USD/CADは北米午後にかけて1.4100のすぐ上で推移し、約0.2%高。7月に1.4250近辺から50日指数移動平均線(EMA)まで下落した後、2日続伸となる公算だ。同通貨ペアは先週、その水準を維持した(デイリーのストキャスティクスRSI=SRSIはゼロ近辺)。一時は1.4050をわずかに上回る水準まで下げて当日の安値を付けたが、その後1.4100を回復した。背景には、ホワイトハウスがカナダ製品の大半に対し50%関税を課す提案を示したことがある。また、米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表は、現行の「世界一律10%」の枠組みが失効する前に、数十カ国に対する措置が実施される見通しだと述べた。カナダは協議の前倒しに合意。米国は7月1日の見直しで、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を現行の形で更新しない姿勢を示し、2036年の延長または失効まで年次レビューに移行した。
カナダ銀行(BoC)の7月10日確定の見通しでは、対カナダ平均関税を米国側5.0%、カナダ側1.5%とし、カナダドル(ルーニー)は概ね0.71米ドルを前提としていた。しかし、現時点で公表されている数字は「大半の製品に50%」となっている。米国の6月輸入物価は指数が150.8ポイントと1982年以来の高水準、前年比は7.1%と2022年8月以来の高い伸びとなった。一方、ADPの週次指標は、4週平均が(下方改定後の)1万9,250人から1万6,500人へ(12:15 GMT時点で)減速した。BoCの利上げは12月9日までに完全に織り込まれており、市場は29日(18:00 GMT)の決定を前に、12月までのFRB利上げも織り込む。今後の主な指標は、カナダ5月小売売上高(12:30 GMT、前月比+1%、自動車除く+1.4%)、米国7月S&Pグローバル速報PMI(13:45 GMT、製造業54.5)、カナダ5月GDP(7月31日12:30 GMT)など。テクニカルでは、上値抵抗が1.4100、次いで1.4150、さらに1.4250のやや下。下値支持は1.4050のすぐ上、次いで1.4000、そして200日EMA(1.3900のすぐ下)となる。
USD/CAD Trading Strategies and Tariff Risk
デリバティブ取引者には、USD/CADが1.4150を目指す局面でボラティリティ上昇への備えを提案したい。市場は先週、1.4000のサポート下限を守り切っており、年初来高値1.4250に向けた上昇局面を示唆する強いテクニカル根拠がある。短期のコールオプション、またはブル・コール・スプレッドを活用すれば、この上方向のモメンタムを捉える有効な手段となり得る。
この上昇圧力の背景には、カナダ製品に50%関税を課すという米国の衝撃的な示唆がある。これはBoCが従来想定していた5%という関税見積りを大きく上回る。過去データでも、通商摩擦はカナダドルに大きな悪影響を与えてきた。例えば2018年には、関税懸念を背景に数カ月で6%超の下落を余儀なくされた。両国間の年間貿易額は7,700億ドル超に達しており、関税が実際に導入されれば深刻な混乱は避けられない。
Hedging, Macroeconomic Backdrop, and Event Risk
BoCが政策判断の難局に直面する中、ルーニーの一段安に備えて通貨オプションでヘッジすることを推奨する。通貨が中銀の想定平均である0.71米ドルを下回って推移すれば、カナダ経済に強い輸入インフレをもたらす。すでにテクニカル・リセッション(景気後退)局面にあるとみられる状況下ではなおさらだ。結果として、スワップ市場では12月までの国内利上げが織り込まれており、CADプットの魅力度は高い。
一方、米国側では輸入物価指数(Import Price Index)の動向を注視したい。同指数は直近で150.8ポイントと過去最高水準に急伸している。この上昇は、輸出業者が関税コストを吸収していないことを示唆し、負担が米国の消費者に直接転嫁されている可能性を示す。しかも、国内労働市場が減速するタイミングだ。こうした乖離は、7月29日のFRB政策決定を前にUSDストラドルを買うことで、急変動からの利益獲得を狙う取引が考えられる。
今後数週間は経済指標が目白押しで、取引機会は多い。まずカナダ小売売上高と米国速報PMIが控える。さらに7月31日のカナダGDPで、足元の景気減速の深さが確認される見通しだ。損失限定型のオプション戦略を用いることで、影響の大きい指標発表に対して過度な方向性リスクを取らずに対応できる。
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