
ポイント
- エヌビディアの予想PER(先行PER、今後1年程度の予想利益を基にした株価収益率)が22.22倍まで低下し、2019年以来の低水準のレンジに入った。
- 株価の評価見直し(バリュエーションのリセット)が進む一方、2026年度(会計年度)の売上高は2,159億ドルと前年比65%増を達成した。
- NVDAの予想PERはAMDやインテルより低い。売上規模は両社を大きく上回る。
- 投資家はAI関連の投資先を入れ替えており、GPU(画像処理半導体)からCPU(中央演算処理装置)、メモリー、ストレージ(記憶装置)関連に関心が移っている。
- NVDAの日足チャートでは、株価は204ドル付近へ反発。目先の上値抵抗線(レジスタンス)は205.20ドル近辺、下値支持線(サポート)は200ドル近辺。
エヌビディアは過去最高水準の売上高を更新し続けているにもかかわらず、株価の評価(バリュエーション)が数年ぶりの低い水準に落ち込んでいる。
市場データによると、同社の予想PER(先行PER)が22.22倍まで低下した。これは、エヌビディアがAI(人工知能)関連の代表的な受益銘柄として注目される前の2019年ごろに見られた水準に近い。
倍率(マルチプル、株価が利益などに対して何倍まで買われているかを示す指標)が下がったからといって、売上が弱いわけではない。エヌビディアの2026年度売上高は2,159億ドルで前年比65%増。第4四半期の売上高も681億ドルと過去最高を更新した。
重要なのは、この「利益・売上の拡大」と「評価倍率の低下」の組み合わせだ。利益を生み出す力(収益基盤)が急拡大する一方、投資家はAI投資サイクル(AI関連投資がどの分野へ、どの順番で広がるか)の次の局面を見極める中で、評価倍率を引き下げている。
この動きは、エヌビディアの成長が急減速したというより、AI関連の幅広い銘柄群の中で資金が移動(ローテーション)していることを示す可能性がある。
なぜトレーダーはNVDAを注視するのか
エヌビディアはAIインフラ(AIを動かすための計算資源や設備)を支える中核企業だ。GPUはデータセンター(大量のサーバーを集約した設備)、LLM(大規模言語モデル)の学習、HPC(高性能計算)で広く使われている。
ただ、市場の関心はAI投資の初期局面から広がってきた。
初期はGPU需要が中心だった。その後、米大手クラウド事業者が自社設計する専用チップ(カスタムチップ)への警戒が意識されるようになった。
直近では、AIインフラ投資の恩恵を受ける別ルートとして、CPU、メモリー、ストレージ関連企業にも焦点が移っている。
こうしたローテーションは、エヌビディアの評価に影響する。売上が伸び続けても、AI向け半導体の供給網(サプライチェーン)内で他分野の上昇余地が大きいと見られれば、株価は上値が重くなり得る。
トレーダーにとっての焦点は、予想PERの低下が成長への懸念を映しているのか、それともAI相場の上昇後に起きた一時的な評価調整なのか、という点だ。
エヌビディアの予想PERは主要同業を下回る
エヌビディアの予想PER(先行PER)22.22倍は、主要な半導体企業の一部を下回っている。
AMDの予想PERは73.53倍、インテルは136.99倍だった。
ただし、これだけでエヌビディアが割安(アンダーバリュエーション)と断定はできない。各社で利益の増減サイクル、利益率、成長見通し、事業立て直し(ターンアラウンド)への期待が異なる。
それでも、売上規模がAMDやインテルよりはるかに大きいにもかかわらず、評価倍率が縮小している点は確認できる。
エヌビディアの2026年度売上高は2,159億ドル。一方、AMDの2025年度売上高は346億ドル、インテルは2025年に529億ドルを計上した。
市場予想では今期も売上の大幅増が見込まれ、エヌビディアの売上高は3,927億ドルに達するとされる。強気の成長見通しは維持される一方、将来の利益がより高い水準で達成されることが求められ、ハードルも上がる。
AI関連の資金移動が「評価倍率」を押し下げる
エヌビディアの予想バリュエーション低下は、AI関連全体のローテーションと結びついている可能性がある。
AI投資の初期局面では、GPU需要への注目が強く、エヌビディアは大きな恩恵を受けた。同社のチップはAI学習、データセンター拡張、アクセラレーテッド・コンピューティング(GPUなどで計算を高速化する仕組み)の中核となった。
次の局面では、アマゾンやグーグルなどクラウド大手の競合チップが意識され、「大口顧客が中長期でエヌビディア依存を減らすのではないか」という見方が出た。
さらに直近では、CPU、メモリー、ストレージなど、供給網の別の領域に資金が向かっている。
これはエヌビディアがAI投資テーマから外れたという意味ではない。投資家が銘柄選別を強め、AI関連の主役すべてに同じ上乗せ評価(プレミアム)を付けなくなっていることを示す。
メモリー・ストレージ株に関心
AIインフラには高性能メモリー(高速で大容量のメモリー)とデータ容量が必要で、メモリー・ストレージ銘柄では利益見通しが改善しているとして関心が集まった。
例としてマイクロンやサンディスクが挙げられた。これらの株価が強く上昇したことは、AI関連の物色がエヌビディアやGPU中心から広がったことを示す。
もっとも、直近1カ月では上昇の勢いが一服し、マイクロンとサンディスクは下落した。上げの速さが見直されたためだ。
AI関連が消えたのではなく、半導体の供給網の中で資金が移動している。
重要な売買水準
| 価格水準 | 注目点 |
| $220 | 直前の下落局面から見た上値抵抗線(戻り売りが出やすい水準) |
| $215 | 反発が続く場合の次の抵抗線 |
| $210 | 現在の値動きの上側にある重要な回復ポイント |
| $205.20 | 直近高値近辺の目先の抵抗線 |
| $204.12 | 足元の水準 |
| $200 | 心理的な下値支持(節目) |
| $195 | 直近安値近辺の目先の支持線 |
| $190 | 直近の安値(スイングロー:数日〜数週間の波で付けた安値)で、下方向の支持 |
NVDAの日足では、190ドル近辺の直近安値から反発し、204.12ドル付近で推移している。
直近の取引では、始値が195.18ドル付近、高値が205.16ドル付近、安値が195.06ドル付近。日足の値動きが強く、評価の見直し後に買いが戻ったことを示す。
目先の抵抗線は205.20ドル近辺。ここを明確に上回って推移すれば、210ドルが意識されやすい。
さらに210ドルを上抜ければ、回復基調が強まり、次は215ドル、その先は220ドル近辺の抵抗線が視野に入る。
下方向では、まず200ドルが心理的な支持線。ここを割り込むと195ドルが意識されやすい。
強気・弱気のシナリオ

| シナリオ | 条件 | 想定される動き |
| 戻りの試し | $205.20を上回る | $210を再度試す可能性 |
| 強気の上伸 | $210を上抜け | $215が意識されやすい |
| 戻りの拡大 | $215を上抜け | $220に接近する可能性 |
| レンジでのもみ合い | $200〜$205.20にとどまる | 評価調整の影響を見極める動き |
| 弱気の継続 | $200を割り込む | $195に向けた下落の可能性 |
| 下落の深掘り | $195を下回る | $190に向けて調整が拡大する可能性 |
強気シナリオは、205.20ドルを上回り、その水準を維持できるかが条件だ。割安感(相対的に評価が下がった状態)と大きい売上規模を受けて買いが入っていることを示す。
210ドルを明確に上抜ければ、回復の根拠が強まり、215ドルが焦点となる。
215ドルを上回れば、反発が強まり、220ドル近辺の抵抗線が意識される。
中立シナリオは、200〜205.20ドルでのもみ合いだ。値動きが狭い場合、強い企業基礎体力(ファンダメンタルズ:売上、利益率、成長力など)と、AI関連内での資金移動が拮抗している可能性がある。
弱気シナリオは、200ドル割れで強まる。明確に割り込めば、エヌビディアからの資金移動が続いているサインになり得る。
免責事項
VT MarketsでNVIDIAのCFDを取引
エヌビディアは、AI、半導体、時価総額の大きいハイテク(メガキャップ)、米国株の勢い(モメンタム:価格が上がりやすい・下がりやすい流れ)を追う投資家にとって重要な銘柄だ。
VT Marketsでは、NVIDIAの株価CFD(差金決済取引:現物株を保有せず、価格差で損益を決める取引)に加え、主要株価指数、FX(外国為替)、金、原油、ETF(上場投資信託)など、複数のCFD市場に1つのプラットフォームでアクセスできる。NVDAを見ながら、ナスダック、投資家心理(リスクセンチメント)、AI関連の資金の流れも合わせて確認しやすい。
VT Marketsのチャート機能で、支持線・抵抗線、移動平均線(一定期間の平均値で方向感を見る指標)、ブレイクアウト(レンジを上抜け・下抜けする動き)を確認し、次の局面を見極めたい。
なぜCFDでエヌビディアを取引するのか
NVIDIAのCFDは、現物株を保有せずに、株価が上がる・下がる方向性に投資できる。
この柔軟性は、決算見通し、AIインフラ投資、半導体セクター内のローテーション、評価変化、ナスダックの値動き(ボラティリティ:価格変動の大きさ)で株価が急変しやすい局面で役立つ場合がある。
抵抗線を上抜ければ上昇の継続を、支持線を割り込めば下方向のシナリオを確認する、といった見方ができる。
今後の注目点
予想PERの低下が買いを呼ぶのか、それとも投資家のローテーションがAI供給網の別分野へ続くのかを見極めたい。
売上予想も重要だ。市場では今期の売上高が3,927億ドルに達すると見込まれている。予想が維持されれば、より低い評価でAI関連に投資したい資金が入りやすい。
AIインフラ投資が足元のペースで続くかも焦点だ。クラウド大手が投資を減速する兆しが出れば、評価の下押し要因となり得る。
また、クラウド大手のカスタムチップとの競争は引き続き重要テーマとなりそうだ。
さらに、中国でのH200(エヌビディアのAI向けGPU)の供給・購入に関する報道にも注意したい。中国の主要AI企業による限定的な購入が認められれば短期の投資家心理を支える可能性があるが、承認される数量や規制の厳しさ次第で影響は変わる。
メモリー・ストレージ株の強さも確認しておきたい。こうした銘柄が強いままなら、投資家の関心がエヌビディア以外のAI受益先に向いているサインになり得る。
当面は200〜205.20ドルが短期の主要レンジ。205.20ドルを明確に上回れば210ドルが意識され、200ドルを割り込めば195ドルが視野に入る。
よくある質問
なぜエヌビディアの評価は下がったのか
投資家がAI関連の中で投資先を入れ替え、売上急拡大後のエヌビディアにどれだけの上乗せ評価(プレミアム)を与えるかを見直したため、予想PERが低下した。
売上はまだ伸びているか
伸びている。2026年度の売上高は2,159億ドルで前年比65%増だった。
予想PERはどの水準か
Yahoo Financeのデータでは22.22倍で、2019年ごろに見られた水準に近い。
なぜAMDやインテルより予想PERが低いのか
利益を生み出す力が急拡大すると、株価が高くても予想PERは低下しやすい。一方、AMDやインテルは、利益回復や成長への期待がより強く織り込まれ、予想PERが高くなる場合がある。
予想PERが低いと「割安」なのか
必ずしも割安とは限らない。将来の売上成長、利益率、競争環境、AI投資の流れを合わせて判断する必要がある。
注目すべき価格水準は
上値の目安は205.20ドル、次に210ドル、215ドル、220ドル。下値の目安は200ドル、次に195ドル、190ドル。
株価上昇の要因は
AIインフラ投資への安心感、決算見通しの改善、H200を巡る材料、評価低下を受けた買いが支えになり得る。
株価下落の要因は
他のAI半導体銘柄へのローテーション継続、クラウド投資への警戒、カスタムチップ競争、200ドル割れは下押し要因になり得る。
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