米ドルは米国債利回りの低下を受けて下落基調を強めた。地政学的緊張の再燃に加え、AI関連株をめぐる不安がリスクオフのムードを一段と強めた。原油が上昇しても、ドルは恩恵を受けられなかった。米ドル指数(DXY)は週間で2週連続の下落となり、一時は3週間ぶり安値となる101.50近辺まで下げた後、下げ渋った。市場は米国の重要指標が目白押しだ。10月26日にシカゴ連銀全米活動指数、27日にADP雇用統計、住宅着工許可(確報)、耐久財受注、新築住宅販売、FHFA住宅価格指数、コンファレンス・ボード消費者信頼感指数、API週間在庫統計が予定される。28日はMBA住宅ローン申請件数、財(モノ)貿易収支(速報)、卸売在庫、EIA在庫統計。29日は新規失業保険申請件数、PCE、個人所得・個人支出、そしてGDP成長率(第3四半期、改定値)が公表される。30日はシカゴPMIと雇用コスト指数(四半期)が控える。
為替市場では、EUR/USDが先週の反発後に再び反落し、GBP/USDは2週連続で回復基調を維持して一時1.3400を上回った。USD/JPYは一段安となり、156.00近辺の5週間ぶり安値を付けた。AUD/USDは反発し、0.7000を上回る4週間ぶり高値圏に戻した。ユーロ圏の経済日程は、10月26日に独IFO、27日にECBの貸出関連統計、28日に独GfK、29日にユーロ圏消費者信頼感(確報)、30日に独雇用統計、独GDP(第3四半期速報)とインフレ(速報)、さらにユーロ圏GDP(第3四半期速報)が予定される。英国は26日にCBI流通取引、27日にBRC店舗物価、28日に秋季予算、29日に英中銀(BoE)の与信・住宅ローン・マネーサプライ統計、30日にネーションワイド住宅価格とBoEのDMPが予定される。日本は30日まで主要な景気・物価指標の発表が続く。豪州は28日にCPI、29日に交易条件(貿易価格)、30日に生産者物価(四半期)と与信統計に焦点が当たる。中銀会合も相次ぐ。RBNZは10月28日に25bp利上げが予想される一方、タイ中銀(BoT)は据え置き見通し。同日にカナダ中銀(BoC)は25bp利上げ、FRBは据え置きが見込まれる。ECBは29日、日銀は30日で、ともに据え置き予想。講演予定としては、28日にブロック、30日にムサレム、デイリー、ミルズが挙げられる。
米ドルのボラティリティと世界的な中銀スタンスの乖離
米ドル指数が3週間ぶり安値圏の101.50近辺で推移するなか、米ドルのデリバティブ(派生)契約ではボラティリティ上昇に備える必要がある。10月26日から30日にかけて第3四半期GDPやPCE物価指数など重要指標が集中するため、ストラドル戦略は、利回り見通しの変化に起因する値動きを取り込みやすい。過去の事例では、インフレ指標が市場予想から乖離した場合、主要指標が集中する週にDXYが1週間で1.5〜2.0%動くことがある。
また、金融政策の方向性の乖離(ダイバージェンス)にもポジショニングが必要だ。RBNZとカナダ中銀が25bp利上げを準備する一方、FRB、ECB、日銀は据え置きが見込まれる。金利感応度の高いNZドルやカナダドルについて、資金調達通貨(保有通貨)に対してオプションを組み合わせる戦略は、金利差メリットを明確に得やすい。過去の中銀ダイバージェンス局面では、クロス通貨ペアが政策決定を挟んで最大300pips動いた例もある。
AUD/USD、GBP/USD、USD/JPYのオプションにおける戦略機会
AUD/USDは10月28日のインフレ指標発表を前に、重要な0.7000の節目を上回る4週間ぶり高値を試しており、同通貨ペアのオプション・ストラクチャーを注視したい。インフレが市場予想を上回れば、豪準備銀行(RBA)がタカ派的姿勢を強める可能性があり、豪ドルの一段高につながり得る。過去には豪CPIが予想を上回った局面で、日中に80pipsを超える上昇が生じたことがあり、コール・オプションは損失限定で狙える手段となる。
ポンドについては、10月28日の英国秋季予算(Autumn Budget)発表を前に、スターリングのデリバティブでは厳格なリスク管理が求められる。GBP/USDが1.3400を上抜けるなか、政治要因を伴う予算発表は短期物オプションのインプライド・ボラティリティを突発的に押し上げやすい。上方向のターゲット注文を置く、あるいはコール・スプレッドを用いることで、上昇モメンタムに参加しつつ下方リスクを抑制できる。
USD/JPYは156.00近辺の5週間ぶり安値圏で推移しており、10月30日の日本銀行会合と東京都区部CPIを前に、下方向の戦略も検討に値する。米国債利回りの低下と、日本のインフレが粘着的に推移する組み合わせは、同通貨ペアに強い下押し圧力を生みやすい。過去データでは、156.00のような心理的節目を割り込むと、売りが加速して下位のサポートゾーンに向かいやすいことが示されている。
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