下抜け | 3,600ドル方向へ下押ししやすい |
強気シナリオは、XAUUSDが3,970ドルを守り、4,000ドルを取り戻せるかがカギとなる。ただ日足では調整色が強く、急落後の安値圏にある。
短期の移動平均線(一定期間の平均値で、価格の方向感をみる指標)で下押し圧力の緩和を判断できる。5・10・20期間の移動平均線を下回る状態が続けば売りが優勢。移動平均線の帯を上回れば、早期の下げ止まりを示す場合がある。
MACD(移動平均の差で勢いを測る指標)と出来高(取引量)も次の方向性の確認に使える。MACDが横ばいに近づけば下落の勢いが弱まっている可能性がある。一方、3,970ドル割れで出来高を伴う下落が出れば、3,900ドル、さらに3,600ドル方向への下押しが意識される。
免責事項
上記の価格水準や想定シナリオは執筆時点の筆者見解であり、投資助言ではない。取引にあたっては各自で分析し、リスク管理を行う必要がある。
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VT Marketsは、値動きの監視、重要水準の確認、相場変化への対応に必要な機能を提供する。金が4,000ドルを回復するか、下落が続くかにかかわらず、高機能チャートや口座設定、グローバル市場へのアクセスを通じて状況を追いやすい。
XAAUSDをCFDで取引する理由
CFDは、現物を保有せずに、相場の上昇・下落の両方を狙える取引だ。
そのため、インフレ指標、FRBの金融政策、原油価格、米ドルの動きで短期の値動きが大きくなりやすい局面で使われやすい。
VT Marketsでは、1つの口座で金を含む複数市場にアクセスでき、資産間の値動き(相関)を見ながら機会を捉えやすい。
今後の注目点
米国・イラン情勢、原油価格、米ドル、米国債利回り、次の米雇用関連指標に注目したい。
市場は6月のADP雇用統計と木曜日の米雇用統計(非農業部門雇用者数)を待っている。雇用が強ければ、FRBの引き締め継続観測を支え、金の重しになりやすい。弱ければ利上げ圧力が和らぎ、XAUUSDの下げ止まり要因となる可能性がある。
目先の重要レンジは3,970〜4,000ドル。4,000ドル回復は短期の下げ止まりにつながりやすい一方、3,970ドル割れは売り優勢を示しやすい。
よくある質問
金が4,000ドルを割り込んだのはなぜか
米国・イランの和平期待が後退し、インフレ懸念が強まった。これによりFRBの追加利上げ観測が高まり、金が売られやすくなった。
FRBの利上げが金に影響する理由は
金は利息が付かない。金利が上がると、利回りが得られる資産の魅力が相対的に高まり、金への需要が弱まりやすい。
いまXAUUSDで重要な水準は
最も意識されるのは4,000ドル。回復して維持できれば下げ止まりの材料になり得る。一方、3,970ドルを割り込むと売りが続きやすい。
次に注目すべき指標は
ADP雇用統計、米雇用統計(非農業部門雇用者数)、米ドル、米国債利回り、FRB高官発言。
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