韓国ウォンは6月下旬以降、対米ドルで約15%上昇している。足元の動きは、経常黒字だけではなく、資本フローの構造変化との結び付きが強まっている。具体的には、国民年金公団(NPS)による為替ヘッジの増加や、企業のADR関連フローに伴う資金還流が挙げられる。これに加え、韓国銀行(中銀)に支えられた国内ファンダメンタルズも追い風となっている。
韓国銀行は、経常収支黒字が2026年に過去最高の4,500億ドルに達し、その後も2027年に4,300億ドルと高水準を維持すると見込む。背景には半導体輸出ブームがある。連続利上げと引き締めバイアスの継続が政策面での支援となる一方、急ピッチの上昇を受け、相場は調整・持ち合い局面に入りやすい。短期的には、当局がウォン高の一段進行を抑制する構えを強めるなか、ドル/ウォンは1,330〜1,380のレンジで安定するとみられる。
—デリバティブ・トレーダー向け戦略的示唆
6月下旬以降の韓国ウォンの対米ドル15%上昇を踏まえ、デリバティブ取引では、積極的なドル/ウォンのショート(短期トレンド追随)から、今後数週間はレンジ戦略へ移行することを推奨する。通貨ペアは1,330〜1,380でのもち合いが想定され、ウォンの急速な上昇局面は一巡した可能性が高い。ボラティリティ売り、あるいはアイアンコンドルなどのオプション戦略を用い、相場の安定化局面から収益機会を狙う余地がある。
—FX政策を形作るファンダメンタルズと構造要因
見通しの背景には、韓国の巨額の経常黒字がある。2026年に過去最高の4,500億ドルが見込まれ、AI需要を追い風とする半導体輸出ブームが強く寄与している。直近の貿易統計では、韓国の半導体輸出が前年比40%超増加しており、ウォンへの構造的な資金流入を裏付ける。堅調なファンダメンタルズと韓国銀行のタカ派姿勢により、ウォンの急落は回避されやすい一方、輸出競争力を守る観点から、当局はウォン高の急進を抑える可能性が高い。
また、国民年金公団が為替ヘッジを増やしているといった構造変化により、海外向けドル需要が大きく抑制されている点も重要だ。歴史的に、ドル/ウォンが1,330水準に接近すると、政策的なスムージング(過度な変動を抑える運用)が入りやすく、同水準は相場の下値として信頼度が高い。したがって、1,330近辺でレンジ・フォワード契約を組成する、あるいはドル/ウォンのコールオプションを買うことで、限定的な値幅のなかでプレミアム獲得を狙う戦略を推奨する。
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