米財務省が今週実施した国債買い戻しは、純粋な流動性供給というよりも、当局が長期金利の高止まりに警戒感を抱いているシグナルと受け止められている。詐欺抑止のタスクフォース設置など、財政再建の可能性を巡る議論も浮上したが、財政赤字がGDP比6%近辺にあるなか、短期的に目に見える効果が出ることには懐疑的な見方が根強い。市場の焦点は8月の米S&P PMIに移り、拡大基調の継続が見込まれる一方、ドル指数(DXY)は98.65/70近辺で下支えされ、99.00回復には苦戦すると見られている。
FXでは、基本シナリオは「ドルの緩やかな下落」。2025年4月の関税をきっかけとした混乱との比較が再燃しているが、値動きは米国債と株式が急落しない限りリスク選好寄りと整理される。仮に米国債・株が大きく売られる局面では、USD/CHFは下落、EUR/USDは上昇、高金利通貨は軟化しやすい。EUR/USDはソフトドル環境に支えられており、ユーロ圏の8月PMIは緩やかな拡大が予想される。ECB消費者期待調査では(3年先)インフレ期待が3月に3.0%となっており、次回は2.8%が見込まれる。EUR/USDは1.1670–1.1710のレンジ想定。EUR/CHFは0.9350を上回って反発し、0.9400が視野に入る。USD/ZARは15.92方向、その後は15.75/80が意識される。
米ドル安に備える戦略
今後数週間は、米財務省の国債買い戻しプログラムが長期金利の上振れを抑えるシグナルとなっていることから、デリバティブ取引では米ドル安を想定したポジショニングを推奨する。米財政赤字がGDP比6%近辺で推移するなか、こうした介入色の強い措置は債券市場の不安心理を和らげる狙いがある。ドル指数(DXY)は99.00手前で強い上値抵抗に直面し、下値支持は98.65に位置するため、ドル高局面では戻り売りが有効とみる。
オプション市場では、短期のEUR/USDコール買いで、リスク選好寄りの緩やかな上昇を取りに行きたい。本日のユーロ圏PMIと、2.8%近辺にある消費者のインフレ期待の高さは、ECBのタカ派姿勢を下支えし得る。EUR/USDは足元の1.1670–1.1710レンジを上放れし、ドル安進行とともにじり高となる公算が大きい。
キャリートレードと新興国通貨の機会
キャリートレード戦略としては、スイスフランを資金調達通貨として高金利資産を買うことを推奨する。米財務省が債券市場の長期ゾーンを安定させることでボラティリティは低位にとどまる見通しで、歴史的にキャリー戦略に追い風となりやすい。CHFのショートを構築し、EUR/CHFが0.9400へ戻す展開を狙いたい。
また、リスク選好シナリオの表現として、USD/ZARのプット買い(USD/ZAR下落=ランド高)によるショートも妙味がある。南アランドは足元で15.92のサポートを試しており、アジア通貨が堅調に推移すれば、15.75近辺を素早く目指す可能性がある。エルニーニョに伴う干ばつリスクは年後半に向けた懸念材料として残るものの、短期の需給・地合いはランドに分がある。
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