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中東情勢の緊迫化でドル買い、スイスのインフレ鈍化でSNBの追加利上げ観測後退 USD/CHFは上昇

by VT Markets
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Jun 8, 2026

USD/CHFは2日続伸し、週明け月曜のアジア時間には0.7970近辺で推移した。イスラエルが、イエメンからイスラエル領に向け発射されたミサイルを迎撃したと発表し、安全資産需要の再燃でドルが底堅さを維持したことが背景。テルアビブで空襲警報が報じられるなど、イラン支援のフーシ派を巡る衝突の構図が再浮上した。別途、報道によれば、イランによるイスラエル北部へのミサイル一斉発射を受け、イスラエル国防軍はイラン国内の軍事目標を攻撃したとされる。米国のドナルド・トランプ大統領がベイルートへの先行攻撃を批判し、ネタニヤフ首相とテヘランの外交推進を促していたにもかかわらず、事態は緊迫化。イランは複数回にわたりミサイルを発射し、レバノンでの追加行動を牽制。イスラエルは、飛来したミサイルはすべて迎撃し死傷者は出ていないとした一方、エスカレーションはエネルギー市場を動揺させた。

ドルはまた、米労働統計の上振れによっても支援され、米連邦準備制度理事会(FRB)での追加利上げ観測がくすぶった。5月の非農業部門雇用者数(NFP)は17.2万人増、前月分は11.5万人増から17.9万人増へ上方改定され、失業率は4.3%で横ばいだった。スイスフランは、5月のインフレ率が0.8%予想に対し0.6%にとどまり、スイス国立銀行(SNB)の引き締め観測が後退したことで弱含み。市場では政策金利が2026年まで0%に据え置かれるとの織り込みが進んでいる。なお、CHFはユーロ圏との連動性が高く、モデルによってはEUR/CHFの相関が90%超とされるほか、2011〜2015年のユーロ上限(ペッグ)解除時には20%超の変動を伴った。

安全資産フローと金融政策の乖離

中東での衝突再燃を受け、典型的な「質への逃避」が進み、米ドルを押し上げている。これに堅調な米労働市場が重なり、ドルには強い追い風が吹いている。当社は、今後数週間にかけてこれらの力学が継続するにつれ、USD/CHFはさらに上昇余地があるとみている。

米国とスイスの金融政策の乖離は一段と鮮明になっている。米NFPが底堅く、失業率も低水準の4.3%にとどまるなか、マーケットのプライシングでは年末までのFRB利上げ確率が65%に達している。これはスイスの状況とは対照的であり、当社にとって明確なトレードシグナルとなる。

一方、スイスフランは弱いインフレ指標を受けて軟化している。5月のインフレ率0.6%という結果は、SNBが当面、政策金利を0%に維持するとの当社見通しを補強する。タカ派寄りのFRBとハト派寄りのSNBの政策ギャップこそが、USD/CHFの上昇を主導する中心要因である。

市場ボラティリティ、デリバティブ、エネルギーへの波及

デリバティブ投資家にとっては、市場のボラティリティ上昇が示唆される局面であり、直近ではVIX指数が14から22超へ上昇したことにも表れている。下方リスクを限定しつつ想定される上昇基調を捉える手段として、USD/CHFのコールオプション購入を検討すべきだろう。オプション・プレミアムの上昇を踏まえると、ブル・コール・スプレッドの活用がコスト効率の高い代替策となり得る。

地政学的緊張の高まりはエネルギー市場にも予想通りの急騰をもたらし、ミサイル応酬の報を受けてブレント原油は1バレル=95ドルを上回った。これは世界的なインフレ圧力を強め、基軸通貨としてのドルの役割を改めて下支えする。現状は、スイスフランのように中銀スタンスがハト派の通貨に対してドルをロングとするポジションを支持する。

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