WTIは、序盤の上げ幅を縮小した後に下落し、水曜日のアジア時間には1バレル=73.80ドル近辺で取引された。ホルムズ海峡の再開に向けた外交的な進展を背景に、供給懸念が和らいだ。カタール当局者は暫定提案が取りまとめられたとし、ドナルド・トランプ米大統領が交渉継続のためイランへの米軍攻撃計画を停止した後、ワシントンとテヘランはいずれも同航路へのアクセス回復に向けた前進を示唆した。イランはまた、欧州諸国が海峡内の機雷掃海を実施できる枠組みも検討している。オマーンとの協議では交易路の安全確保に焦点が当てられており、サウジアラビアはオマーンの仲介を通じ、紅海回廊への波及を抑えるためイエメンのフーシ派との関与を進めている。
米国では、7月31日までの1週間の原油在庫が269万バレル増加し、200万バレルの取り崩しを見込んでいた市場予想に反して積み上がった。前週の330万バレル増に続く増加となった。SPR(戦略石油備蓄)を除く商業在庫は、16週間で5800万バレル超減少し、年初来では720万バレル減。一方、SPRはさらに290万バレル減の3億480万バレルとなり、推定される運用上の下限である2億5000万~3億バレルに近づいた。サウジアラムコは代替パイプライン、貯蔵施設、輸出ターミナルを活用し操業を継続した。
短期の下振れリスクとオプション戦略
地政学的緊張の緩和を受けてWTI原油が1バレル=73.80ドル前後まで下落していることから、デリバティブ取引では短期の下方向を意識したポジショニングが有効とみる。ホルムズ海峡の再開に向けた急速な外交進展により、インプライド・ボラティリティ(IV)は低下しやすく、今後数週間はショート・コール戦略やベア・プット・スプレッドの妙味が高い。足元のオプション市場データでも、原油のプット/コール比率が上昇し、さらなる価格下落に備えるヘッジ需要の強まりが示されている。
米国の原油在庫が、市場予想の取り崩しに反して269万バレル増加したことは、短期的に現物供給が需要を上回っていることを裏付ける。近月のカレンダースプレッドでは、期近を売って期先を買う(フロント売り・ディファード買い)戦略により、弱含みを取り込みやすい。歴史的に、夏終盤にかけての予想外の在庫積み増しは、期近物価格に強い下押し圧力となりやすい。
長期のポジショニングとボラティリティ・プレミアムの獲得
短期センチメントが弱気であっても、米SPRが3億480万バレルまで低下し、運用上の下限に危険なほど近い点は見過ごせない。この水準は過去、政府による買い戻しの引き金となりやすく、WTIに1バレル=70~72ドル程度の強い下値支持(フロア)を形成してきた経緯がある。デリバティブ取引では、足元の下落局面を利用して長期のコールオプションを積み増し、年後半の「フロア起点」の反発に備える選択肢がある。
また、サウジアラムコが代替パイプラインの活用により地域的な混乱を迂回できていることは、現物サプライチェーンが従来想定よりも強靭であることを示す。地政学リスク・プレミアムが原油オプションから剥落していく局面では、アイアン・コンドルのようなニュートラル戦略でプレミアムを売却し、ボラティリティ低下による収益機会を狙うのが有効だろう。原油価格は、より狭いレンジでのもみ合いに移行する可能性が高い。
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