ドル高と原油主導のインフレ懸念で金相場は4,500ドル割れ

by VT Markets
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Jun 1, 2026

金は週初から下落し、XAU/USDは米国時間序盤に一時4,450ドルを割り込んだ後、4,470ドル前後で推移している。中東情勢の緊張が続く一方、米ドルが底堅さを増した。ワシントンとテヘランの協議は、イランのタスニム通信がメッセージのやり取りの停止を報じたことで、引き続き行き詰まり感が強い。米中央軍はイランのレーダーおよび無人機関連施設に対し「自衛攻撃(self-defence strikes)」を実施したとし、イラン革命防衛隊は米軍が使用する基地を標的に報復したと発表した。こうした背景にもかかわらず、金は戦闘開始以降で15%超下落しており、1月下旬の高値(5,600ドル近辺)からは約20%低い水準にとどまっている。

原油高も重しとなった。WTIは月曜に5%超上昇し、インフレ懸念を強めるとともに、よりタイトな金融政策観測を補強した。CMEのFedWatchツールでは、市場は12月に25bp利上げとなる確率を40%程度織り込む。米指標も堅調で、S&Pグローバルの米製造業PMIは5月に54.5から55.1へ上昇し、ISM製造業景況指数(PMI)も54.0へ上昇、2022年5月以来の高水準となった。注目は金曜の米雇用統計(NFP)に移る。テクニカル面では、上値抵抗は4,600ドルおよび100日SMAの4,801〜4,802ドル近辺。下値支持は200日SMAの4,410〜4,411ドル付近に示され、さらに4,100ドルが下値メドとされる。RSIは43近辺、ADXは24前後。

主な逆風:ドル高とインフレ懸念

金が4,500ドルを下回って推移するなか、今後数週間は下方向への圧力が優勢になりやすいとみている。主因は地政学ではなく、米ドルの優位と、インフレの粘着性に対する市場の関心だ。ドル指数(DXY)が足元で106を上回ったことは、金よりもドルが「選好される安全資産」として位置づけられていることを裏づける。

米国とイランの膠着は金に対して大きな買い材料となりにくく、二次的な影響の方が強い。WTIが1バレル80ドルを上回る水準で推移するなど原油価格が急伸し、インフレ懸念を直接的に煽っている。これが「FRBは高金利をより長く維持する」との見方を強めている。

戦略セットアップとテクニカルトリガー

こうした見通しを踏まえ、下押し局面の利益獲得を狙い、6月下旬および7月満期のプットオプション購入を検討する。CBOEゴールド・ボラティリティ指数(GVZ)は14近辺の中程度で推移しており、オプション・プレミアムは過度に割高ではない。弱気ポジションにとってリスク・リワードが相対的に良好な環境といえる。

戦略の引き金は、金が上値抵抗の4,600ドルを回復できない点にある。プットの第一の目標は、4,410ドル前後の200日移動平均線のサポート。ここを明確に割り込めば、より重要な下値支持である4,100ドルに向けた下落が加速する可能性がある。

最大の注目材料は今週金曜の米雇用統計(NFP)だ。前回は新規雇用者数が27.2万人増と強く、利下げ期待をすでに後退させた。今回も強い結果となれば、短期的なFRBの政策転換(ピボット)への残存期待はほぼ消え、金に弱気な見方を一段と補強するだろう。

この局面は、地政学リスクが続く中でもFRBの積極的な利上げ局面が金の強気心理を押し潰し続けた2022〜2023年と極めて似通っている。今回も貴金属の主要ドライバーは金融政策であり、利回りを生まない資産を保有する機会費用の高さが、目先の主要テーマになっているとみる。

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