EUR/USDは原油急落を受けて1.140台を回復したが、地政学的な緊張緩和に向けた明確な道筋が見えない中で、上昇は脆弱と位置づけられた。分析では、エネルギー輸入への依存度が高い欧州の脆弱性が指摘され、高止まりするガス価格がユーロの交易条件(terms of trade)を悪化させているとした。短期のユーロ圏指標は、ドルの安全通貨需要やFRB(連邦準備制度)要因による圧力に対抗できるだけの域内材料になりにくいとの見方も示された。また、水曜日のFOMC(連邦公開市場委員会)を前に予防的なドル買いポジションが積み上がるリスクも警戒点として挙げられた。
エネルギー面では、軍事攻撃が再燃すればブレント原油が再び100ドル/バレルに戻り、EUR/USDが1.1380を割り込む可能性があるとした。日中の反落後でも、TTFガス価格は58ユーロ/MWh(7月初から30%超上昇、3月高値圏近辺)とされ、ユーロの交易条件は3月安値近辺で、2023年と同程度の水準にあると指摘。インフレと政策金利の織り込みについては、金曜日のユーロ圏CPIは3.0%を上回る見通し、コアは2.5%近辺とされ、市場は年末までにECB(欧州中央銀行)で42bpの利下げを織り込んでいると述べた。
地政学・エネルギーリスクを踏まえたデリバティブ投資家向け慎重戦略
デリバティブ投資家には、足元のEUR/USDの1.140超への反発について、地政学的緊張緩和に裏付けられた確かな基盤を欠くとして、極めて慎重な姿勢を推奨する。ブレント原油は軍事的エスカレーションの突発的な動きに敏感であり、100ドル/バレル方向への急伸が起これば、向こう数週間で通貨ペアを1.1380割れへ押し下げることは十分あり得る。短期のEUR/USDプット購入、あるいはエネルギー起因の急変動を捉えるロング・ストラドルなどのボラティリティ戦略を検討したい。
欧州天然ガス(TTF)価格は引き続き強い逆風で、現状58ユーロ/MWhと7月初旬比で30%超高く、3月ピークに近い。この高値定着はユーロ圏の交易条件を大きく損ない、歴史的には交易条件がユーロの中期的な最重要ドライバーであった。価格が危機前の平均である20〜30ユーロ/MWhを大きく上回っているため、ユーロのファンダメンタルズ見通しは大きく毀損している。
安全通貨としてのドルの力学とユーロ圏インフレ見通し
水曜日のFOMCを前に、予防的な米ドル買いが強まり、EUR/USDの上値を抑えやすいとみる。過去のデータでは、世界的リスクが高まる局面でドル指数は防御的に上昇しやすく、ロング・ドルのオプション構造は有効なヘッジとなり得る。週央のFRB判断を前にロングUSDポジションを構築することは、短期の戦術として相対的に信頼性が高いセットアップだ。
ユーロ圏の総合インフレ率は今週金曜日に3.0%を上回る見通しだが、コアが2.5%近辺で推移するなら、ECBが急速にタカ派へ傾斜するとは見込みにくい。市場の織り込みは年末までにECBの利下げ42bp程度で、原油ボラティリティに対して感応度が高い見通しが続く。ユーロの持続的な上昇に賭けるより、ユーロ建てスワップやオプションにおける金利ボラティリティのプライシングに焦点を当てるべきだ。
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