DBSグループ・リサーチは、ドナルド・トランプ米大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領による暫定的な覚書(MOU)により、ホルムズ海峡が全ての船舶通航に対して再開されたと指摘した。最終合意に向けた交渉は継続しており、中東紛争の終結という目標が掲げられた一方、核問題を含む主要論点では依然として隔たりが残る。
ブレント原油は約76米ドルまで下落しており、エネルギー主導のインフレ圧力を和らげるとともに、輸入代金の増加に伴う負担の軽減につながる。こうした環境は、原油高局面で逆風にさらされていた原油感応度の高いアジア通貨に一定の追い風となる。
地政学的展開を受け、ブレント原油価格は落ち着いた推移を維持
新たな米・イラン合意とホルムズ海峡の再開を踏まえると、ブレント原油が足元で76ドルまで下落した動きは、一時的な下振れにとどまらないとみる。今四半期序盤に価格を85ドル超へ押し上げていた地政学リスク・プレミアムは大きく剥落した。当社は、当面の原油価格が上値を抑えられる公算が大きいと見込み、8月限ブレント先物に対して権利行使価格80ドル近辺のアウト・オブ・ザ・マネーのコールオプションを売却する戦略を採用している。
この状況は、2015年の核合意後の局面と歴史的な類似性がある。同合意後には、イランの原油輸出が最終的に日量100万バレル超の供給増として市場に加わり、原油価格が長期にわたり低迷しやすい環境を形成した。足元では、米エネルギー情報局(EIA)の最新データで先週の米原油在庫が小幅に積み上がったことが示されており、今回の合意前から市況が軟化しつつあったことを示唆する。イランからの追加供給の可能性は、夏場のドライビングシーズンを通じて価格の明確な上値上限を形成する見通しだ。
アジア経済への含意とセクター配分
原油輸入依存度の高いアジア経済にとって短期的な影響は明確にポジティブであり、当社はこれに合わせて通貨ポジションを調整している。エネルギーコストの急騰を背景に先月対ドルで過去最安値を付けたインドルピーは、足元で回復の兆しを見せており、本日の取引では0.5%上昇した。当社は交易条件の改善を取り込むべく、インドルピー(INR)やタイバーツ(THB)などの通貨に対するコールオプションを購入している。
燃料費の低下は、利益率圧迫に直面してきた運輸・産業セクターに対しても直接的な追い風となる。国際航空運送協会(IATA)は最近、今年の航空会社の営業費用に占めるジェット燃料コストの比率が31%超と、5年ぶりの高水準に達したと指摘した。これを踏まえ、当社は運輸セクターETFおよびエネルギー投入コストに敏感な一部の工業株でロングポジションを構築している。
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