
要点
- XAUUSDは3,943.01ドル。3,870ドル付近から持ち直した。
- 原油安でインフレ(物価上昇)懸念が和らぎ、11月2日の金の反発を支えた。
- 目先の上値抵抗(上がりにくい水準)は3,960~3,970ドル。近い下値支持(下がりにくい水準)は3,940ドル、次いで3,900~3,910ドルが目安。
- 米中間選挙、雇用統計、米・イラン協議が次の値動きを左右し得る。
市場の動き
金は11月3日早朝に3,943ドル近辺で推移し、前日の急伸後も反発の一部を維持した。
11月2日には、米・イランの対立終結に向けた外交努力を背景に原油価格が下落し、スポット金(現物の国際価格)は一時2%超上昇した。エネルギー価格の低下はインフレ懸念を和らげ、金融引き締め(政策金利の引き上げや資金供給の抑制)観測の重荷を軽くした。前の取引で3,870ドル近辺の直近1年安値を付けた後の反発で、火曜早朝の時点でもこの水準は上回ったが、反発高値からは伸び悩んだ。
投資家が注視する理由
市場は、3,870ドル近辺からの反発が一時的な戻りにとどまらず、継続的な回復につながるかを見極めている。原油安でインフレ懸念は後退したものの、次の動きは米国債利回り(米国債の“利回り”。一般に上がると金利高局面と受け止められ、金には逆風)と米ドルも下落するかどうかに左右される面がある。
きょうの米中間選挙は、財政政策(政府支出や税制など)への見方や市場心理を変え得る。加えて、米・イラン協議の進展はエネルギー価格に影響し得る。さらに金曜の米雇用統計(雇用者数、失業率、賃金などの指標)にも注目が集まり、FRB(米連邦準備制度理事会)の12月判断への見通しを揺さぶる可能性がある。
重要な取引水準
| 水準 | 位置づけ | 意味合い |
| 4,000ドル | 心理的な上値抵抗 | 「キリの良い数字(ラウンドナンバー)」を上回れば、直前の下落の一部を取り戻す形になりやすい。 |
| 3,980~4,000ドル | 上値抵抗帯 | 売りが強まる前に取引が集中していた価格帯。 |
| 3,960~3,970ドル | 目先の上値抵抗 | 直近の戻り高値で、上昇継続の最初の壁。 |
| 3,940~3,941ドル | 目先の下値支持 | 直近の下値の目安。表示されているローソク足の安値3,941.09ドルを含む。 |
| 3,920ドル | 中間の下値支持 | 直近のもみ合い(値幅の小さい推移)の下で意識されやすい水準。 |
| 3,900~3,910ドル | 下値支持帯 | 急反発の前に価格が固まっていたゾーン。 |
| 3,870~3,880ドル | 主要な下値支持 | 直近の底値圏で、反発の起点。 |
| 3,850ドル | 下方向の目安 | 直近安値を割り込んだ後に意識されやすいラウンドナンバーの候補。 |
足元は、下落局面の中で反発が入った形だ。3,940ドル近辺を保てば、直近のもみ合いを維持しやすい。3,960~3,970ドルを明確に上回って定着すれば、回復の確度が高まる。
強気・弱気の想定シナリオ

| シナリオ | 条件(引き金) | 想定レンジ |
| 強気:回復シナリオ | 3,960~3,970ドルを上抜けて定着し、押し目(いったん下げた場面)でも同水準が下値支持として機能。 | 3,980ドル、次いで4,000ドル |
| 強気:上昇の延長 | 4,000ドルを回復し、安値を切り上げる展開が続く。 | 4,020ドル、次いで4,040ドル |
| 弱気:上値で失速 | 3,960~3,970ドルで上げきれず、3,940ドルを下抜け。 | 3,920ドル、次いで3,900~3,910ドル |
| 弱気:下落継続 | 3,900ドルを割り込み、反発しても同水準を回復できない。 | 3,880~3,870ドル、直近安値を割れば3,850ドル |
強気シナリオは、金が3,960~3,970ドルを上抜け、押し目でもこのゾーンを保てることが前提となる。その場合、3,980ドル、4,000ドルが視野に入る。さらに4,000ドルを上回って推移し、安値の切り上げが続けば、4,020ドル、4,040ドルへの上昇余地が広がる。
弱気シナリオは、3,960~3,970ドルで上値を抑えられた後、3,940ドルを割り込む展開が軸となる。この場合、3,920ドル、3,900~3,910ドルが目標になりやすい。3,900ドルを明確に下回り、戻しても回復できなければ、3,880~3,870ドルが視野に入り、直近安値を割ると3,850ドルが意識される。
免責事項
上記の価格水準と市場シナリオは、執筆時点の筆者の見方に基づく。VT Marketsによる投資助言や公式推奨ではない。取引にあたっては自身で分析(相場の状況を点検し判断すること)を行い、リスク管理(損失許容額の設定、損切りなど)を徹底したい。
金価格の見通し:次はどうなる?
米雇用や賃金(賃金上昇率)が弱ければ、FRBの追加利上げ観測が後退し、米国債利回りと米ドルが低下して金が上昇しやすい。米・イランの外交が前進し、原油安が続いてインフレ懸念と利上げ観測が和らぐ場合も、金の支援材料になり得る。
一方、雇用指標が強ければ高金利が続くとの見方が強まり、利回りと米ドルが上昇して金が下押しされやすい。原油が再び上昇に転じれば、インフレ懸念を通じて圧力になり得る。外交が後退した場合は、地政学リスクによる安全資産需要(リスク回避で買われやすい需要)が金を支える一方、金融引き締め観測が強まれば逆風にもなり得るため、反応は一方向に限らない。
次の主要材料に注意したい。
- 11月3日:米中間選挙――政府支出、税制などの財政政策への見通しが変わる可能性がある。
- 11月6日:米非農業部門雇用者数(NFP)――10月の雇用統計で、雇用の増減、失業率、賃金の伸びが金利見通しを左右し得る。
- 米・イラン協議――合意進展や決裂は、原油価格とインフレ見通しを素早く動かし得る。
- 12月8~9日:FOMC(米連邦公開市場委員会)――金融政策を決める会合。最新の経済見通し(成長率や物価などの予測)も公表される。
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FAQ
なぜ11月2日に金は反発したのか?
原油安でインフレ懸念が和らぎ、追加の金融引き締め観測が後退したため、直近の「1年安値」から金が持ち直した。
金は強気転換を確認したのか?
まだ確認できない。まず3,960~3,970ドルを上回って定着し、その後4,000ドルを回復すれば、強気の根拠が強まる。
金の主な下値支持は?
近い下値支持は3,940ドル前後で、次いで3,920ドル、3,900~3,910ドル。直近安値圏の3,870~3,880ドルが下方向の主要な目安となる。
原油安は金を支えるか?
支える場合がある。原油安はインフレ圧力を弱め、利上げ観測を後退させやすい。ただし金の反応は、実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いた金利)、米ドル、そして安全資産需要にも左右される。
次に金を動かし得るイベントは?
11月3日の米中間選挙、11月6日の米雇用統計、継続中の米・イラン協議、12月8~9日のFOMCが主な材料となる。
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