ムーディーズはメキシコをBaa3(ジャンク級の一段上)へ引き下げたが、10年物MBono利回りは格下げ前より36bp低い水準にある。市場はメキシコの投資適格維持に対して落ち着いた反応を示しており、S&Pは引き続き同国ソブリンをジャンク級の3段上に位置づけている。メキシコの実質利回りは5%を上回り、ブラジルに次ぐ水準で、借り入れコストの低下と相まってMBonosやCetesへの需要を下支えしている。
ラボバンクは、バンシコ(メキシコ中銀)が政策金利6.50%で据え置くと予想し、10年債利回りは足元の水準近辺で安定すると見ている。地政学リスクと原油価格が平常化するにつれUSD/MXNのボラティリティは低下し、これらの圧力が後退するなかで相関も薄れ始めた。成長減速が進んでも、粘着的なコアインフレが政策金利を年末まで6.50%に据え置かせる見通しで、追加緩和のハードルは高く、キャリートレードにとっては安定した環境が続くとみられる。
ペソ資金によるキャリートレードに追い風の環境
足元の環境は、ペソ建て資金によるキャリートレードに追い風だと考える。メキシコの高い実質金利は引き続き大規模な資金流入を呼び込み、先月はMBono国債への純流入が21億ドルに達した。こうした強い需要は、今後数週間の通貨下値を堅固に支える公算が大きい。
中銀バンシコは、近い将来に政策金利6.50%を引き下げる可能性が低く、ペソの利回り優位を補強している。直近の2026年6月CPIは4.7%と、コアインフレの粘着性が強く、緩和を検討する余地は小さい。こうしたタカ派姿勢は夏場にかけて継続すると予想する。
市場ダイナミクスにおける機会とリスク
USD/MXNの1カ月インプライド・ボラティリティが11%を下回っており、デリバティブ投資家にとって機会となり得る。プレミアム獲得を目的に、アウト・オブ・ザ・マネーのUSDコール(同義としてMXNプット)を売る戦略は魅力的だとみる。この手法は、高い金利差と通貨ペアの安定が見込まれる点の双方から恩恵を受ける。
IGAE(経済活動指数)が前月比0.2%低下したといった景気減速の兆候を無視しているわけではない。ただ、市場は成長懸念よりも利回りを優先しているように見え、このパターンは2017〜2018年局面でも観測された。格下げへの市場反応が限定的であることは、当面キャリーが主要テーマであることを裏付けている。
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