OCBCは、短期的なマクロ環境の悪化を理由に、2026年末時点の金および銀の価格予想をそれぞれ4,360ドル、67ドルへ引き下げた。同行は、実質金利の上昇、米ドル(USD)の底堅さ、ETF需要の鈍化に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)に対する市場の見方がよりタカ派方向へ傾いたことを挙げた。
目標値は下げたものの、OCBCは両金属の中期的な緩やかな上昇トレンド見通しを維持し、金については分散投資の意義、銀については構造的な供給不足(構造的赤字)のストーリーを据え置いた。より持続的な上昇局面に転じるには、実質金利の低下や米ドル安、またはタカ派的なFRB見通しの明確な巻き戻しといったマクロ環境の改善が必要であり、そうでなければ上昇局面は失速し、価格は過去高値を下回る水準でのもみ合いとなり得るとしている。
貴金属にとって厳しいマクロ環境
金と銀の予想は引き下げたが、長期的には価格が上昇していくと引き続き見ている。今回の修正は、貴金属にとって短期的な状況がより厳しくなったことを反映したにすぎず、金・銀に対する中期的な見方が変わったわけではない。
環境が厳しくなっている背景には、実質金利の上昇、米ドル高、上場投資信託(ETF)からの需要鈍化がある。例えば、10年物実質金利は足元で2.0%超へ上昇し、米ドル指数(DXY)は106を上回る水準で底堅く推移している。こうした要因は、金のような無利息資産の相対的な魅力を当面低下させる。
この状況を踏まえると、今後数週間の価格上昇は短命となり、戻り局面では売りが出やすいと見込む。トレーダーは、上昇局面でのコール売りや、反発が定着しない局面でのプット買いなど、この想定に沿った戦略を検討すべきだろう。これは、両金属が過去の高値を下回る水準で一定期間レンジ推移(持ち合い)するとの見立てと整合的である。
足元のETF需要の減速は、この慎重な見方を裏付ける。過去1カ月にわたり、SPDRゴールド・シェア(GLD)など主要な金ETFで継続的な資金流出が確認されており、投資家需要の後退を示す明確なサインだ。これらのフローが流入に転じるまでは、持続的な上昇局面の形成は難しい。
見通しとトレーディング上の含意
つまり、米ドル高と高金利が上値を抑え、価格はレンジ内にとどまる可能性が高い。こうした局面は、横ばい推移や緩やかな下落で収益機会を狙うデリバティブ戦略に適している。ブレイクアウトの主要な引き金となり得るFRBスタンスの明確な転換は、現時点ではまだ見えていない。
この局面は、タカ派的なFRB政策が一時的に貴金属の上値を抑え、その後の金融緩和局面で上昇へ転じた過去のサイクルを想起させる。現在のマクロ逆風は大きいものの、分散資産としての金の長期的な投資意義や、銀の需給面での追い風となる供給不足のストーリーを損なうものではない。転換の兆候として、実質金利の低下と米ドル安の進行に注目していく。
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