米ドルは軟化し、米ドル指数(DXY)は100.00近辺へと戻した。6月のCPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)が弱めの内容となり、月次のコアPCE(個人消費支出)価格指数が低下するとの見方が強まったほか、FRB(米連邦準備制度理事会)に追加引き締めを迫る圧力も和らいだためだ。CPIとPPIの結果は、6月のコアPCEデフレーターが前月比でおよそ0.2%上昇にとどまる可能性を示唆しており、これにより前年比は3.3%へ低下する見通しとなる。市場の焦点は、基調インフレの鈍化が年内のFRBの据え置きを促すかどうかに移っており、こうした環境はドルの弱含み再燃と重なっている。
政策シグナルはまちまちだった。FRBのケビン・ウォーシュ議長の発言は、AIに関連した設備投資の急増が短期的なインフレリスクとなり得るという文脈の一方で、ハト派的と受け止められた。これに対し、FRBのリサ・クック理事は、ディスインフレが再開しない場合には行動する用意があるとしつつも、FOMC(連邦公開市場委員会)は入ってくるデータと金融政策の引き締め度合いを評価するために時間をかけられるとも述べた。別途、ウォーシュ氏は中長期的にはAIが供給力を押し上げ、ディスインフレ要因になり得るとの見解も示した。
ドル安局面でのデリバティブ戦略
当社は、米ドル指数(DXY)が重要な100.00のサポート水準を試す中、デリバティブ取引者は米ドル安が持続する局面に備えるべきだと考える。直近の6月CPI・PPIは、FRBが重視するインフレ指標であるコアPCEが前年比3.3%へ低下することを示唆している。これを受け、DXYの期近プット・オプションの買い、または主要通貨ペアのロング構築を推奨する。
政策当局がAI関連の巨額投資によるインフレ押し上げ効果を相対的に軽視しているため、追加利上げのリスクは極めて低い。金利が据え置き、もしくは低下するシナリオに備える手段として、SOFR(担保付翌日物調達金利)先物の活用を提案したい。過去の経験則では、月次のインフレ指標が0.2%程度の上昇にとどまる局面ではイールドカーブがスティープ化し、短期米国債先物のロングを支えやすい。
FXオプションとヘッジ手法
通貨デリバティブでは、今後数週間で1.1100〜1.1200近辺を目標とするEUR/USDコール・オプションの購入を選好する。DXYが100.60まで低下した2023年後半の局面など、過去サイクルを見ると、こうした心理的節目の下抜けは急速な売りを誘発し得る。また、極端なボラティリティではなく、緩やかで持続的な下落局面から収益機会を得る手段として、FXオプションのバタフライ・スプレッドの活用にも妙味があるとみる。
もっとも、ディスインフレが止まれば行動すると警告するFRBメンバーがいる点には留意が必要だ。今後の経済指標で想定外の上振れが起きた場合に備え、ポートフォリオの一部を割安なアウト・オブ・ザ・マネーのUSDコール・オプションに振り向けるべきだろう。この戦略により、基調としてのドル安トレンドを取り込みつつ、急な政策転換による損失から資本を防衛できる。
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