WTI原油は80.00ドル台前半で推移し、1.69%安。82.00ドル強から79.50ドル弱へ下落した後、50日移動平均線も割り込んだ。米国の商業用原油在庫は週次で1,740万バレル増の4億2,440万バレルとなり、市場予想(140万バレル取り崩し)に反して大幅な積み増しとなった。ただし在庫水準は依然として5年平均を約2%下回っている。増加は輸出の弱含みと輸入の増加(114万バレル/日増の730万バレル/日)を背景にガルフコーストに集中。製油所稼働率は稼働可能能力の96.2%と高水準で、需要減退というより物流(輸送)制約を示唆する。
製品市況は引き続き逼迫。ガソリン在庫は2億870万バレルへ減少し、5年平均比で約6%低い。留出油在庫も1億710万バレルへ小幅減となり、5年平均を約12%下回った。IEA(国際エネルギー機関)は2026年の需要見通しを日量160万バレルの減少へ下方修正し、7月時点より日量51万バレル分悪化。OPECも2026年の需要増加見通しを日量78万バレルから約60万バレルへ引き下げた。一方、IEAは今四半期の世界的な供給不足が日量180万バレルに達すると依然見込む。湾岸地域の生産は7月に日量250万バレル回復して2,390万バレルとなったが、紛争前の水準をなお日量830万バレル下回る。8月12日時点の転進(航路変更)船舶は59隻、ホルムズ海峡の通航は火曜日に8隻へ減少し、戦前の1日約130隻から大きく落ち込んだ。7月の米PPI(生産者物価指数)は前月比横ばい(予想+0.2%)、前年比は+4.7%。コアは前月比+0.2%(予想+0.3%)で、ガソリン(-5.7%)、軽油(-6.7%)、未加工エネルギー素材(-7.4%)が下落した。6月の覚書に基づく「60日間」の期限は8月17日に到来し、金曜には小売売上高(市場予想+0.2%)と消費者信頼感(54、前回55.2)が控える。
ガルフコーストのボトルネックを背景に、WTI下落は買い場との見方
最近のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が80ドル台前半まで下げた動きは、市場の弱さの兆候というより、好機(買い場)と捉えるべきだ。ガルフコーストで原油在庫が1,740万バレルと大幅に積み上がった点は数字上目を引くものの、世界的な供給過剰ではなく、局地的な輸送の目詰まりが主因だ。米製油所稼働率は96.2%と高水準にあり、ガソリン在庫も5年平均を6%下回る。基礎的な国内需要はなお非常に強いといえる。
WTI反発と先行きのボラティリティ高まりへの警戒
当面の輸送遅延が解消すれば、WTIは程なく50日指数平滑移動平均(80.72ドル)を回復すると見込む。過去のデータでは、ガルフコーストの輸出ボトルネックは通常2〜3週間で解消し、滞留在庫は速やかに国際市場へ流出していく。加えて、IEAは今四半期に世界の供給不足が日量180万バレルに達するとの見通しを維持しており、これがいずれ価格を押し上げる可能性が高い。
また、8月17日(月)の重要期限を前に、相場のボラティリティ上昇にも備える必要がある。期限は、米・イラン交渉の「60日間」ウィンドウが失効するタイミングに当たる。ホルムズ海峡の通航が戦前平均の1日130隻に対し足元8隻まで急減していることを踏まえると、来週に情勢が一段と緊迫すれば、急激なショートカバー(ショート・スクイーズ)を誘発しかねない。強気スタンスを維持し、82.00〜82.50ドルを目標レンジとしつつ、損切りは200日移動平均線(78.04ドル)の直下にタイトに設定する戦略が提案される。
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