金は2日ぶり安値となる4,219ドルまで下落した後、下げ幅を縮小した。新議長ケビン・ウォーシュ率いる米連邦準備制度理事会(FRB)がよりタカ派的な姿勢を強めたことが背景。XAU/USDは直近で4,236ドルと、2%超下落した。FRBはフォワードガイダンスの文言を削除し、インフレ率が目標の2%をなお上回っているとの認識を改めて示した。ウォーシュ議長は経済見通し(予測)の提出は行っていないと述べた一方、声明では中東情勢に絡む不確実性があるにもかかわらず成長は底堅いとし、労働市場は堅調で失業率は横ばいと説明した。FRBはまた、エネルギー価格を含む供給ショックがインフレ圧力の一因になっているとも指摘した。
経済見通し(SEP)では、FF金利の中央値が3月時点の3.4%から3.8%へ上方修正された。成長率は2026年末までに2.2%が見込まれ、コアPCEは3.3%(目標比1.3%ポイント上振れ)とされた。スワップ市場は年末までに30bpの引き締めを織り込み、ドル指数は100.57と約3カ月ぶり高水準近辺まで上昇(+1.55%)。米小売売上高は前月比0.9%増と予想(0.5%増)を上回り、ガソリンスタンド売上は3.4%増、13分類中11分類で増加した。テクニカル面では金が4,306ドルの支持線を割り込み、4,200ドルを下回ると4,023ドル、4,000ドルが視野に入る。上値抵抗は4,300ドル、次いで4,350ドル、4,400ドル。
—FRBの政策転換と金の見通し
新体制のFRBがより強硬なスタンスを示していることから、金は下方向への圧力が強いとみている。ドル高、堅調な経済指標、タカ派的なFRBという組み合わせは、利回りを生まない資産にとって逆風だ。今後数週間の戦略としては、より低い支持線の試し、具体的には4,000ドル近辺への下押しを想定したポジション構築を検討する。
FF金利見通しの中央値が3.8%へ跳ね上がった点が最大のポイントで、金保有の機会費用を直接押し上げる。金利先物にもその変化が表れており、年末までに30bp超の追加引き締めを示唆している。数週間前から見れば大きな転換だ。インフレが高止まりし、FRB自身のコアPCE見通しも3.3%である限り、この圧力は継続すると予想する。
ドル指数が100.50を超えて3カ月ぶり高値圏へ押し上げられているのは、この政策姿勢の変化を直接反映したものであり、金にとって主要な向かい風となる。歴史的に、ドル高は海外投資家にとって金を割高にし、世界需要を抑制しやすい。FRBが同業他行(他の主要中銀)に比べ最もタカ派である限り、この流れは続くとみる。
—トレーディング戦略と市場のボラティリティ
売買戦略としては、4,200ドル割れの動きを狙い、プットオプションの買いを検討している。足元で4,306ドルの支持線が割れたことは重要なテクニカルシグナルであり、モメンタムが売り手優位に転じたことを示す。なお、最近ボラティリティが上昇しているため、コストを抑える目的でプットスプレッドの活用も有効になり得る。
新議長がフォワードガイダンスを撤廃したことで不確実性が高まり、インプライド・ボラティリティは高止まりしている。CBOE金ボラティリティ指数(GVZ)は17.8へ上昇し、先月の安値14.2から切り上がっている。オプションは割高になった一方、市場の警戒感を映す。こうした環境では、先物での単純なショートよりも、リスクを限定できる戦略が適している。
米国とイランの60日間の停戦は金の安全資産需要を弱めたが、情勢は流動的である点に留意が必要だ。この一時的な地政学的な落ち着きは弱気ポジションを構築する好機となる一方、衝突が急激に再燃した場合に備え、安価な遠いアウト・オブ・ザ・マネーのコールオプションをポートフォリオのヘッジとして検討することも一案だ。
今後の焦点は次回のインフレ指標と雇用指標となる。5月の小売売上高が前月比0.9%増と強く、消費者の底堅さを示したことで、FRBがインフレ抑制を優先する余地(追い風)が生まれている。このシナリオを補強するデータが続けば、金相場は次の下落局面に入りやすい。
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