FOMCは9対3で政策を据え置いた。反対票を投じたのはハマック、ローガン、カシュカリの3氏。ウォーシュ議長も、足元で物価安定への強調を強めてきたにもかかわらず、据え置きを支持した。ウォーシュ氏は、会合間で実質金利が上昇したのは、市場がフォワードガイダンスではなくデータから手掛かりを得たためだと述べた。一方、声明・解説では、同氏の「レジーム転換」との表現への反応が示唆され、その後、議長が物価安定を実現できるとの市場の信認が再評価されたとも読み取れる。市場が織り込む累積利上げ幅は56bpから50bpへと縮小し、9月に動く確率(インプライド)は「ほぼ確実」から65%へ低下した。
米国債(UST)カーブは、長期のインフレ期待が上昇したことを背景に、2s10sでみて3月下旬以来の急なスティープ化となった。10年インフレスワップは2.3%をやや上回る水準。提示されたベースケースは、12月会合と3月会合でそれぞれ25bpの利上げ。FRBはバランスシート政策も変更せず、タスクフォースの結果は年末までに示される見通し。ニューヨーク連銀は、月間100億ドルのTビル買い入れによる準備管理オペを継続している。
Positioning for Continued Curve Steepening and Long-End Yield Upside
2s10sの米国債利回りカーブが3月下旬以来で最も急速にスティープ化していることを踏まえ、デリバティブ取引参加者には、今後数週間にわたる追加的なスティープ化に備えたポジショニングを推奨する。長期のインフレ期待が10年インフレスワップで2.3%までじわりと上昇しているため、超長期の利回り上昇に備える手段として、長期米国債先物のショート、あるいはペイヤースワップの構築が選択肢となる。このスティープ化基調は、FRBの直近決定を市場が消化し、「長期金利は高水準が長期化(higher for longer)」という現実に調整していく局面で、重要性が一段と高い。
Short-Term Rate Derivative Opportunities and Volatility Strategies
9月利上げのインプライド確率が「ほぼ確実」から65%へと後退したことで、短期金利デリバティブには戦術的な好機が生じている。AI関連の設備投資が堅調で、労働市場も逼迫が続くことでインフレの粘着性が保たれると見込まれるため、市場はFRBのタカ派姿勢を過小評価している可能性がある。市場が想定するより早期にFRBが引き締めを迫られる局面に備え、9月限・12月限のSOFR先物に対するプットオプションの購入は、収益機会となり得る。
FRBが月間100億ドルのTビル買い入れペースを維持していることから、秋場にかけて短期流動性は高い安定性が見込まれる。デリバティブ取引参加者は、年末に控えるバランスシート・タスクフォースの結果を待つ間、フロントエンド金利の短期ボラティリティを売却することで、この環境を活用できる。市場がFRBの次の一手を巡り見解が割れている間は、短期金利のレンジ相場を前提としたオプション戦略を狙うことが、最も安定的なリターンにつながると考える。
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