
要点
- 金(ゴールド)は月曜日、1オンス=4,300ドルを上回って推移した。先週は7%超上昇し、7週間ぶり高値を付けた。
- 米国の雇用指標が弱く、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利上げ(政策金利の引き上げ)するとの見方が後退し、金の支援材料となった。
- 米非農業部門雇用者数(農業を除く就業者数)は7月に2万3,000人減と、市場予想に反して減少。過去分も下方修正された。
- 市場は今週発表の米CPI(消費者物価指数:家計が買うモノ・サービスの値動き)とPPI(生産者物価指数:企業の出荷段階の値動き)に注目している。FRBの今後の金利運営の手掛かりになるためだ。
- ホルムズ海峡(中東の重要な海上輸送路)を巡る不透明感も、原油価格、インフレ見通し、市場心理に影響し得る要因となっている。
金は月曜日、1オンス=4,300ドル付近を上回って推移した。先週は7%超上昇。米国の雇用指標が弱く、FRBが早期に利上げするとの見方が後退したことが背景にある。
取引序盤の金スポット(現物)は1オンス=約4,322ドル。金曜日には6月17日以来の高値を付けた。米雇用統計で就業者数の予想外の減少が示され、金利見通しが見直された。
金は金曜日の高値からはやや下げたが、4,300ドル台を維持している。市場は米インフレ指標を待ち、FRBの次の政策判断を探っている。
今回の値動きは、雇用の弱さを受けて市場の金利観測が変わったことを映している。
金が注目される理由
足もとの金の上昇は、米金融政策(FRBの利上げ・利下げなどの運営)見通しの変化と結びついている。
米国では7月の非農業部門雇用者数が2万3,000人減となった。6月の増加数も2万人へ下方修正された。雇用の弱さから9月利上げ観測が後退し、市場では0.25%(25ベーシスポイント、bp=0.01%を1bpとする金利の単位)の利上げ確率が約44%と織り込まれている。
金利見通しの低下は金の追い風になりやすい。金(地金)は利息や配当を生まない資産のためだ。利回り(債券などで得られる収益率)が下がると、金を保有しても「利息を逃す損(機会費用)」が相対的に小さくなる。
次の焦点は今週後半の米CPIとPPIだ。インフレが市場予想より強ければ、金融緩和(利下げなど)の期待が後退し得る。逆に弱ければ、足もとの「利上げしにくい」という見方を強める材料になる。
地政学も金と市場全体の材料だ。イランは、ホルムズ海峡を通る新たな航路を定めるため、オマーンとの合意に近づいているとした。ただし、海峡の全面的な再開には追加条件が残るという。
この重要航路を巡る不透明感が続けば、原油価格やインフレ見通しに波及し、米金融政策と並ぶ材料として意識されやすい。
主要な価格水準
| 価格水準 | 市場の注目点 |
| $4,360 | 直近高値の上にある上値の壁(レジスタンス:上昇が止まりやすい水準) |
| $4,340 | 上昇直後の目先の上値の壁 |
| $4,320 | 現在の取引水準(短期の目安) |
| $4,280 | 上昇が一服した場合の最初の下値の支え(サポート:下げ止まりやすい水準) |
| $4,240 | 直近の上抜け(ブレイクアウト:節目の上抜け)付近の重要な支え |
| $4,200 | 調整(いったんの下落)が深まる場合の大きめの支え |
金は先週の急伸後、1オンス=4,320ドル付近で推移している。
4,340ドルを上抜けると、短期の勢い(モメンタム:上がりやすさ)が強まり、4,360ドルが次の焦点になり得る。
下方向では4,280ドルを割り込むと、調整が深まり4,240ドルが意識されやすい。さらに弱含めば4,200ドルの支えが視野に入る。
強気・弱気の想定

| 想定 | 条件(トリガー) | 想定される市場の反応 |
| 戻り基調の継続 | $4,320を維持 | $4,340の上値の壁を試す動きになりやすい |
| 強気の上放れ | $4,360を上抜け | 上昇の勢いが強まり、高値更新を狙う展開も |
| レンジでのもみ合い | $4,280〜$4,360を維持 | インフレ指標待ちで方向感が出にくい |
| 弱気の押し目(下落) | $4,280を下抜け | $4,240に向けて売り圧力が強まりやすい |
| 深い調整 | $4,240を下回る | $4,200の支えが意識されやすい |
強気シナリオは、金が4,320ドル付近を維持し、4,340〜4,360ドルの上値の壁を上抜けられるかが焦点だ。4,360ドルを明確に上回って定着すれば、先週の上昇後も買い方が優勢とみなされやすい。
弱気シナリオは、4,280ドルを割り込んだ場合に現実味が増す。この水準を下抜けると、4,240ドルまでの下落余地が意識され、次の注目点は4,200ドルになりやすい。
免責事項
上記の価格水準や想定は執筆時点の筆者見解であり、投資助言ではない。取引は自己判断で行い、損失を限定するためのリスク管理を徹底したい。
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次に注目すべき材料は、米国の経済指標がFRBの見通しにどう影響するかだ。
主なポイントは以下の通り。
- 米CPI:インフレの鈍化が続くのか、再び物価上昇圧力が強まるのか。
- 米PPI:企業側の物価動向。今後のインフレの手掛かりになりやすい。
- FRBの利上げ観測:9月利上げの織り込み度合いの変化。
- 米国債利回り:金利見通しの変化に伴う利回りの動き。
- ホルムズ海峡:イランとオマーンを巡る動き。原油価格や地政学リスクに影響し得る。
テクニカル(値動きの分析)では、上値は4,340ドル、下値は4,280ドルが目先の焦点となる。
よくある質問
米雇用統計の後に金が上昇したのはなぜか。
7月の雇用者数が予想外に減少し、過去分も下方修正されたため、FRBが近く利上げするとの見方が後退した。金は利息を生まないため、利上げ観測の後退は相対的な追い風になりやすい。
金が4,300ドルを上回って推移している背景は。
9月利上げ観測の後退、米雇用の弱さ、地政学の不透明感が重なり、4,300ドル近辺で下げにくい地合いになっている。
次に金を動かし得る米指標は。
米CPIと米PPIが主要なインフレ指標だ。結果次第で、FRBの今後の金利判断への見方が変わり、金価格にも影響しやすい。
金利は金にどう影響するか。
金は利息を生まないため、金利が低下(または低下しそう)だと、金を持つことで失う利息分(機会費用)が小さくなり、買い材料になりやすい。逆に金利が上がると、利息が得られる資産の魅力が増し、金には逆風になりやすい。
注目すべき金の水準は。
上値の目安は4,340ドルと4,360ドル。下値は4,280ドルが最初の重要な支えで、下押しが進む場合は4,240ドル、4,200ドルが意識されやすい。
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