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ビットコインとTRUMPUSD:選挙結果への市場反応、2つのシナリオ

by VT Markets /
Oct 29, 2026

2024年の米大統領選は、暗号資産(仮想通貨)市場に強い追い風をもたらした。ドナルド・トランプ氏の勝利を受け、投資家は「暗号資産に前向きな政権」と「規制面での支援(ルール整備の進展)」を期待し、ビットコインは過去最高値を更新した。

熱狂はビットコインにとどまらない。トランプ氏の2025年1月の就任式を数日後に控えたタイミングで、ミームコイン(話題性を基に売買されやすい暗号資産)「Official Trump(TRUMPUSD)」が上場し、投機(短期値幅狙い)資金を集めた。

そして2026年10月。暗号資産の景色は大きく変わっている。

ビットコインは高値から大きく下落し、TRUMPUSDは価値のほぼ98%を失った。2026年11月3日に米中間選挙が迫るなか、投資家は政治要因が暗号資産の熱を再点火させるかを見直している。

ただし、同じ選挙結果でも両者の反応は異なり得る。ビットコインは金融政策(中央銀行の利上げ・利下げなど)と機関投資家の需要に左右されやすい一方、TRUMPUSDはトランプ氏をめぐる政治的な空気により直接影響を受けやすい。変動の大きい局面で取引するなら、法定通貨(政府が価値を保証する通貨)と暗号資産の市場構造の違いを理解し、どのリスクにさらされているかを見極めることが重要だ。

過去の米中間選挙でビットコインはどう動いたのか?

過去を見ると、米中間選挙の年はビットコインが大きく調整(下落を伴う値固め)したあと、その後12カ月で持ち直す場面が目立つ。

直近3回の選挙サイクルでは、いずれも中間選挙後の1年でプラスのリターンとなった。

2014
2018
2024
米中間選挙その後12カ月のビットコイン騰落率
2014年11月49.25%
2018年11月113.15%
2022年11月132.57%

過去の実績は将来の成果を保証しない。

数字は魅力的に見えるが、「中間選挙が暗号資産の上昇を直接引き起こす」という根拠にはならない。2018年は選挙後の最初の1カ月でビットコインが約45.5%下落してから回復した。2022年は暗号資産取引所FTXの破綻が重なり、市場環境がさらに悪化した。

つまり、政治結果に関係なく、ビットコインの方向性は金融環境、資金の流れ(流動性)、暗号資産固有の出来事に大きく左右される。とはいえ、今回の中間選挙は、議会の勢力図が変わるかどうかを通じて、中長期の見通しに影響する可能性がある。

例えば民主党が議会を掌握すると、トランプ政権が暗号資産に関する追加の法整備を進めにくくなる可能性がある。一方で大統領には行政権があり、連邦規制当局の優先順位(取り締まりやルール整備の方向性)には影響力が残る。ビットコインにとって重要なのはトランプ氏の人気そのものより、規制の方向性、経済政策、機関投資家(年金・運用会社など)の参加に関する期待がどう変わるかだ。

TRUMPUSD:政治的な熱狂から98%下落へ

ビットコインと異なり、TRUMPUSDには過去の選挙サイクルをまたいだ実績がない。2025年1月17日、トランプ氏の就任3日前に上場し、ホワイトハウス復帰への期待に乗った投機需要を急速に集めた。価格は10ドル未満から過去最高値の約74.59ドルへ急騰し、時価総額(発行済み数量×価格)は一時140億ドル超となった。

しかし熱は短期間で冷め、2025年4月7日には約7.14ドルまで下落し、高値から90%超の下げとなった。それでも政治材料への反応は極めて大きい。2025年4月23日、主要保有者に「トランプ大統領との限定ディナー」を提供するとの発表を受け、60%超の上昇が起きた。

ただ、この材料は投機需要を一時的に戻したにすぎず、持続的な回復にはつながらなかった。TRUMPUSDはその後も下落し、2026年10月には約1.69ドル近辺まで低下した。値動きが示すのは、TRUMPUSDがビットコインのような機関投資家の普及(ETFなど)よりも、政治的な結びつき、宣伝イベント、短期ポジションに強く左右されてきたという点だ。

ビットコイン vs TRUMPUSD:値動きはどれほど違うのか?

両方とも大きく下げたが、TRUMPUSDの下落ははるかに深い。

Reuters/Ipsosの世論調査では、トランプ氏の支持率は2025年1月の就任時の約47%から、2026年10月26日には約32%へ低下した。同じ期間にTRUMPUSDは約96%下落した一方、ビットコインの下落は約21%にとどまった。政治的な空気の悪化が、トランプ関連トークンへの投機を冷やした可能性はある。

ただし、同時下落だけで「支持率と価格が連動する」とは断定できない。2025年4月の保有者ディナー発表後の急騰が示す通り、宣伝・イベントの材料だけで大きな買いが入ることもある。

なぜビットコインは上値が重いのか?

足元の弱さは、主に3つの要因で説明できる。

  1. FRB(米連邦準備制度)の政策と米ドル

米金利が3.75%〜4.00%の水準にあり、米ドル指数(DXY:複数通貨に対するドルの強さの指標)が102.50近辺まで上昇するなか、資金調達コストの上昇とドル高がリスク資産(値動きが大きい資産)への投資意欲を削いでいる。ドル高と高金利は、投機的な投資の魅力を低下させやすい。

  1. 機関投資家資金の流出

米国の現物ビットコインETF(現物を保有して価格に連動させる上場投資信託)は、10月22〜23日に約7.72億ドルの資金流出となり、それまでの週次での10億ドル超の流入を打ち消した。機関投資家の需要が弱まれば、持続的な回復は難しくなりやすい。

  1. 地政学リスクとインフレ(物価上昇)リスク

原油高と中東の緊張がインフレ圧力を残し、FRBが引き締め的な金融政策(景気を冷やして物価上昇を抑える政策)を続ける要因になり得る。インフレの方向性は市場の焦点であり、物価が粘着的に高止まりすれば、リスク資産に逆風となりやすい。

なぜTRUMPUSDはより厳しい状況にあるのか?

ビットコインがマクロ環境(景気・金利・為替など)に左右されやすい一方、TRUMPUSDは投機需要の低下に加え、保有構造が偏っている問題も抱える。発行上限10億トークンのうち約80%がプロジェクト関係者に割り当てられており、将来のトークン放出が市場に与える影響が懸念されている。

2026年10月時点で、流通(市場で実際に売買されている)しているのは約2億8,200万枚。さらに約4億9,600万枚はロック解除済みだが「流通」とは扱われていない。残る約2億2,200万枚はロック中で、今後市場に出回り得る供給が大きい。

ロック解除の予定(アンロック・スケジュール)も不確実性を高める。関係者向けの2つの割り当て分として、1日あたり約20.5万枚が解除される予定で、足元の価格水準では名目で月あたり約1,000万ドル相当の追加供給に当たる。加えて、11月18日には約2,870万枚(約4,800万ドル相当)が解除予定だ。アンロックは直ちに売却を意味しないが、需要が弱い局面では、供給増が反発の持続性を抑えやすい。

一方で、トランプ氏の保有者向けガラ(招待制のパーティー)開催は、短期の材料になり得る。11月12日の資格締切に向けて需要増を見込む動きは想定されるが、締切後は関心が薄れやすい。さらに、11月22日のイベント前に、規模の大きい11月18日のアンロックが控えている。

こうした要因が同時に走るため、TRUMPUSDは政治・宣伝イベントの前後で短期的な変動が大きくなり得る。ただし、追加供給を吸収できる実需が強まらなければ、上昇の持続は難しい。

米中間選挙はビットコインとTRUMPUSDにどう影響し得るか?

選挙が近づくなか、市場の見立てにはすでに「議会の主導権が動く可能性」が織り込まれている。

10月26日時点のPolymarket(暗号資産を使う予測市場。人々の賭けの価格が確率の目安になる)では、民主党が議席を伸ばす見方が強かった。

重要なのは、金融市場が「結果そのもの」よりも「事前予想と実結果のズレ」に反応しやすい点だ。

ただし、政治要因への感応度はビットコインとTRUMPUSDで異なる。

選挙シナリオビットコインTRUMPUSD
民主党が上下両院を掌握反応は限定的または方向感が出にくい可能性。関心は金融政策と規制へ移りやすい。弱含みになりやすい。議会の監視強化が心理面の重しとなり得る。
ねじれ(上下いずれかが野党)中立〜ややプラス。マクロ環境と機関投資家資金がより重要になりやすい。短期的な安心感はあり得るが、供給懸念は残る。
共和党が上下両院を維持規制面で追い風を期待するなら、上振れサプライズの余地。投機的な急騰の可能性。ただし供給増が上昇の持続を抑える恐れ。

民主党が議会を掌握すると、トランプ政権の政策運営に制約が増え、暗号資産改革への期待が後退し得る。

それでもビットコインの方向性は、金利、機関投資家の資金配分、リスク選好(投資家がリスクを取りやすいかどうか)に強く依存する。

TRUMPUSDは、トランプ氏に有利と受け止められる結果であれば、より即時に投機的な反応が出やすい。

トレーダーが注視すべき重要な価格水準

政治要因に加え、テクニカル(価格・出来高などの過去データから需給を読む分析)面の節目も、選挙絡みの変動に対する市場の反応を測る手がかりになる。

10月28日時点で、ビットコインは78,450ドル近辺の注目ゾーンで取引されていた。

下落が続く場合、分析では76,450ドルが下値の攻防(買いが入りやすい価格帯)として意識される。反発を定着させるには買いの厚みが必要で、支えられない場合は下押し圧力の継続を示唆し得る。

TRUMPUSDは、選挙見出しだけに頼らず、政治関連の発表、売買高(取引量)、トークン関連イベントへの反応を重視したい。特に変動が大きい局面では、損失を限定するルール(リスク管理)の徹底が欠かせない。

暗号資産トレーダーは次に何を見るべきか?

2026年の米中間選挙は、暗号資産市場にもう一段の変動をもたらし得る。ただし、ビットコインとTRUMPUSDは、動かす力が異なる可能性が高い。ビットコインは金融政策、機関投資家需要、金融環境の影響が中心である一方、TRUMPUSDは政治的な空気、投機資金、将来の供給増が複雑に絡む。

市場予想、流動性(売買のしやすさ)、値動きがどう変化するかを追う方が、選挙結果を当てにいくより有益になりやすい。同じ政治ニュースでも、資産によって反応は大きく違うため、選挙相場に臨む前に「何が価格を動かしているのか」を整理しておく必要がある。

よくある質問(FAQ)
  1. 米中間選挙は通常、ビットコイン価格にどのような影響を与える?

過去には、中間選挙に向けてビットコインがもみ合い(一定レンジで推移)や調整となり、その後12カ月でプラスになったケースが多い。ただし回復の主因は、選挙結果そのものというより、マクロ環境、流動性、中央銀行の政策(利上げ・利下げ)であることが多い。

  1. なぜTRUMPUSDはビットコインと比べて選挙への反応が違うのか?

ビットコインは、FRBの金利、インフレ指標、現物ビットコインETFの資金流入出など、マクロ要因の影響が大きい。一方TRUMPUSDはミームコインで、価格はトランプ氏をめぐる政治的な空気、保有者向けイベントなどの宣伝材料、個人投資家の投機売買に左右されやすい。

  1. 現在、ビットコインに影響する主なマクロ要因は?

高金利、米ドル指数(DXY)の強さ、エネルギー価格に関連するインフレ懸念、現物ビットコインETFからの機関投資家資金の流出が逆風となっている。

  1. トークンのアンロックはTRUMPUSDの価格にどう影響する?

アンロック(ロック解除)は、これまで売買できなかったトークンが流通可能になることを指す。TRUMPUSDでは、関係者分の毎日の解除や、近く予定される大口の解除により、市場で売れるトークンが増える。需要が十分でないと、供給増が価格の下押し要因になりやすい。

  1. 選挙期間中、暗号資産トレーダーが注視すべきテクニカル水準は?

ビットコインは76,450〜78,450ドル近辺が重要な支持帯(下げ止まりやすい価格帯)として意識されている。TRUMPUSDは、テクニカル指標だけでなく、突発的な売買高の急増や、保有者イベントの締切などニュース材料による動きに重点を置くべきだ。

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