
重要ポイント
- 米国の非農業部門雇用者数(NFP、農業以外の雇用増減を示す統計)は9月に2万9,000人増と、予想の9万人増を大きく下回った。8月分も13万3,000人増へ下方修正された。
- 雇用指標の弱さを受け、10月会合でのFRB(米連邦準備制度理事会)の追加利上げ観測が後退し、当初は金相場を押し上げた。
- 金は一時4,210ドル付近まで上昇したが、米国債利回り(米国債の利回り。一般に上昇すると金の相対的な魅力が下がりやすい)とドルが持ち直し、上げは続かなかった。
- ドル指数(複数の主要通貨に対するドルの強さを示す指標)は101.9近辺へ低下し、金の下支えになった。
- 今後は米インフレ指標とFRB高官の発言が、10月会合の見通しを左右する材料となる。
市場の動き
統計発表直後、ドルは下落し米国債利回りも低下。市場では「FRBが10月は政策金利(中央銀行が景気・物価調整のために誘導する短期金利)を据え置く」との見方が強まった。金は一時4,210ドル付近まで上昇したが、その後、債券利回りが持ち直し、上昇は続かなかった。
金は4,141.67ドル近辺で寄り付き、一時4,124.64ドルまで下落後、4,149.76ドルへ反発。上昇の勢いが強まり、4,140ドルを上抜けてから4,150〜4,155ドルを試した。ただし上値圏では伸びが鈍い。XAUUSD(金/米ドル)は9期間移動平均(直近9本の価格平均で、短期の方向感をみる指標)を一時上回った後、現在は近辺で推移しており、買いは戻っているものの、明確な上放れは確認しにくい。
注目される理由
米雇用統計が弱かったことで、短期的なFRBの追加利上げ観測が後退し、金はすぐに反応した。9月の非農業部門雇用者数は2万9,000人増にとどまり、予想の9万人増を下回った。失業率(職を探しても見つからない人の割合)も4.2%へ上昇した。
9月の雇用統計を受け、市場の見方は変化した。追加利上げを後押しする内容というより、10月は「利上げ見送り(据え置き)」の可能性が高いと受け止められた。月曜日の市場では、10月利上げ確率は18%程度まで低下した一方、年後半の追加利上げの可能性はなお意識されている。
利上げ観測が弱まると、米国債利回りが低下しやすく、金を保有する「機会費用(利息が付く資産を持たないことによる不利)」が小さくなる。ドル安も金の支えとなりやすい。ただ、金と金利・ドルの関係は一方向ではない。今回はNFP後に米国債利回りが持ち直し、インフレ懸念が残る中で、将来の追加引き締め観測が完全に消えにくいことも示した。
重要な売買水準
| 水準 | 価格帯 | 注目理由 |
| 主な上値抵抗 | $4,210 | NFP後の上昇局面の到達点、直近の上値試し |
| 心理的な上値抵抗 | $4,200 | 切りの良い節目(ラウンドナンバー) |
| 目先の上値抵抗 | $4,160-$4,165 | 足元の高値圏 |
| 重要分岐(ピボット) | $4,150 | 現在値周辺、短期の方向を分ける水準 |
| 下値支持 | $4,140 | 日中のもみ合い・上抜けポイント |
| 重要な下値支持 | $4,125-$4,130 | 本日の日中安値圏 |
| 下方向の次の節目 | $4,100 | 大きな心理的節目 |
目先の攻防は4,150ドル。この水準を維持できれば、4,160〜4,165ドルへの戻りが続く可能性がある。このゾーンを明確に上抜ければ、4,200ドル、続いて金曜高値の4,210ドルが意識される。
一方、4,150ドルを割り込むと、4,140ドル、次いで4,125〜4,130ドルが視野に入る。この支持帯を明確に下抜けると、戻り局面が弱まり、心理的節目の4,100ドルが意識されやすい。
強気・弱気シナリオ

| シナリオ | きっかけ | 確認材料 |
| 強気 | $4,150を維持し、$4,165を上抜け | 上昇の勢いが強まり、米国債利回りが低下 |
| 上放れ | $4,200を明確に上回って推移 | 心理的節目の上で定着し、$4,210の再試しが意識 |
| 押し目 | $4,140-$4,150へ下押し | 買いが支持を守り、9期間移動平均の上へ戻す |
| 弱気 | $4,125を下抜け | 利回り上昇、ドル高、またはFRBのタカ派観測(利上げに前向きな見方)が強まる |
| 弱気拡大 | $4,100を明確に下回って推移 | 短期の値動きの形が崩れる |
強気の場合、買いが4,150ドルを守り、4,160〜4,165ドルを上抜ければ、戻りが続きやすい。さらに4,200ドルを上回って推移すれば、上昇の勢いが強まり、直近高値の4,210ドルが再び焦点となる。
弱気の場合、4,150ドルを維持できず4,140ドルを割り込むと、下押し圧力が強まりやすい。さらに4,125〜4,130ドルの支持帯を下抜けると、短期の戻りは失速し、心理的節目の4,100ドルが意識される。
免責事項
上記の価格水準と想定シナリオは執筆時点の筆者見解であり、投資助言ではない。VT Marketsの公式見解や推奨を示すものでもない。取引にあたっては自ら分析し、リスク管理(損失を限定するための資金管理)を徹底する必要がある。
金の見通し:次の焦点
NFPの弱さにより、10月の追加利上げリスクは低下し、金の支えになりやすい。ただ、金曜の値動きは、米国債利回りが反発したりドル高が進んだりすると、金が下押しされやすいことも示した。
焦点は今後の米インフレ指標とFRB高官発言だ。インフレ鈍化と雇用の伸びの弱さが同時に確認されれば、10月の据え置き観測は強まりやすい。一方、インフレが高止まり(下がりにくい状態)し、タカ派的な発言が重なれば、利回りが高水準にとどまり、4,200ドル超えの定着は難しくなる可能性がある。
VT Marketsで金を取引
XAUUSDのCFD(差金決済取引。現物を保有せず、価格差だけをやり取りする取引)を使うと、現物の金を持たずに金価格の変動を取引できる。金は一般に、ドル、金利、インフレ期待(将来の物価上昇見通し)、地政学リスク(紛争など政治要因による市場不安)とあわせて注目される。US Dollar Index(USDX、ドル指数)も合わせて確認したい。金はドル建てで取引されるため、ドルの強弱が金需要や価格に影響しやすい。
VT Marketsでは、XAUUSDに加え、USDX、外国為替(FX)、株価指数、その他のCFD市場の値動きを確認できる。
VT Marketsで金関連商品を確認する。
FAQ
なぜNFP後に金は上昇したのか?
9月の雇用増加が予想を大きく下回り、10月の追加利上げ観測が後退したためだ。結果として、米国債利回りとドルが当初下落し、金が買われやすくなった。
9月のNFPはどの程度弱かったのか?
非農業部門雇用者数は2万9,000人増で、予想の約9万人増を下回った。失業率も4.2%へ上昇した。
4,210ドル到達後に金が下げたのはなぜか?
NFP直後の反応が一巡した後、米国債利回りが持ち直し、年後半の追加引き締め観測も残ったため、金は上げ幅を縮小した。
次に金を動かす材料は?
米インフレ指標、米国債利回り、ドル、FRB高官の発言が、10月の政策金利見通しの再評価を左右しやすい。市場は据え置きを中心に見ているが、年内の追加利上げ観測は残っている。
今すぐ取引を始めましょう — VT Marketsのリアル口座を開設するにはこちらをクリックしてください。