金は金曜日に上昇し、XAU/USDは1日で約1.16%高の4,170ドル近辺で推移した。米国の非農業部門雇用者数(NFP)が予想を下回り、米ドルの重しとなるとともに、次回の米連邦準備制度理事会(FRB)の動きに関する市場の織り込みが後ずれしたためだ。ドル指数(DXY)は100.76近辺と、2週間ぶりの安値圏に接近。6月の米雇用増加は5.7万人と、市場予想の11.0万人を下回った。市場は利上げの織り込み時期を9月から12月へとシフトし、CMEのFedWatchでは9月利上げ確率が63%から53%へ低下した一方、12月の確率は76.8%となった。こうした再価格付けを受け、金は火曜日に付けた7カ月ぶり安値の3,949ドルから反発し、5週ぶりの週間上昇に向けた展開となっている。
金は1月高値の5,600ドル近辺から約28%下落した後も4,000ドル台を維持しており、マクロ環境が引き続き焦点となっている。原油価格は米イラン戦争を想定した高値から反落する一方、インフレ率がFRBの目標である2%に向かって低下するまで金融政策は引き締め的に維持される見通しだ。公式部門の需要は下支え要因であり、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のデータによれば、5月の中央銀行の純購入は41トンとなった。また「Central Bank Gold Reserves Survey 2026」では、今後12カ月で世界の外貨準備に占める金保有が増加すると回答した割合が89%に達し、45%が自国の保有を増やす計画とした。テクニカル面では、XAU/USDは4,156ドル近辺の20日移動平均線(SMA)を再テストしており、ボリンジャーバンドの上限は4,371ドル、下限は3,942ドル近辺。RSIは47前後で、MACDはプラス圏を維持している。
FRB見通しの変化を受けた金の短期的な機会
6月の雇用統計の弱さを踏まえると、金が反発基調を継続する短期的な好機があると考えられる。FRBの利上げ観測が後退することで米ドルが弱含み、これが金価格を直接押し上げる。センチメントの変化を取り込むため、短期の強気戦略を検討すべき局面だ。
今後数週間は、4,371ドルのレジスタンス水準に近いストライクのコールオプション買いを想定する。注目すべき重要サポートは4,156ドル付近の20日移動平均線であり、金がこの水準を上回って推移する限り、上方向への抵抗が相対的に小さい。
この短期的な強さは、公式機関による非常に強い基礎需要によって裏付けられている。今年第1四半期に中央銀行は準備資産として290トンという大幅な積み増しを行い、記録上「年初として過去最強」のスタートとなった。この継続的な買いは市場に強固な下値の床を与え、押し目買いを選好する根拠となる。
中期的なリスクとオプションを用いた戦略
もっとも、中期的には警戒が必要だ。FRBの利上げは「中止」ではなく「延期」にすぎない可能性が高い。2023年には、市場がFRBのピボット(政策転換)を何度も織り込みながら数カ月にわたり実現せず、ハト派寄りのポジションが痛手を被った経緯がある。12月利上げの確率は依然として75%を上回っており、その時期が近づくにつれて金の上昇余地を抑える要因となる。
原油安は総合インフレ率の低下に寄与するが、FRBが主に注視するのはコア・インフレだ。エネルギー価格が下落しても、コアPCEインフレ率は直近で2.9%と根強く、2%目標を大きく上回る。したがって、FRBが近い将来に明確なハト派転換を示唆する可能性は低い。
このため、当社の戦略としては、強気トレードにおいてオプションを用いリスクを限定する。4,371ドル方向への上昇で収益機会を狙いつつ、上昇が失速した場合の防御も可能なコールスプレッドの活用が選択肢となる。足元の上昇局面に参加しながらも、長期的に強い逆風が残る点を織り込んだ運用が可能となる。
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