コメルツ銀行は、スイスの足元のインフレ反発が想定ほど大きくなかったと指摘し、その要因として輸入インフレの弱さと、為替レートの転嫁率(パススルー)が想定より低かったことを挙げた。同行の分析では、消費者物価が直近で上昇した後でも、全体としてインフレ圧力は穏やかな水準にとどまっているという。
こうした見立てを踏まえ、スイス国立銀行(SNB)の政策金利は2027年末まで据え置かれるとの予想を維持した。これは、その期間にわたりスイスとユーロ圏の金利差が持続することを意味する。コメルツ銀行はまた、この環境が中期的にEUR/CHFを下支えすると述べた。
ユーロ圏-スイスの金利差がもたらす取引機会
今後数週間にかけて、ユーロ圏とスイスの金利差が持続する状況を活用できる点で、デリバティブ取引にとって好機があるとみている。2026年半ば時点でスイスのインフレ率は低位の1.3%で安定しており、SNBが政策金利を1.25%で据え置く余地は大きい。一方、欧州中央銀行(ECB)の政策金利は3.25%と依然として大幅に高く、収益性の高い利回りスプレッドを維持している。
歴史的にみると、スイスのインフレは為替パススルーが非常に低いことから、グローバルなショックの影響を受けにくい。すなわち、フラン安が直ちに国内物価の急騰を引き起こしにくい。足元の今年上期のデータでも、輸入物価の上昇圧力は極めて限定的であることが確認されている。こうした点を踏まえると、SNBが通貨防衛のために利上げを急ぐ展開は想定しにくい。
EUR/CHFエクスポージャーの戦略
EUR/CHFが緩やかに上昇する展開を見込み、権利行使価格を0.98~1.00近辺に設定した中期のコールオプション買いによるポジショニングを推奨する。安定収益を志向する向きには、EUR/CHFの通貨スワップで、拡大した金利差が生むプラスのキャリーの獲得が可能となる。ノックアウト型コールなどの仕組み型オプションの活用は、プレミアムコストを抑えつつ、フラン安局面での上値余地を確保する手段となり得る。
低インフレ環境で金利差が大きかった局面(例えば2018年後半)では、フランは数カ月にわたりユーロに対してじり安となった。もっとも、ユーロ圏の成長指標は綿密に点検する必要がある。予想外の景気減速が起これば、欧州の利下げが前倒しされ、金利差が一時的に縮小する可能性があるためだ。ただし、現下のマクロ環境を前提とすれば、スイスフランの反発局面は短命にとどまる公算が大きく、今後数週間はEUR/CHFの押し目買い戦略が有効と考えられる。
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