USD/JPYは週明け月曜のアジア時間に161.80円近辺へ小幅上昇した。相場は心理的節目の162.00円付近で方向感に欠ける展開となり、市場は米・イラン外交の再開によるリスク後退と、日本当局による円買い介入リスクを天秤にかけた。木曜日発表の米6月非農業部門雇用者数(NFP)にも注目が移っており、短期的な変動要因となり得る。
米政府高官は、ホルムズ海峡付近での交戦後、米国とイランが「当面は手を引く」ことで一致したと述べ、暫定合意は航路に正式反映されていないものの、船舶の自由航行は可能だと付け加えた。Axiosは、両国が火曜日にカタールで会合を開く計画だと報じた。日本では、林芳正官房長官が「必要に応じて為替の動きに適切に対応する」と述べたほか、日銀の田村直樹審議委員は数カ月に一度の利上げを主張し、必要なら利上げを加速する用意も示した。日銀は7月30〜31日に金融政策決定会合を開く予定で、据え置きが広く見込まれる一方、四半期ごとの見通しを更新する。6月利上げ前に行われたロイター調査では、多くのエコノミストが政策金利は第4四半期に1.25%へ到達すると予想していた。
現在の市場環境とリスク
日付(2026年6月29日)を踏まえると、USD/JPYは161.80円前後の極めて狭く緊張感の高いレンジで推移している。米・イランの緊張緩和観測は市場全体のリスクを低下させ、通常であれば安全通貨とされる円を弱含ませやすい。こうした環境は、ファンダメンタルズと当局の警戒発言がせめぎ合う難しい局面を生んでいる。
目先の最大リスクは、日本当局による介入、とりわけ162.00円接近局面である。2024年春には通貨防衛のために9.8兆円超を投じた経緯があり、当局が果断に動き得ることを示している。したがって、この心理的節目を上回る権利行使価格のUSD/JPYコールを買い上がることには慎重であるべきで、介入が入れば短期間で価値が大きく毀損する可能性がある。
もっとも、ドルを下支えする構造要因として、日米金利差の大きさが依然として挙げられる。日銀が6月に利上げを実施した後も、米10年国債利回りと日本国債利回りの差はなお375bp超とされる。この差がドル買い圧力を生み、介入主導でUSD/JPYが下落しても、市場では押し目買いの機会とみなされやすい。
主要材料と中長期の見方
今週木曜日の米NFPは、状況を動かし得る重要材料である。市場予想(コンセンサス)は約19.5万人増と堅調だが突出しない増加が見込まれ、ドルを一定程度支え得る。上振れサプライズとなれば、USD/JPYが介入警戒域へ一気に踏み込み、ボラティリティが急拡大するリスクがある。
中長期では、日銀審議委員からのタカ派的発言が、追加利上げの方向性を示唆している点に注目している。市場では年内の追加利上げ観測が徐々に織り込まれつつあり、時間をかけて円高方向へ効き始める可能性がある。現状では、トレーダーと政府の睨み合いが続くとの見立ての下、ショート・ストラドルやアイアン・コンドルなどでボラティリティを売る戦略も一案となり得る。
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