WTIは月曜日に下げを拡大し、弱気のギャップを伴って寄り付いた後、1バレル=82.60ドル近辺で取引され、日中で7.4%安となった。週末に米国とイランが軍事攻撃を停止したことで、2週間にわたる直接衝突を経た緊張緩和への期待が高まり、地政学リスク・プレミアムが低下した。市場ではまた、迎撃ミサイルの供給懸念や残存する高価値標的の限定性を理由にワシントンが作戦を停止したとの報道も材料視された。双方当局者は、新たな攻撃がなければ自制の余地があるとの見方を示した。
供給面のリスクが完全に解消したわけではなく、警戒感は残る。イラン支援のフーシ派は紅海沿いのサウジアラビアの石油施設への攻撃を主張している。OCBCは、原油は先週、6月の下落分の大半を取り戻した後に上昇一服となったとし、今回の動きは時間の経過とともに価格が低下基調をたどるという同社の基本シナリオに沿うと指摘。一方で、ホルムズ海峡の航行の自由やイランの核開発を巡る未解決の問題を警告した。INGは、13日間の攻撃の後に2日間の停止があったとし、ブレントは一時7%超下落して一時90ドル/バレルを割り込んだと説明。海峡を通過する船舶フローには目立った増加が見られないとも付け加えた。
ボラティリティ低下局面でのデリバティブ取引機会
デリバティブ投資家には、WTI急落(7.4%安)を受けたインプライド・ボラティリティの急低下を活用する戦略を推奨する。WTIは82.60ドル前後、ブレントは90ドルを下回り、目先の地政学プレミアムは急速に剥落している。初期のパニックが沈静化する局面では、アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)オプションの売りによってプレミアムのタイム・ディケイ(時間的価値の減少)を取り込みたい。
この弱気シフトは供給面のファンダメンタルズにも下支えされる。最新のEIA統計では、米国の原油生産が日量1,320万バレル超と過去最高圏を維持している。非OPEC供給の増加に加え、OPEC+が日量220万バレルの自主減産を段階的に解除する計画であることから、中長期の急騰余地には重い上値抵抗が形成されやすい。今後数週間は、短命な急反発局面をベア・コール・スプレッドで「戻り売り」する戦略が有効性の高い選択肢とみる。
テールリスク管理とレンジ相場へのポジショニング
もっとも、テールリスクは軽視できない。ホルムズ海峡は世界の石油液体消費の2割超が通過する重要なチョークポイントであり、紛争再燃や海上輸送の混乱が生じれば、原油は一気に90ドル台半ばへ戻る可能性がある。したがって、裸のショート(無ヘッジの売り持ち)は極めて危険だ。急騰への備えとして、ロングのプット・カレンダー・スプレッド、もしくはOTMコールの買いを低コストの保険として組み合わせることを推奨する。
今後数週間の原油は、安全航行を示す具体的な材料待ちのなか、広めながらも一定のレンジ内での持ち合いを想定する。中東情勢の緊張局面では歴史的に40%超へ跳ねやすい原油オプションのインプライド・ボラティリティは、25~30%程度の長期平均へ平均回帰する公算が大きい。アイアン・コンドルでレンジ相場にポジションを構築すれば、時間価値の減少を収益化しつつ、リスクを明確に限定できる。
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