金(XAU/USD)は水曜日のアジア早朝、約4,100ドルへ下落した。ホルムズ海峡周辺で商業用タンカー3隻が攻撃を受けたとの報道を受け、米国が報復を示唆したためだ。米中央軍(CENTCOM)は火曜日、部隊がイランに対する攻撃を開始したと発表し、米軍はこの措置が、同水路を通航していた商船3隻に対する「イランによる攻撃」とされる事案に関連するものだと説明した。市場はまた、水曜日後半に公表される米連邦準備制度理事会(FRB)の6月FOMC議事要旨にも注目している。
今回の緊張再燃は、先月成立した暫定和平合意(全戦線での戦闘終結と海峡再開を含む)の後に起きた。こうした状況は、エネルギー主導のインフレ懸念を高め、利回りを生まない金地金の重しとなっている。一方、米労働指標の軟化により、FRBの追加引き締め観測は後退し、金相場を下支えしている。6月の米雇用統計(非農業部門雇用者数、NFP)は、増加幅が5.7万人と、5月の下方改定後(12.9万人)から減速し、市場予想(11万人)も下回った。別途、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によれば、中央銀行は2022年に約700億ドル相当の金1,136トンを外貨準備に追加した。
地政学リスクと市場の変動性
市場はホルムズ海峡を巡る米・イラン間の新たな緊張に反応し、金は4,100ドル近辺まで下押ししている。目先の懸念は、原油供給の混乱がインフレを押し上げ、FRBの金融政策判断を難しくする可能性だろう。ただし、6月の雇用統計が極めて弱かったことから、FRBには利上げ余地が乏しいとの見方も強く、相場は拮抗している。
こうした相反するシグナルを背景に、今後数週間で金のボラティリティは大きく高まる可能性がある。オプション市場参加者は急激な価格変動に備える必要がある。市場は「典型的な安全資産」と「利回りを生まない資産」という二面性の間で揺れている。2022年のウクライナ紛争勃発時には、同種の地政学ショックを受けて市場の恐怖心理を示すVIX指数が数日で60%超上昇しており、センチメントがいかに急変し得るかを示した。
安全資産としての魅力と戦術的戦略
今回の金の初動の下落は、直接的な軍事衝突局面における歴史的パフォーマンスを十分に織り込んでいないように見える。安全資産需要は通常、当初の金利警戒を上回るため、今回の下押しは機会になり得る。例えば、同じ2022年の紛争開始後2週間で金は8%超上昇し、投資家のリスク回避姿勢が強まった。
6月の雇用増が5.7万人にとどまったという弱い労働データは、金にとって強力な基礎的支援材料だ。この結果、市場は金利見通しを大きく見直し、FF金利先物は次回会合での利上げ確率を20%未満と示唆している。こうした景気の基調的な弱さは、最終的には米ドル高を抑制し、金価格の下値を支えるとみられる。
以上を踏まえ、当社の戦略は、この下落局面を安全資産への資金流入による反発に備えたポジション構築に活用することだ。リスクを限定しつつ上昇余地を取り込むため、コールオプションの買いを検討している。情勢の不安定さを踏まえると、上下いずれかに大きく動いた際に利益が見込めるロング・ストラドルも有力であり、大幅な価格変動が起きる可能性は高いと考えられる。
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