ルピーは水曜日、1米ドル=94.90前後でほぼ変わらずに取引を開始し、火曜日につけた2カ月ぶり安値の94.80近辺で推移した。米連邦準備制度理事会(FRB)の一段の引き締め観測を背景にドルが底堅く、ドル指数は0.13%高の99.80近辺と、2週間強ぶりの高水準となった。フェデラルファンド先物は、9月16日に25bp(0.25%)利上げとなる確率を67%と織り込み、向こう12カ月で合計60bpの引き締めを示唆しているとされた。利上げ観測は、原油高に伴うインフレ見通しの上振れや、米イラン緊張に絡む供給途絶リスクによって支えられている。アルジャジーラがKplerデータとして伝えたところでは、海運各社が世界のエネルギー供給の約5分の1が通過するホルムズ海峡を回避したことで、同水路の船舶通航は10日平均の約14隻に対し5隻へと減少。トランプ氏は、機雷設置の試みがあったとする疑惑を受けて米国が攻撃を行ったと述べ、ヨルダンの基地がミサイル8発を迎撃したとも語った。
市場は米労働関連指標を待っている。ADP雇用統計はGMT12:15に発表予定で、市場予想は8月の民間雇用者数が4万8000人増(7月は4万4000人増)となっている。その後、金曜日に米雇用統計(非農業部門雇用者数)が公表される。インドではスタンダードチャータードがFY27(2026/27年度)の実質GDP成長率予想を6.6%から7.2%へ引き上げた。FY27第1四半期の成長率が7.8%と、市場コンセンサスの7.3%を上回ったことを理由に挙げ、FY27第2四半期の成長率見通しも従来の6.6%から7.4%へ上方修正。一方、FY27下期(H2)は6.5%から6.7%へ引き上げた。テクニカル面では、USD/INRは20日指数平滑移動平均(EMA)の95.41を下回って推移し、RSIは35近辺。下値めどは94.80、次いで94.15とみられる。
USD/INRとブレント原油の主要売買水準およびデリバティブ戦略
デリバティブ取引では、USD/INRの94.80のサポート水準を注視したい。この2カ月安値を明確に下抜ければ、94.15に向けて急落が加速する可能性がある。RSIが弱含みの35近辺にあり、現物レートも20日EMA(95.41)に上値を抑えられていることから、USD/INRのアット・ザ・マネー近辺のプットオプション購入は有効な選択肢となり得る。一方でサポートが維持される場合は、ショートカバーが入りやすく、95.40付近のレジスタンスゾーンへ素早く戻す展開が想定される。
ブレント原油は、ホルムズ海峡での海運混乱の影響を強く受けており、日次の通航船舶数が14隻から5隻へ急減したことで、エネルギー市場のボラティリティ上昇は不可避だろう。米イランの緊張が続くなか、急激かつ予測困難な価格変動を取り込むため、原油オプションでストラドル(同一権利行使価格のコールとプットの同時購入)を推奨する。歴史的に、世界の石油液体の約20%を扱うこの海峡で地政学的ボトルネックが生じた局面では、短期の原油デリバティブにおいてプレミアムが二桁上昇した例がある。
米ドル見通し、RBI外貨準備、相場トリガー
米国債利回りの上昇と、9月16日の利上げ確率67%は米ドルに追い風となる一方、インドのマクロ・ファンダメンタルズは依然として極めて強固だ。インド準備銀行(RBI)は巨額の外貨準備を保有しており、足元数カ月は約6,800億ドル近辺で推移している。政策当局にはルピーの急激な下落を抑える十分な介入余力がある。この強力な下支えを踏まえると、95.80超のUSD/INR上昇局面ではアウト・オブ・ザ・マネーのコール売りにより、時間価値の減少(セータ)を安定的に狙う戦略が考えられる。
為替先物の足元の方向性は、今週の米ADP統計と米雇用統計が左右し、FRBのタカ派路線を補強するか、あるいは崩すかが焦点となる。金曜日の雇用指標が市場予想を上回れば、米ドルが短期的に急伸する可能性があり、より高いテクニカル水準でUSD/INRをショートする好機となり得る。逆に雇用統計が弱ければ、ルピー高が加速し、ターゲットとして意識される94.15のサポート水準に近づく展開が見込まれる。
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