ブレント原油は1バレル当たり約85ドル近辺で取引され、朝方は+1.06%高の85.12ドル/bblとなった。終値ベースでは1カ月超ぶりに85ドル/bblを上回る可能性がある。中東で新たな地政学リスクが意識され、既存の海上輸送ルートが混乱する恐れがあるなか、市場が材料を消化する過程で、セッション中の価格は方向感なく上下した。
背景には、米国とイランの間で攻撃の応酬が続いていることがある。ロイターによれば、イランはイエメンのフーシ派(同盟勢力)に対し、米国がイランの電力網を標的にした場合に紅海の石油輸送ルート封鎖に備えるよう要請したという。こうしたサプライチェーン面の懸念に加え、利上げ継続懸念やインフレの粘着性への警戒も根強い。これらは週前半に発表された米CPIが市場予想より軟化した後もなお続いている。
中東の緊張と海上輸送の混乱
中東情勢の緊迫化が世界の供給網を脅かすなか、ブレント原油は重要な節目である1バレル85ドルを上抜けている。最近の海運データでは、紅海での航行障害により主要海運各社がアフリカ回りへ迂回を余儀なくされ、所要日数が10〜14日増加し、1日当たりの船舶往来が大きく減少していることが示されている。こうしたサプライチェーンのボトルネックに加え、米国とイランの間で攻撃が続いていることが、今後数週間のエネルギー価格の下値を堅くするとみている。
原油価格の急伸は「インフレの粘着性」への懸念を再燃させ、週前半のCPI鈍化で広がった楽観論を覆いつつある。過去の経験則では、原油価格が10ドル持続的に上昇すると世界のインフレ率を最大0.5%ポイント押し上げ得るとされ、想定されていた利下げ開始を遅らせるリスクがある。利下げ期待が改めて織り直され、あらゆる資産クラスでマクロのボラティリティが高まる市場環境を想定しておく必要がある。
デリバティブ戦略とヘッジ提案
不確実性に対応するため、デリバティブ取引者には、ブレント原油のアット・ザ・マネー近辺のストラドル買いなど、ロング・ボラティリティ戦略に注目することを提案する。紅海情勢やイランの電力網を巡る報道リスクが常に意識されるなか、オプションのインプライド・ボラティリティは短期的に急上昇しやすい。上値余地(90ドル水準へのモメンタム)を取りに行きつつ、支払うプレミアムを抑える手段として、ブル・コール・スプレッドも選択肢となる。
さらに、エネルギー価格の急騰は株式市場の調整を誘発しやすいことから、株式ポートフォリオ全体の下振れに対する直接的なマクロヘッジとして、原油先物オプションの活用も推奨する。ブレントが85ドルを安定的に終値で上回るようであれば、アルゴリズム運用のCTA(商品投資顧問)資金がロングを積み増し、価格を一段と押し上げる可能性がある。一方、地政学的緊張が不意に緩和した場合の急反落に備え、ポジションサイズは保守的に維持すべきだ。
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