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ユーロ圏5月インフレ発表迫る、ECB利上げは織り込み済みでユーロ上値重い

by VT Markets
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Jun 1, 2026

ユーロ圏の5月CPIは火曜日に発表予定で、市場予想では総合・コアインフレ率がそれぞれ前年比で4月の3.0%から3.2%へ、2.2%から2.4%へ上昇すると見込まれている。もっとも、ドイツのインフレが予想外に減速したことを受け、リスクバランスは下振れ方向に傾いている。一方で全体像としては、データは欧州中央銀行(ECB)のストレスケースというより、3月時点のベースライン見通しに概ね沿って推移していることを示唆する。このベースラインでは、総合・コアCPIのQ2平均はそれぞれ3.1%・2.2%となる一方、悪化シナリオでは3.6%・2.3%、深刻シナリオでは4.1%・2.4%となっている。

金利の織り込み面でもサプライズ余地は小さく、スワップカーブは6月11日の会合でECBが25bp引き上げて2.25%とする動きをほぼ完全に織り込んでいる。為替市場もそのパスの多くをすでに消化済みだ。低成長と高インレの併存局面では、金融引き締めは一般にユーロの重しになりやすいものの、下落の歯止めにはなり得る。米国の成長見通しがユーロ圏より堅調であることを踏まえると、EUR/USDは1.1400近辺で下値を固める展開が意識される。

ユーロ圏インフレ指標とECB政策を巡る注目点

明日のユーロ圏インフレ指標は、6月11日のECB理事会に向けた地ならしとなるため、注視している。インフレ率は上昇が見込まれる一方、ドイツの速報値では小幅な鎮静化が示されており、ユーロ圏全体でも下振れサプライズの可能性がある。この不確実性を踏まえると、発表前後に短期のEUR/USDオプションのインプライド・ボラティリティが上昇しやすく、トレーダーは動向を監視すべきだろう。

25bpの利上げは市場がほぼ織り込み済みであり、決定そのものは大きな材料になりにくい。焦点はフォワードガイダンスとなる。とりわけ、ユーロ圏の1-3月期成長率が前期比0.3%と低迷したことを踏まえると、成長の弱さがユーロの上値余地を限定するとみる。上昇余地の抑制を前提に、アウト・オブ・ザ・マネーのコール売りでプレミアム獲得を狙う戦術は検討に値する。

トレーディング戦略と過去との類似

欧州の先行きが弱い中でも、利上げは通貨の下支え要因となり得るため、EUR/USDでは1.1400近辺に強いサポートがあるとみる。同期間に米国経済は年率換算で1.6%の比較的堅調な成長を記録しており、ユーロが大きく上昇しにくい環境を補強する。この見方に沿うトレーダーにとって、権利行使価格を1.1400近辺に置いたキャッシュ・セキュアード・プットの売りは、プレミアム獲得を目的とした有効な戦略となり得る。

減速局面での利上げは難しい環境であり、2011年にECBが利上げ後、景気失速を受けて短期間で方針転換を迫られた局面を想起させる。この前例は、6月の利上げ自体はほぼ確実である一方、将来の追加利上げ経路の確度には大きな疑義があることを示唆する。したがって、より長期の金利スワップを点検すれば、市場が現在想定するより低い「政策金利ピーク」を織り込む方向へのポジショニング機会が見いだされる可能性がある。

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