
金(ゴールド)とNASDAQ 100は、動く理由が異なります。金は一般に「安全資産(リスク回避局面で買われやすい資産)」として見なされやすい一方、NASDAQ 100は米国の大手テクノロジー企業を中心とした株価指数で、投資家のリスク選好(リスクを取りやすい心理)や成長期待を映しやすい傾向があります。両者の関係は固定ではありません。逆方向に動く時期もあれば、特に金利見通しが変わる局面では同じ方向に動く時期もあります。
本ガイドでは、NAS100とは何か、「安全資産」「リスクオン(積極的にリスクを取る局面)」とは何か、そして2つの市場の関係が変わる理由を解説します。学習目的の内容であり、いずれの取引も推奨するものではありません。
NASDAQ 100(NAS100)とは
NASDAQ 100は、ナスダック市場に上場する「金融業以外」の大型企業100社で構成される株価指数です(ナスダックの指数説明に基づく)。銀行や投資会社などの金融会社は除外されます。採用銘柄は時価総額(企業の株式の合計価値)などを基準に選ばれます。
構成銘柄に大手テクノロジー企業が多いため、テクノロジー分野の比重が大きい指数です。ナスダックは、カバー範囲としてコンピューターのハードウェア・ソフトウェア、通信、小売・卸売、バイオテクノロジーなどを挙げています。銘柄の比率(各社の影響度)などの詳しい計算方法は「Nasdaq-100 Methodology(算出方法の文書)」で公表されています。
NAS100は、この指数をCFD(差金決済取引:現物株を保有せず、価格の差額をやり取りする取引。レバレッジ=少ない資金で大きな取引ができる仕組みを用いることが多い)として扱う際の一般的な呼び名です。同じ指数でも提供会社や取引プラットフォームによってシンボル(表示名)が異なるため、利用中のプラットフォームでの表記を確認してください。取引商品としての指数はNAS100現物(キャッシュ)ガイドで解説しています。
「安全資産」と「リスクオン」をわかりやすく解説
リスクオンとは、投資家がリスクを取りやすい市場心理のことです。資金は、成長と結びつきやすい資産、例えばテクノロジー企業の株式などに向かいやすくなります。リスクオフはその逆で、投資家が慎重になり、リスクが高いと見なされる資産を売って、より安定的と考えられる資産を選びやすくなります。
安全資産(セーフヘイブン)とは、不透明感が強まる局面で資金が向かいやすいとされてきた資産を指します。金は代表例です。金は長い歴史の中で価値が認められてきたこと、中央銀行が外貨準備として保有していることなどが背景にあります。ワールド・ゴールド・カウンシル(World Gold Council)は、市場が不安定な時期における金の役割に関する調査も公表しています。
まとめると、次のような傾向になります。市場心理が慎重になると、金の需要が増えやすく、株式は下がりやすいとされるため、株式が下落する局面で金が上昇することがあります。反対に、市場心理が改善すると逆の動きになりやすいことがあります。ただし、金とテクノロジー株は心理への反応が異なりやすい一方で、常にそうなるとは限りません。
「安全」という言葉は、投資家が金に与えてきた役割を示す表現です。金にリスクがないという意味ではありません。金価格は変動が大きく(ボラティリティが高い=価格の振れ幅が大きいこと)、市場が不安定な時期でも急落する場合があります。
金利:両者に共通する重要要因
金利は、両市場に影響しやすい数少ない要因の一つで、金とNAS100が同じ方向に動くことがある理由にもなります。
金にとって重要なのは実質利回り(実質金利)です。これは国債などの利回りからインフレ率(物価上昇)を差し引いた「実質的な利回り」を指します。金自体は利息を生まないため、実質利回りが低下すると「利息が付く資産を持つメリット」が薄れ、相対的に金を保有しやすくなる傾向があります。逆に実質利回りが上がると、金の相対的な魅力が低下しやすくなります。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の判断や発信は、こうした利回りに大きく影響します。
NAS100では、金利が重要になる理由が少し異なります。成長企業(将来の成長が期待される企業)の株価は、将来得られる利益の見通しが大きく関係します。金利や利回りが低いほど、将来の利益を「現在の価値」に換算したときの価値(現在価値)が大きくなりやすく、金利が高いほど現在価値は小さくなりやすいとされます。このため、テクノロジー企業の比重が高い指数は、金利見通しの変化に敏感になりやすい傾向があります。
つまり、同じニュースが両方に影響することがあります。市場が利下げを見込むと、実質利回りも下がりやすく、その結果、金とテクノロジー株がそろって上昇する場面があります。見通しが逆方向に変われば、両方が同時に重くなることもあります。NAS100は、金を動かす金利関連ニュースの一部に同じように反応します。この「共通の感応度」が、2つが常に逆方向に動くとは限らない理由の一つです。
金とNASDAQ 100の相関(コリレーション)
相関(コリレーション)とは、2つの価格がどれくらい一緒に動くかを示す指標で、-1(逆方向)から+1(同方向)の範囲で表します。金とNASDAQ 100の相関は時期によって変わってきました。逆方向に動いた時期もあれば、同方向に動いた時期もあり、ほとんど関係が見られない時期もあります。
相関は、市場が急変する局面で変わることもあります。急落局面では、投資家が現金化(キャッシュ確保)のために金を含めてあらゆる資産を売ることがあり、平時に成り立っていた関係が崩れる場合があります。また、金利見通しの変化が相関を反対側に押しやることもあります。
直近数カ月だけでも、3つのパターンが見られます。Yahoo Financeの月次データに基づくと、2026年4月にはNAS100が約23,900から約27,450へ上昇した一方、金は約4,700ドルから約4,630ドルへ小幅に下落しました。6月は金が約4,600ドルから約4,040ドルへ下落し、NAS100はほぼ横ばいで約30,300付近で終えました。7月は金が上昇する一方、NAS100は約29,900から約28,300へ下落しました。8月は両方が上昇し、NAS100は約29,500付近で引けました。9月は金が約4,190ドルへ下落する一方、NAS100は上昇して約30,400付近で引けました。
このような理由から、関係性を一つの数値で言い切ることはできません。相関の数値は、「どのデータを使ったか」「どの2つの銘柄か」「どの期間か」を明示して初めて意味を持ちます。また、ある期間の相関が別の期間にも当てはまるとは限りません。さらに、相関は過去の動きを表すだけで、価格が動く理由そのものを説明する指標ではありません。
金とS&P 500の比較では、より広い米国株指数との比較を扱っています。また「金と相関しやすいものは?」では、金が比較されやすい他市場とあわせて本ペアを位置づけています。

NAS100取引で異なる点
金を見ている人は、すでにドル、国債利回り、中央銀行のニュースを追っていることが多いでしょう。NAS100には、これに加えて次の特徴があります。
- 取引時間。金は平日ほぼ24時間取引されます。VT Marketsの取引条件ページでは、NAS100の配信・取引時間(プラットフォーム時間、GMT+3)は月曜~金曜の01:00~24:00とされています。指数の元になる株式は米国の現物市場(現金で株を売買する通常の取引時間)に連動しやすいため、米国市場の開始前後で売買の活発さ(流動性=売買のしやすさ)が変わることがあります。
- 米国市場の寄り付き。米国株式市場の開始直後(寄り付き)は、休場中にたまった注文が一気に出やすく、価格が速い動きになりやすい時間帯です。
- 決算シーズン。企業は四半期ごとに業績(利益など)を発表します。指数は少数の巨大企業の影響が大きいため、1~2社の決算が指数全体を動かすことがあります。
- ギャップ(窓)リスク。ギャップとは、前の取引時間の終値と次の始値の間などで、価格が途中の水準を取引せずに飛ぶ現象です。ポジションの損切り水準などを飛び越えると、想定より損失が大きくなるおそれがあります。
- 共通イベント。FRB会合や米国のインフレ指標は、金とNAS100の両方を動かすことがあるため、金向けの経済カレンダーでもNAS100に必要な材料の一部はカバーできます。追加で重要になるのは主に決算日程です。
取引数量(契約サイズ)、スプレッド(売値と買値の差)、必要証拠金(ポジション維持に必要な資金)は金と異なり、取引条件ページに記載されています。株価指数は値動きが大きく、ポジションと逆方向に急変する場合があります。
両方を持っても「ヘッジ」になるとは限らない理由
金とNAS100のポジションを同時に持っても、必ずしも損益が相殺されるわけではありません。どちらもレバレッジ型のCFDであり、それぞれ必要証拠金があり、損失リスクも別々に存在します。レバレッジポジションを2つ持てば、必要証拠金と総エクスポージャー(市場変動にさらされる金額)は増えやすく、減るとは言えません。
また、両者の関係は崩れることがあります。過去に金とNAS100が逆方向に動いたとしても、それは過去の事実にすぎず、今後も同じとは限りません。市場が混乱する局面や、金利見通しによって両市場が同じ方向に動く局面では、両方のポジションが同時に損失になる可能性があります。一方の利益で他方の損失を補えると決めつけるのは危険です。直近でも、2026年7月と9月は逆方向、8月は同方向に動きました。
FAQ
金とNASDAQは相関していますか?
関係は一定ではありません。金とNASDAQ 100は、逆方向に動いた時期もあれば、同方向に動いた時期もあり、ほとんど関連が見られない時期もあります。固定された関係ではなく、混乱時に反転することもあるため、単一の数値で説明できません。また、ある期間の相関が別の期間にも当てはまるとは限りません。
株が下がるときに金が上がることがあるのはなぜですか?
金は安全資産として見なされやすく、不透明感が強まる局面で資金が向かいやすい資産とされてきました。市場心理が慎重になると、株式から資金が出て金に向かう動きが起きやすいといわれます。ただし、これは傾向にすぎず、株式市場が不安定な時期に金も下落した例もあります。
NAS100とは何ですか?
NAS100はNASDAQ 100指数の一般的な呼び名で、ナスダック市場に上場する金融業以外の大型企業100社を対象とします。テクノロジー分野の比重が大きいのが特徴です。CFDとしては、現物株を保有せずに指数価格の動きを追い、プラットフォームによってシンボル(表示名)が異なる場合があります。
金利は金とNASDAQ 100にどう影響しますか?
実質利回りが上昇すると、利息が付かない金には重しになりやすいとされます。一方で金利が上がると、成長企業の将来利益の現在価値が小さくなりやすく、NASDAQ 100にも影響しやすくなります。金利が低下すると、両方が支えられることがあります。金利見通しは共通の要因の一つですが、それぞれ固有の要因もあります。
金と株は同じ方向に動くことがありますか?
あります。利下げ期待(将来金利が下がる見方)が両方を支える局面では、金と株価指数がそろって上昇することがあります。逆に、利回りが急上昇した局面や、現金確保のために資産が広く売られた局面では、両方が同時に下落することもあります。状況によってパターンが変わるため、常に逆方向に動くと考えるのは危険です。