米連邦準備制度理事会(FRB)が水曜日、政策金利を3.50%〜3.75%で据え置いたことを受け、金は下落した。一方、経済見通し(SEP)では、インフレ率が3%の節目を上回った水準で推移する可能性が示された。XAU/USDは、ケビン・ウォーシュ議長の下で初となる政策決定を市場が消化する中、4,330〜4,280ドルのレンジで不安定な値動きとなった。FRBは声明からフォワードガイダンスも削除し、成長は堅調、労働市場も安定しているとしたうえで、失業率は概ね横ばいと説明した。もっとも、中東情勢を巡る不確実性にも言及した。
ドット・プロットはタカ派色が強かった。2026年末時点のFF金利の中央値見通しは、3月時点の3.4%から3.8%へ上方修正され、2026年後半の経済成長率見通しは2.2%とされた。コアPCEインフレ率は3.3%と見込まれ、FRBの目標である2%を1.3ポイント上回る。政策当局者は、エネルギーなどを中心とする供給ショックの影響もあり、インフレはなお高止まりしていると改めて強調した。FOMC参加者の半数は金利が3.75%を上回ると見込み、残りは据え置きを支持した。
FRBのタカ派姿勢がもたらす含意
市場はFRBのタカ派姿勢を織り込みつつあり、政策の軸足が緩和ではなくインフレ抑制に置かれていることが明確になった。FRB自身の見通しでコアPCEが3.3%に張り付く一方、直近5月の雇用統計でも非農業部門雇用者数が26万5,000人増と底堅い内容を示しており、米ドル高が続きやすい地合いが整っている。この環境下では、早期利下げを見込むポジションは時期尚早で、コストを伴いやすい。
金にとっては、向こう数週間の「下方向」が最も抵抗の少ない経路となる。ドル高と高金利は、利息を生まない資産である金の保有に伴う機会費用を押し上げる。年内利下げ回数の見通しが減る方向へ市場が再評価する中、XAU/USDは直近レンジ下限の4,280ドルを試す展開も想定され、下押し圧力が続く可能性がある。
ボラティリティの高い環境下での市場戦略
フォワードガイダンスの削除は、当方にとって最も重要な要素であり、市場に大きな不確実性を持ち込む。実際、CBOEボラティリティ指数(VIX)は今週18.5まで上昇しており、予見性の低いFRBという新たな現実を反映している。こうした局面では、単純な方向性の賭けよりも、主要株価指数や通貨ペアでストラドル購入など、値動きの振れから利益を狙うデリバティブ戦略の方が有効となり得る。
この環境は、2022〜2023年の利上げ局面を想起させる。当時、市場は粘着的なインフレに対するFRBの強い姿勢を繰り返し過小評価した。その期間、「高金利の長期化(higher for longer)」をSOFR先物オプションなどで織り込む形でポジションを構築したトレーダーは相応のリターンを得た。現在も同様の戦略が有効であり、短期金利の高止まりが続くことから恩恵を受ける取引に重心を置くべきだとみている。
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