市場は概ねレンジ相場となり、水曜日発表の米7月CPIを前に様子見ムードが広がった。原油が堅調なことでインフレ期待が高止まりし、金利市場では9月の米連邦準備制度理事会(FRB)利上げ織り込みが50%超へ再び傾いた。ブレントは2.4%高、WTIは2.7%高。ホルムズ海峡の再開に向けた協議が行き詰まっているもようで、リビア国営石油会社NOCは、ドローン攻撃が続けば日量12万バレルのザウィヤ製油所について不可抗力条項(フォース・マジュール)を宣言し、操業停止に踏み切る可能性があると警告した。金は0.4%安となったが、2カ月ぶり高値圏は維持。ドル指数は0.1%高。米10年債利回りは4.73%で、独国債(10年)3.20%、英国債(10年)5.04%。株式はまちまちで、香港ハンセン指数は1.1%安、欧州株指数は-0.3%〜+0.2%、米株先物は-0.1%〜+0.1%の範囲。暗号資産はビットコインが1.3%安、イーサが2.0%安となった。
アジア太平洋では、豪準備銀行(RBA)が政策金利(キャッシュレート)を4.35%に据え置いた(2会合連続、全会一致)。期末(2026年12月)のトリム平均インフレ率見通しは2.6%から3.3%へ引き上げ、同時に2026年12月のGDP成長率見通しは2.1%から1.4%へ引き下げた。シンガポールの実質GDP(Q2)は前期比1.1%から1.4%、前年比5.7%から5.9%へそれぞれ上方改定。韓国では8月上旬(最初の10日間)の輸出が前年比45.3%増、輸入が23.1%増だった。企業・サプライチェーン関連では、インテルが増資規模を150億ドルから200億ドルへ拡大(1株95ドル以上)し、手取りは197億ドル、グリーンシューは3,160万株とした。また、中国のCXMTが17nmのDDR5で90%超の歩留まりを達成し、サムスンの約92〜93%に迫っていると報じられた。ノルスク・ハイドロはガス供給障害を受け、年産約630万トン規模のアルノルテ製錬所のアルミナ生産を50%へ減産し、2026年Q3に7,500万〜1億ドルの影響を見込むとした。イランの石油相は、日量9,500万立方メートル(mcm/d)のガス供給が9月末までに復帰すると述べた。ウクライナが提案するモルドバ〜コンスタンツァ間の鉄道ルートは年450万トンの輸送能力とされ、輸出見通し(3,800万〜4,000万トン)との乖離が意識される。
オプション戦略(原油・債券・貴金属)
原油市場の上昇基調が続く可能性に備え、ブレントおよびWTI原油のロング・コールオプションを確保すべきだ。ホルムズ海峡を巡る交渉が停滞し、米国がイランに戦争賠償を求めていることから、供給リスクは市場で大きく過小評価されている。過去には、主要シーレーンにおける局地的な紛争が世界のエネルギー価格を短期間で10〜15%押し上げた例があり、短期の上振れに対する保険はポートフォリオ運営上不可欠となる。
明日のCPI発表を前に、9月のFRB利上げ確率が50%超へ戻りつつあることを踏まえ、債券ポジションの調整が必要だ。ハマックら中銀関係者のタカ派発言に加え、RBAも追加利上げを議論している状況では、早期利下げを前提とした見立ては時期尚早である。この変化を活用するには、期近の金利先物をショートするか、米国債(ノート)に対するプットオプション購入により、利回り上昇リスクをヘッジすることが考えられる。
金は2カ月超ぶりの高水準を維持し、歴史的なレジスタンス水準近辺で推移している。地政学的摩擦にインフレ期待の上昇が重なる局面では、主権リスクに対するヘッジ資産として金の魅力が高まりやすく、エネルギー起因のインフレ局面で繰り返し確認されてきたパターンである。金先物を用いたブル・コール・スプレッドであれば、上昇モメンタムを取り込みつつ、支払プレミアム(コスト)を厳格に限定できる。
テクノロジー・半導体株のボラティリティ戦略
今後数週間は、主要な半導体・テック株に対し、ストラドルやストラングルといった高ボラティリティ戦略を採用する必要がある。中国のCXMTがDDR5メモリで90%超の歩留まりを達成した一方、世界のAI主導のハードウェア市場は依然として逼迫しており、エヌビディアが提案する5,000億ドル規模のインフラ目標のような巨額資金調達は価格変動を増幅させる。こうした大規模資本取引に加え、9月に控える注目度の高いテックIPOが重なれば、オプション・プレミアムの上昇は避けられない。
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