ECB利上げ観測を受けユーロは対ポンドで0.8650割れ、英国指標がポンド下支え

by VT Markets
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Jun 2, 2026

ユーロは火曜日、対ポンドで0.8650を下回る水準を維持し、2日続落後の軟調地合いが続いた。ユーロスタットの速報値によれば、ユーロ圏の5月HICPインフレ率は前年比3.2%と、4月の3.0%から上昇。コアHICPも2.2%から2.5%へ加速し、市場予想(2.4%)を上回った。市場は来週のECBの措置を引き続き織り込んでおり、今回のデータによって金利見通しは大きくは変わらなかった。

ポンドは堅調さを維持。国内政治は、キア・スターマー首相が5月の地方選結果を受けた辞任要求を退け、落ち着きを取り戻したようにみえる。英国の信用関連指標はまちまちで、4月の消費者信用は上方修正後の19.0億ポンドから18.6億ポンドへやや鈍化。一方、住宅ローン承認件数は市場が小幅減を見込むなか、6万3,970件から6万5,940件に増加した。個人向け純貸出は87億ポンドから62億ポンドへ減少したが、ポンドの反応は限定的だった。

ユーロ圏データとECB観測

ユーロは対英ポンドで弱含み、0.8650を上抜けられずにいる。ユーロ圏のインフレが再加速しているにもかかわらず、市場は来週の欧州中央銀行(ECB)による25bp(0.25%ポイント)の利上げをすでに完全に織り込んでおり、材料はユーロの新たな押し上げ要因にならなかった。

ポンドを下支えする主要因として、英国とユーロ圏の金利差が挙げられる。2026年6月上旬時点で、英イングランド銀行(BoE)の政策金利は5.25%と、ECBの4.00%を大きく上回る。仮にECBが想定どおり利上げしても、この金利差はなおポンド保有の妙味として投資家に意識されやすい。英国の賃金上昇率が前年比で5.5%超とユーロ圏より強めに推移している点も、BoEが「より長く高金利」を維持する根拠となっている。

英国の底堅さとEUR/GBP見通し

英国の政治的安定もポンドを支えている。スターマー政権は直近の課題をいったん乗り切ったようにみえ、不透明感の後退は市場で通貨高につながりやすい。英国経済にも一定の底堅さがみられ、住宅ローン承認件数が予想を上回ったことは、住宅市場の安定を示唆する。

こうした環境を踏まえると、今後数週間はEUR/GBPの一段安を見込むポジショニングが合理的と考える。デリバティブ投資家は、対ポンドでのユーロ・プットオプションの購入を検討し得る。この戦略は、為替レートの下落局面で収益機会を狙いつつ、最大損失を明確に限定できる。

過去を振り返ると、金利差の拡大局面ではEUR/GBPが下押しされる局面が多かった。0.8500を明確に割り込めば、歴史的にはより大きな下落への道が開かれてきた。ECBの次回会合が「今回の利上げは当面最後に近い」といったシグナルを示す場合、0.8500は下値目標として意識され得る。

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