金は、米国とイランの地政学的緊張が合意なきまま続く中、広範な商品バスケットに対して出遅れている。一方、原油やベースメタル(非鉄金属)は、供給リスクの高まりに支えられてきた。貴金属は先週後半、MoU(覚書)や合意が近いことを示唆する報道を受けて上昇したが、市場環境は引き続きエネルギー価格に規定されている。
TDセキュリティーズは、仮に合意が成立してもエネルギー市場は需給逼迫が続き、高値圏で下支えされるとの見方を示しており、貴金属セクターにとってのマクロ逆風は残存するとしている。こうした背景のもと、CTA(商品投資顧問)による金のポジションは、今週、価格が$4750/ozに向けて大きく上放れる(アップテープ)か、$4480/ozに向けて下放れる(ダウンテープ)局面を引き起こさない限り、概ね横ばいで推移すると見込まれている。
金の他商品に対する出遅れ
原油や産業用金属が継続する供給リスクの恩恵をより強く受ける一方で、金は他の商品に後れを取っている。ブレント原油が1バレル=115ドル超で底堅く推移し、米・イラン協議が先週再び停滞したことを踏まえると、金の上値を抑えてきた環境は解消していない。この力学は、貴金属が今後も相対的にアンダーパフォームしやすいことを示唆する。
金にとっての主因は、高止まりするエネルギーコストがもたらすマクロ逆風の持続である。米国の2026年5月のインフレ指標は4.1%と高止まりし、FRB(米連邦準備制度理事会)に政策金利を5.75%で維持する圧力を残している。この「高金利の長期化」環境は、利回りを生まない金の保有に伴う機会費用を押し上げ、投資家にとっての魅力度を低下させる。
金トレーダーの市場見通しと戦略
デリバティブ(派生商品)取引の観点では、今後数週間はレンジ相場が示唆される。金は、$4480/ozのサポートを割り込むか、$4750/ozのレジスタンスを上抜けない限り、レンジ内にとどまる公算が大きい。これは、アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のコールおよびプットの売りなど、低ボラティリティで収益化する戦略が相対的に有利となり得ることを意味する。
この環境は、地政学リスクよりも中銀による急速な利上げが優勢となり、金価格の上値を抑えた2022~2023年期を想起させる。市場が明確な金融緩和への転換を織り込み始めるまで、こうしたマクロ圧力が金の重しであり続けるとみている。当面は大きなブレイクアウトではなく、横ばい推移を前提にポジションを構築している。
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